シマノ
 チタノス スーパーエアロ GT7000 & キススペシャル

2015年1月31日現在

飛距離指数:1.029 (
★★★★★
平均飛距離:169.11m

(テスト回数:17回)

 
チタノス スーパーエアロGT7000(初期モデル)             スーパーエアロ キススペシャル(後期モデル)

スペック チタノス スーパーエアロ
GT7000,キススペシャル
発売時期 1988年(初期モデル)
1994年(後期モデル)
スプール 前端径 φ64.5mm
算出後端径 φ71.3mm
ストローク 39mm
勾 配 5度
エッジ開放角度 45度
全 長 57mm
糸巻き量 ナイロン2号−300m
本体材質 樹脂
リング材質 ジュラルミン(GT7000)
    SiC(キススペシャル)
スカート なし
カタログ自重 510g(GT7000;初期モデル)
485g(キススペシャル;初期モデル)
ナイロン2号糸込み質量 543g(GT7000:初期モデル)
523g(キススペシャル;後期モデル)
フルストローク全長 184mm
オシュレーション方式 円筒カム複軸
2スピード:3.5度綾巻き
前:5.0ターン/後:7.25ターン
ボールベアリング 3個(初期モデル)
5個(後期モデル)
ラインローラー SiC-U型 & SiC-V型(初期モデル)
ボールベアリング内蔵-U型(後期モデル)
マスターギア 超ジュラルミン
(鍛造)
メインシャフト アルミニウム合金
φ6.5mm
ボディー&ローター チタノス補強カーボン樹脂(初期モデル)
樹脂(後期モデル)
ハンドルタイプ 左右両用/85mm
ハンドルグリップ 表層:ソフトラバー/コア:樹脂
ローター回転方向 時計回り
ギヤ比 1:3.8
メーカー希望小売価格 14,000円(GT7000;初期モデル)
30,000円(キススペシャル;初期モデル)
初代エアロキャスト全機種と二代目チタノスエアロのフラッグシップモデル:GT8000は、ハンドル
タイプが左右各片側専用となっており、マスターギヤの軸受けがボディーの片側一方支持構造
であったがために、軸受けメタルの磨耗に伴うガタツキを生じ易い欠点があった。

また、スチール製メインシャフトに刻まれたクロスギア(ウォームシャフト)では、リーリング時に
掛かるラインテンションがメインシャフトの首振りをもたらし、クロスギヤとカムピンとの異常摩擦
からカムピンが磨耗進行して経時劣化的にオシュレーションが作動しなくなる傾向があった。

エアロシリーズ三代目となるチタノス・スーパーエアロでは、フラッグシップモデルのキススペシャル
と準高性能機:GT7000に、エアロキャスト9000EX以来となる39mmのロングストローク・スプール
を装備し、軽量化と高耐久性を実現する2軸型円筒カム式クロスギア・ドライブシステムを採用した。

軽量アルミニウム合金製メインシャフトとスチール製クロスギア軸を2軸分離型とすることで、
メインシャフトの首振りによるカムピンの異常磨耗が防止されたため、クロスギア・ドライブ
システムの耐磨耗性能が大幅に向上した。

超ジュラルミン製マスターギアが両端ベアリング支持方式となったことで、ハンドルタイプも左右
両用型に変更。

従来機で不満であった、ハンドル回転時のマスターギアの軸ブレは皆無となり、オシュレーション
機構,マスターギア軸受け精度ともに耐久性が数段アップした。

廉価版兄弟機には、糸落ち防止機構を装備した35mmストローク仕様のGT6000,GT5000をライン
ナップし、初級者から中級者にも手軽に扱えるロングストロークモデルとしてリリースされた。

全機種とも2スピード・オシュレーションは標準装備であり、替えスプールのバリ エーションや
ラインローラーの材質,ボールベアリング数,ハンドル柄の材質グレードなどで差別化した。

キャスティング競技では、39mmストローク&開放角:45度のSiCスプールリングを装備しながら
シリーズ最軽量:485gの、スーパーエアロ キススペシャルが人気を集めた。

前モデル:チタノスエアロGT8000よりも大口径化された前端径:64.5mmスプールは、人差し指
へのラインキープ角度を約85度に保てるため、キャスティング時にはライン・テンションをリニアに
感じ取ることが可能で、ミスキャストがなく会心のパワーキャスティングをもたらしてくれる。

結果として、コンスタントに飛距離指数は1.030〜1.040をマークしており実投比較した投げ専用
リールの中では最高ランクの超遠投パフォーマンスを発揮している。
その実力は2003年発売のスーパーエアロ テクニウムMgよりも勝り、私自身10年以上
キャスティング競技本番用に愛用した実績があり、絶大な信頼感を得ている
ダイワ・トーナメントサーフZ45シリーズに匹敵するものである。

その実力を物語るように39mmストローク・スーパーエアロは1988年の発売から1996年までの
9年もの間キャスターに愛され続けた長寿モデルで、1994年式モデルからはラインローラーが
ボールベアリング内蔵型パワーローラーにグレードアップするビッグ・マイナーチェンジを受けた。

当時ボールベアリング内蔵ラインローラーで技術先行していたダイワ・トーナメントプロキャスター
SS-45Uの1ボールベアリング構造に対してスーパーエアロ キススペシャル(後期モデル)の
ラインローラーは2ボールベアリング構造を採用し、リーリング中にラインローラーに掛る荷重の
均一安定化とそれにより得られるボールベアリングの耐久寿命向上を実現している。

また、後期モデルではボディー&ロータがチタノス補強カーボン樹脂から単なる樹脂に材質変更
されたが、初期モデルと同様キャスティング動作中のリールフット周りの捻れ,ブレは感じられず
高い剛性感から安心してフルスウィングが可能である。

後継機種で樹脂製ボディー&ロータを採用するSA157型スーパーエアロEVでは、キャスティング
動作中にリールフット周りが捻れてしまいリリースタイミングを掴み難い欠点がある。

このことからも、25年も以前に設計されたこのリールが近代投げ専用リールと比べても非常に
優れた遠投性能を有する、いわば1980年代最強の投げ専用リールであることが説明できるの
ではないだろうか。