2005年01月17日神戸中央サーフHP>SC研究初版掲載
                               2021年02月07日御調山SC研究所HP>SC研究追記復刻

Report #031  ロングラン対決!  PROSKYER vs. SPIN POWER 〜2004年を振り返る〜


1. 一年間のロングラン比較検証

SC研究:Report #017ではリョービ・BORON プロスカイヤー & S-DHZ プロスカイヤーと
シマノ・98スピンパワーSCの投げ比べショートインプレッションをお届けした。

この時は、BORON プロスカイヤー 競技スペシャル 40-420 ,S-DHZ プロスカイヤー 40-425と
98スピンパワーSC 425XXを、ハイスピンダー6点式ガイドセッティングに統一して約2ヵ月間の投擲比較を
行った。

飛距離的には三者互角の争いを展開し、ジャジャ馬的反発特性のプロスカイヤーBros.がが向かい風を
ものともしない鋭い弾道でシンカーを弾き飛ばせば、あまり投げ慣れないはずの98スピンパワーSCも
優れたパフォーマンスを発揮して応戦。
その扱い易さには大いに感心したものである。

ショートインプレッションの結論としては、手軽に超遠投が楽しめる98スピンパワーSCと、夢と希望を与え
勝利の美酒に酔わせてくれるBORON プロスカイヤー、それぞれ引き分けで締めくくった。

あれから一年、プロスカイヤーBros. vs. 98スピンパワーSCの競争はどのような進展が見られたのか?

            


2. 2004年投擲比較の内訳

2004年の総投擲数は、恐らく自己最高となる1061投(全てST種目)である。
このうち地元練習場などでの投擲:951投については全ての飛距離を計測記録している。
この膨大な飛距離データを基に、ロッド毎の平均飛距離,正確度評価を行ってみよう。

             

        

2004年シーズンは主にS-DHZ プロスカイヤーをキャスティング大会本番用として投げ込みを続けており、
2ヵ月毎の投擲数推移を見てもコンスタントに50〜100投/2ヵ月をこなしている。

一方、BORON プロスカイヤーは9月〜10月の中四九親善キャスティング大会と全日本SC選手権大会に
照準を合わせていたため、1〜2月と5〜6月と9〜10月に投げ込みを行った。

それらに対し、キャスティング大会本番用には起用しない98スピンパワーSCは、オフシーズンの1〜2月,
5〜8月,11〜12月に比較テストとして投げ込みを行っている。

年間総合投擲数では、S-DHZ プロスカイヤーが最多の412投(39%)を占め、BORON プロスカイヤー,
98スピンパワーSCはそれぞれ287投(27%),243投(23%)となっている。

SC大会参戦に備えた投擲を重ねたプロスカイヤーBros.勢に対して、98スピンパワーSCは主にSC研究の
ための比較実験で投擲を重ねている。

投擲目的は若干異なるものの、追い求めたことは『飛距離アップ』と『正確度アップ』に集約される。
それらの一年分を総決算してみよう。

なお今回の比較分析では、常に同一コンディションでの投擲比較による飛距離データではないため、
Report #017で取り上げた比較項目とはやや異なり『フェアゾーン上位60%平均飛距離』と
『フェアゾーン投擲率』を中心に分析した。


                          

3. 上位60%平均飛距離対決!

        

1〜2月度の平均飛距離では、Report #017で紹介した結果・・・98スピンパワーSC優勢・・・がさらに差を
広げる形で再現しており、プロスカイヤーBros.に対して3m強優勢となっている。

S-DHZ プロスカイヤーは2004年1月にガイドセッティングをローライダー改6点式に変更したことで若干
反発タイミングの変化に慣れを要したが、2004年7月以降は98スピンパワーSCに対して2〜3m優位な
飛距離をマークした。

  

ガイドセッティングの変更効果により、S-DHZ プロスカイヤー vs. 98スピンパワーSCの対決勝負は
S-DHZ プロスカイヤーが勝利した。

そして私にとって最優先ロッドであるBORON プロスカイヤーは、2004年10月の全日本SC選手権に
照準を合わせて5月以降ローライダー改6点式ガイドセッティングに変更し、反発タイミングにも慣れた
9〜10月度にかけて最高のパフォーマンスを発揮。

S-DHZ プロスカイヤーに2m,98スピンパワーSCには4mの大差を付けて最強ロッドにアップデートした。

期間限定のパフォーマンスとしてBORON プロスカイヤー vs. S-DHZ プロスカイヤーを比較すると、
BORON プロスカイヤーが勝利。

年間を通した総合評価では、BORON プロスカイヤーが僅差でS-DHZ プロスカイヤーに競り勝ち、
98スピンパワーSCは1.4m差で敗れる結果となった。

なお、Report #017で報じた結果と比較すると、プロスカイヤーBros.でガイドセッティングをハイスピンダー
6点式からローライダー改6点式に変更したことによる飛距離アップ量は、2〜4mと推定される。


4. 正確度対決!

       
       
       

S-DHZ プロスカイヤーはロングランテスト期間中の総投擲数が最多であるが、フェアゾーン投擲率は
やや不満の残る57〜66%で推移している。

また、抜けファールが14〜23%,ライントラブルが3〜8%発生しており、加えて体のキレが悪くなると引掛け
気味の投擲が10%を超える性質を持つ。
キャスティング大会本番用ロッドとしてはやや信頼性に欠ける結果となった。

BORON プロスカイヤーでは投げ込み量が不均一だったせいか、Report #017で得られたフェアゾーン
投擲率73%には遥かに及ばない結果となった。

全日本SC選手権直前の調整で、フェアゾーン投擲率は辛うじて70%に回復したが、抜けファールの発生率
が20%を超えたことは今後の改善課題である。

98スピンパワーSCは月々の投擲数が不安定であったにも関わらず、投擲精度に影響を受けることなく
コンスタントに60〜80%のフェアゾーン投擲率を維持している。

この結果から、98スピンパワーSCは精度良く飛距離を得るためのロッドとして非常に魅力的である。

ハイスピンダーガイド仕様のため、ガイドへのライン絡みなどのトラブル発生率はローライダー改6点式
ガイドセッティングのS-DHZ プロスカイヤーより若干高め(6〜16%)で推移し、年間平均:約9%であった。

しかし、抜けファール:15%程度,引掛けファール:4%程度とプロスカイヤーBros.に比べると抜群の
『投げ易さ=コントロール性』を備えている


5. 総合評価・・・そして2005年

フェアゾーン上位60%平均飛距離はReport #017の結果から一転して、プロスカイヤーBros.が
98スピンパワーSCをコンスタントに2〜4m引き離す結果となったが、これはガイドセッティングの変更効果
によるものと考えて良いだろう。

全日本SC選手権の直近2ヵ月間が最終決戦となるが、BORON プロスカイヤーは期待(希望?)通りの
好結果をマークした。

キャスティング大会本番用ロッドとしてはフェアゾーン投擲率:70%以上,抜けファール発生率:15%以下,
引掛けファールやライントラブルは各5%以下としたいところであるが、年間を通して要求レベルを満たした
ロッドは飛距離競争に敗れた98スピンパワーSCだけであり、プロスカイヤーBros.はS-DHZ プロスカイヤー
が1〜2月度と5〜6月度,BORON プロスカイヤーが1〜2月度と9〜10月度のみ要求レベルに達した。

結論として現時点での『キャスティング競技用として最強のロッド』 は、
 @メイン大会直前のごく短期間に限定すればBORON プロスカイヤー
 A年間通しての総合戦力では98スピンパワーSC
ということになるが、キャスティング大会は予め決まった日にしかるべき準備・調整を行った上で参戦する
ので、長期的な安定感よりは瞬間的なパフォーマンスアップの方が魅力がある。

やはり『BORON プロスカイヤーが最強のキャスティングロッド』 と断言したい。

2005年には98スピンパワーSCのガイドセッティングをローライダー改仕様に変更し、引き続き長期的な
比較検証を行う予定である。

ガイドセッティングの変更効果として2〜4mの飛距離アップが得られるなら、抜群のフェアゾーン投擲率を
発揮するこのロッドなら無敵になるかも?!

自称プロスカイヤー愛好家の私としては、S-DHZ プロスカイヤー,BORON プロスカイヤー共に、
抜けファール発生率を15%以下に低減してフェアゾーン投擲率を70%以上にキープするための改善・研究が
2005年の最重要課題である。

まずは手始めに、BORON プロスカイヤーのローライダーガイドをステンレス製からチタン製に変更して
軽量化(-4g)を行い、ガイドピッチやリールシート位置の見直しで『抜けファール』の低減を研究中である。

結果は・・・また一年後?にお知らせしましょう


6. 2021年2月7日追記復刻で16年前を振り返る

2005年1月当時、私自身はBORON プロスカイヤー 競技スペシャル 40-420が難なく振り切れていた訳で、
98スピンパワーSC 425XXはキャスティング大会本場用ではなく様々な研究テーマでの検証テスト専用
ロッドの位置付けで実投使用していました。

本レポートで予告した通り、98スピンパワーSC 425XXをローライダー改6点式ガイドセッティングに変更し、
2005年1月から2009年1月までの4年間、BORON プロスカイヤー 競技スペシャル 40-420と飛距離差の
比較検証を継続しました。

結果的にはローライダー改6点式ガイドセッティングのロッドでは追い風コンディションで180mオーバーの
飛距離を出すことが少なく、小径ガイドリングによるライン抜けの悪さが気になるようになったため、
BORON プロスカイヤー 競技スペシャル 40-420は2008年8月に、98スピンパワーSC 425XXは2009年1月
にハイスピンダー6点式ガイドセッティングに戻しています。

この2008年頃からの数年間、私自身は腰痛の再発に悩まされており、2005年頃よりもスウィングスピード
が低下していたことでローライダー改6点式ガイドセッティングとの相性が悪くなったものと思われます。

そしてこの腰痛再発期間:2009年〜2012年にハイスピンダー6点式ガイドセッティングの
98スピンパワーSC 425XXは多くのキャスティング大会で本番用ロッドとして活躍してくれました。

2009年3月15日の広島協会春季SC通信大会や同年7月5日の北海道選手権大会,2011年10月16日の
全日本SC選手権大会,2012年3月4日の関西オープンキャスティング大会で180m前後の飛距離をマーク
して、腰痛スランプからの脱出を実感できました。

腰痛スランプから完全脱出した2013年以降は、再びBORON プロスカイヤー 競技スペシャル 40-420を
キャスティング大会本番用ロッドに復帰させるプランで、ロッドアクションが1クラス軟らかく感じられる
KW6点式ガイドセッティングに変更しています。

キャスティング大会本番用ロッドの座を一時的に98スピンパワーSC 425XXに明け渡したものの、2003年
から2016年までの14年間の大半の期間は、BORON プロスカイヤー 競技スペシャル 40-420が私にとって
ベストワンのキャスティング大会本番用ロッドであり続けてくれました。

私のキャスティング人生の大半を支えてくれた、BORON プロスカイヤー 競技スペシャル 40-420。
その裏方で飛距離アップのためのSC研究を支えてくれた98スピンパワーSC 425XXと
S-DHZ プロスカイヤー 40-425。

3本ともに2021年現在はキャスティング大会本番用ロッドからは退いていますが、Report #096で比較検証
したように、98スピンパワーSC 425XXは今でも16スピンパワーSC 405X2と互角の飛距離を揃える能力を
備えています。

BORON プロスカイヤー 競技スペシャル 40-420は、そのキャスティングポテンシャルを活かすために
キャスターの身体的能力の維持と向上が不可欠な剛竿キャラクターですが、98スピンパワーSC 425XXは
キャスターの身体的能力の変化(老化)にも「優しく寄り添う」タイプのロッドだと思います。

もしかすると、2021年のキャスティング大会本番用もしくはサブ用ロッドに98スピンパワーSC 425XXが
起用される可能性もゼロではないでしょう。

BORON プロスカイヤー 競技スペシャル 40-420は投げ手を選ぶ究極の戦闘用ロッド、
98スピンパワーSC 425XXは誰でも手軽に超遠投を楽しめるポテンシャルを持つオートマ戦闘用ロッド、
S-DHZ プロスカイヤー 40-425はその中間的キャラクターのロッド、というのが2021年現在の結論です。

残念なのは、今の私自身にはBORON プロスカイヤーのように究極の戦闘用ロッドと呼べるロッドを
使いこなすパワーがなくなってしまったことです。

今現在の私にとっては、どちらかというと98スピンパワーSC 425XXやそのコンセプトを受け継ぎ投げ易く
飛距離が安定傾向の16スピンパワーSC 405X2の方がキャスティング競技を存分に楽しめそうな、
そんな気がします。