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2010年1月16日現在
飛距離指数:1.029 (★★★★★)
平均飛距離:169.17m
(テスト回数:10回)
スペック | エアロキャスト 9000EX | |
発売時期 | 1981年 | |
スプール | 前端径 | φ58.0mm |
算出後端径 | φ66.2mm | |
ストローク | 39mm | |
勾 配 | 6度 | |
エッジ開放角度 | 0度 | |
全 長 | 55.6mm | |
糸巻き量 | ナイロン2号−300m | |
材 質 | 本体:樹脂 | |
リング:アルミニウム合金 | ||
スカート | なし | |
カタログ自重 | 475g | |
ナイロン2号糸込み質量 | 506g | |
フルストローク全長 | 183mm | |
オシュレーション方式 | 円筒カム単軸 2スピード:3.5度綾巻き 前:5.0ターン/後:9.75ターン |
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ボールベアリング | 2個 | |
ラインローラー | ハードクロム-V型 | |
マスターギヤ | 亜鉛合金 (ダイカスト) |
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メインシャフト | スチール φ6.5mm |
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ボディー&ロータ | アルミニウム合金 | |
ハンドルタイプ | 左専用/70mm | |
ハンドルグリップ | ウッド | |
ロータ回転方向 | 時計回り | |
ギヤ比 | 1:3.8 | |
メーカー希望小売価格 | 26,500円 |
現在ではシマノ投げ専用リールの代名詞として「エアロ」のネーミングがあるが、その系統の
ルーツである「エアロキャスト」シリーズの最高峰モデルがこの9000EXである。
エアロキャスト・シリーズは、全てドラグレス&スカートレス・コップ型スプールを採用した超遠投
専用マシンであり、円筒カムを用いた「クロスギヤ・ドライブシステム」による平行巻き機能が等速
仕様の4000,5000,7000,7000EXに対し、9000EXだけが特殊な2スピードオシュレーションと
なっていた。
上級機種である7000,7000EX,9000EXでは、オシュレーション機構をロータ内部に収納し、
ボディー内部にはマスターギヤとピニオンギヤ、そしてメインシャフト後端のオシュレーション・
スライダーだけが収納され、「がらんどう」であるがために劇的な軽量化を実現している。
後に、廉価版の4000&5000シリーズにも2スピード・オシュレーション機構を装備したEXモデルが
追加されたが、キャスティング競技の世界では軽量:35mmストロークでライントラブルを生じ難い
スプールテーパー角:5度仕様の7000EXと、ライン放出抵抗を極限まで低減し飛距離アップが
期待できる39mmストローク&スプールテーパー角:6度仕様の9000EXが、勢力を二分する形で
一世を風靡した。
実際に投げてみると、このリールの構造的特徴であるオシュレーション機構を納めたロータ付近
がほぼ重心となっており、キャスティング時には押し手に付加する力のベクトル方向とリールの
重心位置がうまく重なるために力が入り易い。
また、人差し指へのラインキープ角度も申し分なく、ミスキャストが少なく飛距離も安定する。
エアロキャスト9000EXの飛距離指数は1.029と高く、現在SC競技で最も多くの選手が使用して
いると思われるダイワ・トーナメントサーフZ45Cの飛距離指数:1.031とほぼ同じ実力となる。
ちなみに2スピード・オシュレーションとは、その昔まだコップ型テーパード・スプールに平行巻き
機構を搭載した投げ専用リールが市販される前に、キャスティング競技の世界では手作りの
「コップ型スプール」に一個一個ラインを手巻きしていた時代に、ライントラブルを低減する方策と
して編み出されたテクニックだそうだ。
2スピード巻きの基本は、スプールの後端側から前端側に向けてラインを密巻きし、反対に前端
側から後端側へは疎に巻いていたそうだが、スプールから放出されるラインの速度域に応じて
超密巻きと2スピード巻きとさらに広角綾巻きを組み合わせて、一個の試合用スプールが出来
上がったとか。
その後20年以上にわたり、後継機種に「2スピード・オシュレーション」は受け継がれたが、前進/
後退のロータ・ターン数比率は9000EXの0.51を最小に、以降のモデルではチタノス・エアロ
GT8000:0.65,チタノス・スーパーエアロGT7000:0.69,スーパーエアロXT:0.81,スーパーエアロ
EV(SA157):0.82と、年式モデルごとに等速オシュレーションに接近するチューニングが施された。
そして、2004年にモデルチェンジした「スーパーエアロEV(SA257)」では、とうとうオーソドックスな
等速オシュレーションとなり、2スピード・オシュレーションの23年の歴史に幕を下ろした。