|
2011年1月10日現在
飛距離指数:1.012 (★★★☆☆)
平均飛距離:168.00m
(テスト回数:5回)
スペック | エアロキャスト 7000EX | |
発売時期 | 1980年 | |
スプール | 前端径 | φ60.0mm |
算出後端径 | φ66.2mm | |
ストローク | 35mm | |
勾 配 | 5度 | |
エッジ開放角度 | 0度 | |
全 長 | 55.6mm | |
糸巻き量 | ナイロン2号−300m | |
材 質 | 本体:樹脂 | |
リング:アルミニウム合金 | ||
スカート | なし | |
カタログ自重 | 460g | |
ナイロン2号糸込み質量 | 484g | |
フルストローク全長 | 183mm | |
オシュレーション方式 | 円筒カム単軸 等速:2.7度綾巻き 前後各7.4ターン |
|
ボールベアリング | 2個 | |
ラインローラー | SiC-V型 | |
マスターギヤ | 亜鉛合金 (ダイカスト) |
|
メインシャフト | スチール φ6.5mm |
|
ボディー&ロータ | アルミニウム合金 | |
ハンドルタイプ | 左専用/70mm | |
ハンドルグリップ | ウッド | |
ロータ回転方向 | 時計回り | |
ギヤ比 | 1:3.8 | |
メーカー希望小売価格 | 21,900円 |
1980年に発売されたエアロキャスト7000EXは、市販品では世界初のストローク:35mm,スプール
テーパー角:5度のディメンションを持つコップ型スプールを搭載しながらも自重はたったの460gと
超軽量設計とあって、瞬く間に一般キャスターの間に広まった。
従来のスピニングリールには必ず備わっていたスプールのスカート部分が無くなったため、ライン
を巻き取る最中に少しでもテンションが緩むとラインがロータ外周やロータ内部のメインシャフトに
絡みつく欠点があるのだが、それでも実釣派からスポーツキャスティング派まで幅広くキャスター
に受け入れられた。
フラッグシップモデルの9000EXにはメッキ調や光沢処理を施したアウターパーツが用いられ、
量販上位グレードの7000EXには艶消しシルバーのアウターパーツに変更しているが、ボディーや
ロータ,マシンカット・ハンドル柄,マスターギヤ&ピニオンギヤなどの駆動系パーツのほとんどは
両モデル共用部品となっている。
つまり、9000EXと7000EXでの機能上の差異は、39mmストローク&6度勾配スプールへの
2スピードオシュレーション対、35mmストローク&5度勾配スプールへの等速オシュレーション、
という違いだけと言っても良いだろう。
しかしそこが1cm刻みの飛距離アップを目指すスポーツキャスティング派にとっては大きな
アドバンテージとして感じられ、9000EXにある種の憧れを感じたものだが。
それでも当時は35mmストローク&5度勾配スプールでも十分な飛距離が得られると、
キャスティング選手の多くは7000EXを絶賛されていたようだ。
ちなみに35mmストローク盤には、本格派入門機としてエアロキャスト7000を9,800円で発売。
こちらはクロム系やシルバー系のアウターパーツによる装飾を省略し、ハンドル柄をアルミニウム
合金ダイカスト製の成形物に変更。
さらにスプールも、EX系ではアルミニウム合金製前端リングが付くのだが、7000では樹脂一体
成形品にダウングレード。
代わりに、実釣での利便性を高めた替えスプールバリエーションとして、標準のナイロン2〜3号用
に加えてナイロン4〜6号用スプールも付属し、主に実釣派に歓迎されたようだ。
近年の投げ専用リールのほとんど全ての機種が、ハンドルを左右両方組替え可能になっている
が、当時のエアロキャストシリーズではハンドルタイプは左・右それぞれ専用設計となっており
組み換えはできない。
フラッグシップモデル:9000EX,準フラッグシップモデル:7000EXともに当初は左専用タイプのみ
発売されたが、後に7000EXは右専用タイプも追加発売された。
一方で量販モデルの7000は右専用タイプのみ販売され、機種毎にターゲットユーザーの趣向に
合わせたハンドルタイプの設定でラインナップを形成した。
これら3機種の初期モデルには糸ヨレを低減するV型ハードクロム・ラインローラーが装着された
が、常にラインが摩擦するラインローラーのV形状底部が磨耗し、ついには溝ができてしまう欠点
があった。
後期モデルではこの点を解消すべく全機V型SiCラインローラーに換装され、併せてラインローラー
の転がり抵抗を低減するパーツとしてベールアーム側に座金も追加装着された。
だが、ベールアームの角度,形状や摩擦部の仕上げ精度は同時期に発売されたリョービ・
プロスカイヤー7スーパーノーズの水準には及ばず、糸ヨレの蓄積がプロスカイヤー7より多い。
実投フィーリングでは、7000EXと9000EXの差異はほとんど感じられないが、やはりリリース直後
のライン放出は9000EXの方がスムーズで勢いが衰えないような印象を持つ。
テスト回数がまだ少なく5回だけであるが、エアロキャスト7000EXの飛距離指数は平均:1.012,
最高:1.025となっている。
テスト回数を増やせば、平均飛距離指数は1.020前後に落ち着くのでは?と期待するが、実は
7000EXの後継機:チタノスエアロGT8000の飛距離指数も同じく1.012である。
7000EX vs. 9000EXの直接対決結果では、7000EX:平均170.92m対9000EX:平均171.68m,
ダイワ・ウイスカーTHEキャスターEX-8000の飛距離指数=1.019をBMに用いた比較テストでの
飛距離指数で7000EX:1.015対9000EX:1.019と、その差はごく微量である。
このあたりは、スプールテーパーとストロークの違いが現れたものだろうか?
7000EX,9000EXともに、スウィング動作中のリール重心位置の存在感やそのバランス感が
優れるため、数ある投げ専用リールの中でもロッドの振り抜き感が素晴らしく爽快である。
近代投げ専用リールと比較すると、スプールエッジの勾配設計やラインローラーの糸ヨレ低減
機能で技術水準が低く、その分飛距離的には伸び代が少ないのだろう。
シマノ製35mmストローク&5度テーパースプールを装着するリールでは、'97年型スーパーエアロEV
が飛距離指数:1.018であるから、1997年モデルのEVに対して約30年前に設計された7000EXでの
飛距離指数:1.012は、十分に素晴らしいものであると言えるのではないだろうか。