シマノ
 チタノスエアロ GT6000

2009年3月23日現在

飛距離指数:0.988 (
★☆☆☆
平均飛距離:161.90m
(テスト回数:4回)


スペック チタノスエアロ GT6000
発売時期 1985年
スプール 前端径 φ59.0mm
算出後端径 φ63.9mm
ストローク 28mm
勾 配 5度
エッジ開放角度 約20度
全 長 45.7mm
糸巻き量 ナイロン2号−300m
材 質 本体:カーボン樹脂
リング:アルミニウム合金
スカート なし
カタログ自重 410g
ナイロン2号糸込み質量 435g
フルストローク全長 170mm
オシュレーション方式 円筒カム複軸
2スピード:3.5度綾巻き
前:4ターン/後:5.75ターン
ボールベアリング 3個
ラインローラー SiC-U型
マスターギヤ 超ジュラルミン金
(鍛造)
メインシャフト アルミニウム合金
φ6.5mm
ボディー&ロータ チタノス補強カーボン樹脂
ハンドルタイプ 左右両用/80mm
ハンドルグリップ 表層:ソフトラバー/コア:樹脂
ロータ回転方向 時計回り
ギヤ比 1:3.8
メーカー希望小売価格 13,500円
中級者向けハイスペックモデルとしてのミドルストローク機であるチタノスエアロGT6000は、
最近注目されているショートレングスロッド&ショートストロークリールの組み合わせでの
『ショートストローク・スポーツフィッシング』にも適する一台ではないだろうか?

しかし、このクラスの投げ専用リールはどちらかというとジュニア〜ビギナー向けエントリー
モデルとしての存在感が強く、シマノではチタノスエアロES5000(ストローク:25mm)、
ダイワではプロキャスター30,パワーキャスト30,ファインサーフ30(ストローク:30mm)の
各シリーズが存在した(する)が、いずれもスプールの材質やバリエーション,ギヤなど
駆動系のクォリティー面で、中,上級者がホンキで『ショートストローク・スポーツフィッシング』
を楽しむためのミドルストローク機としてはやや物足りない印象だ。

ところがチタノスエアロGT6000では、アルミニウム合金製スプールリングを備えた5度スプール
や2スピードオシュレーション,SiCラインローラー,超ジュラルミン製両端支持型マスターギヤ,
アルミニウム合金製メインシャフトなどのメカニズムを搭載し、2軸分離型クロスギヤドライブ
システムによるオシュレーション機構をエアロシリーズで初採用するなど、ストロークが28mm
であることを除けばスペック的には準フラッグシップモデルとしての品格を備えている。

チタノスエアロGT6000以降は中,上級者向けミドルストローク後継機は開発されなかったが、
両端支持型マスターギヤや2軸分離型クロスギヤドライブシステムといったメカニズムは、
エアロ後継機のほとんどにに受け継がれたことから、チタノスエアロGT6000は現代スーパー
エアロのルーツ的メカニズムを有するモデルともいえるだろう。

では実際の使用感、特に遠投性能やキャストフィールは如何なものだろうか。

キャスティング競技におけるGT6000ユーザーはほとんど見かけたことがなく、今回実投テスト
でのデータが唯一GT6000の遠投性能を現すことになるかも知れない。

結果的には、同じ28mmストローク機のダイワ・ウイスカーTHEキャスターEX-8000の飛距離
指数:1.019に比べると3ランクダウン、飛距離指数ベンチマークとなっているリョービ・
プロスカイヤー7スーパーノーズに比べても1ランクダウンの0.988という飛距離指数となった。

この値は、チタノスエアロGT6000よりも一世代前のミドルストローク機;ダイワ・プロキャスター
SS-8000(ストローク:25mm,飛距離指数:0.990)や、リョービ・プロスカイヤー7スーパーライト
Mark-2(ストローク:22mm,飛距離指数:0.980)とほぼ同等の遠投性能ということになる。

歴代エアロの中でも特に軽量化されたGT6000ではあるが、キャスティング動作中にはリール
重心の存在感が希薄なため、フィニッシュでロッドを押し込む際に違和感を覚える。

また、ボールベアリングを内蔵しない旧式のラインローラーと、ベールアームの形状,角度に
特別工夫がないことなどが要因となり、数回の投擲でかなりの糸ヨレを生じてしまう。
このため、投擲を重ねるごとに飛距離が低下する傾向にあり、ラインリリース直後には瞬間的
にライントラブルを生じている模様である。

他メーカーのミドルストローク機では、チタノスエアロGT6000と同等の飛距離指数(0.98〜0.99)
であっても、リール重心の存在感が明確で、キャスティング動作のフィニッシュでも気持ち良く
ロッドを振り切ることができる。
また、ボールベアリングを内蔵しない旧式のラインローラーは共通であるが、糸ヨレは気になる
レベルではなくライントラブルも生じず快適なキャスティングができる。

実釣でショートストローク・スポーツフィッシングを楽しむ場面においても、キャスティング競技に
おいても、投擲時の爽快感,正確度は重要項目であるため、残念ながらチタノスエアロGT6000
は投げ専用リールの中では最も低い評価点を与えることになってしまう。

メカニズムや仕様は準フラッグシップモデルとしての品格を備えたのだが、残念ながら『投げる』
上での使用感,フィーリングの面でのマイナスポイントは、ミドルストローク機としてのGT6000の
存在価値,認知度を高めることができなかった理由の一つになっているのかも知れない。