10スーパーエアロ スウィングキャスト (SA40)

2019年11月30日現在

@標準ナイロン3号用カーボン樹脂製スプール装着時
新・飛距離指数:0.960 (★★☆☆☆
平均飛距離:151.02m
(テスト回数:10回)

A夢屋・ナイロン1.5号用アルミ冷間鍛造製スプール装着時
新・飛距離指数:0.979 (★☆☆☆
平均飛距離:155.57m
(テスト回数:7回)

新・飛距離指数=12スーパーエアロ フリーゲンの飛距離を基準値:1.000(BM)として指数表示したもの
飛距離計測方法は、SC研究レポート>Vol.95:『川練習での飛距離測定方法の検討』に記載の方式で算出

     
      標準仕様ナイロン3号用カーボン樹脂製スプール装着           標準仕様ナイロン3号用カーボン樹脂製スプール装着(軽量化タイプ)


     
      夢屋・ナイロン1.5号用アルミ冷間鍛造製スプール装着           夢屋・ナイロン1.5号用アルミ冷間鍛造製スプール装着(軽量化タイプ)

スペック 10スーパーエアロ スウィングキャスト (SA40)
発売時期 2010年
スプール スプールタイプ 標準ナイロン3号用
カーボン樹脂製スプール
夢屋・ナイロン1.5号用
アルミ冷間鍛造製スプール
前端径 φ76.0mm φ73.5mm
算出後端径 φ76.0mm φ77.5mm
ストローク 35mm 35mm
勾 配 0度 マルチテーパー4度
エッジ開放角度 45度 67度
全 長 51.1mm 52.6mm
ナイロン2号
糸巻き量
カタログ値:300m
実測値:300m
カタログ値:150m
実測値:220m
本体材質 カーボン樹脂 アルミニウム合金
リング材質 カーボン樹脂一体 アルミニウム合金一体
スカート なし なし
メーカー希望
小売価格
3,100円(税別)
6,000円(税別)
※サンドプロテクター,ケース付属
カタログ自重 590g -
ナイロン2号糸込み質量
(標準仕様)
615g 575g
ナイロン2号糸込み質量
(軽量化仕様)
598g 558g
フルストローク全長 200.0mm
オシュレーション方式 円筒カム複軸
等速:2.4度スローオシュレーション
前後各7.58ターン
ボールベアリング 5個(うち1個ローラーベアリング)
ラインローラー パワーローラーV
(耐食処理シールドボールベアリング1個内蔵)
マスターギヤ 超々ジュラルミン
(冷間鍛造)
メインシャフト アルミニウム合金
φ6.5mm
ボディー&ローター 高強度樹脂製ボディー & ローター
ハンドルタイプ 左右両用/85mm
ハンドルグリップ 軟質ラバー
ローター回転方向 時計回り
ギヤ比 1:3.5
メーカー希望小売価格 19,000円
2008年にデビューしたスーパーエアロシリーズのフラッグシップモデル:
08スーパーエアロ キススペシャルMgのDNAを継承した廉価版モデルが、
2009年に発売された、09スーパーエアロ スウィングキャストXTと、
2010年に発売された、10スーパーエアロ スウィングキャストである。

09スーパーエアロ スウィングキャストXTはシルバー色に塗装されたボディーにアルミマシンカット製
80mmハンドルとアルミ冷間鍛造製ノーテーパースプールが装備され、光沢のある派手目の外観
デザインとなっている。

一方、10スーパーエアロ スウィングキャストはメタリックブルー色に塗装されたボディーと、同色塗装
されたアルミダイカスト製85mmハンドル、そしてカーボン樹脂製ノーテーパースプールが装着され、
派手さのないやや地味な外観デザインとなっている。

前者のアルミ冷間鍛造製ノーテーパースプールと、後者のカーボン樹脂製ノーテーパースプール
には互換性があり、各スプールとも08スーパーエアロ キススペシャルMgと同じく前端径:76mm,
勾配:0度,エッジ開放角度59度(1.5号用),45度(3号用),33度(5号用)のディメンションとなって
いる。

各モデルにはナイロン1.5号用スプールとナイロン3号用スプールが装備された細糸仕様と、
ナイロン3号用スプールとナイロン5号用スプールが装備された標準仕様がラインナップされている。

同じ仕様のスプールを2個付属する方が良いと感じるユーザーもいるかと思うが、仕様毎のスプール
の組み合わせも、08スーパーエアロ キススペシャルMgと同じになっている。

しかもこれらのスプールには08スーパーエアロ キススペシャルMgと同様に12段階タラシ調整機能が
装備されており、キャスティング競技の世界ではごく普通に利用される2cm刻みの緻密なタラシ調整
が可能となっている。


スプールの六角形突起とスプール受けの星形内径により12段階のタラシ調整が可能

10スーパーエアロ スウィングキャストのターゲットユーザー層が、果たしてこの12段階タラシ調整を
使うことがあるのかどうかは不明であるが、SC研究の題材として実投比較する私にとっては
欠かせないアイテムである。

09スーパーエアロ スウィングキャストXTと10スーパーエアロ スウィングキャストは、どちらも
超々ジュラルミン製マスターギヤをはじめとしたアルミ製駆動系パーツを多用して、回転フィールは
全く同仕様のようである。

その回転フィールであるが、二世代前の97スーパーエアロ EVとの比較では特に目立った進化は
感じられず、ごく普通の樹脂製ボディーらしいややチープな巻き心地である。

しかし駆動系パーツのレイアウトだけは進化しており、08スーパーエアロ キススペシャルMgの
駆動系レイアウトを踏襲しており、ウォームシャフト(クロスギヤ軸)とオシュレーションスライダー
(摺動子)などのオシュレーション機構をボディー上側に設置した「低重心ボディー」となっている。

従来のスーパーエアロシリーズでは、ウォームシャフトとオシュレーションスライダーはマスターギヤ
軸よりもボディー下側に配置されていたが、特殊なオシュレーションスライダー形状により
ウォームシャフトとオシュレーションスライダーガイドをマスターギヤ軸よりも上側に配置した低重心
ボディーとなった。

この低重心ボディーの駆動系レイアウトは、元々は97スーパーエアロ テクニウムから採用された
ものであるが、初代は左右専用ハンドル仕様でマスターギヤ軸が片側支持方式だったことで実現
したレイアウトである。
08スーパーエアロ キススペシャルMgからは、低重心ボディー駆動系レイアウトがマスターギヤ軸
が両側支持方式となる左右両用ハンドル仕様でも成立するよう、オシュレーションスライダーの
形状が「つ」の字型となっているのが最大の特徴である。


97スーパーエアロ EV のオシュレーション駆動系レイアウト
オシュレーション駆動系パーツはメインシャフトよりも下側に配置されている
ピニオンギヤからウォームシャフトギヤへはダイレクトに駆動伝達される


08スーパーエアロ キススペシャルMg のオシュレーション駆動系レイアウト
オシュレーション駆動系パーツはメインシャフトよりも上側に配置されている
ウォームシャフトギヤはアルミ製だが中間ギヤはポリアセタール製で軽量化を優先か


10スーパーエアロ スウィングキャスト のオシュレーション駆動系レイアウト
オシュレーション駆動系パーツはメインシャフトよりも上側に配置されている
ウォームシャフトギヤ,中間ギヤともに真鍮製を採用して軽量化よりは耐久性重視か

低重心ボディーでのオシュレーション駆動系レイアウトでは、メインシャフトとウォームシャフトとの
軸間距離がマスターギヤ軸を跨ぐ形で長くなることから、ピニオンギアからウォームシャフトへの
駆動伝達部には中間ギアを設置するスペースが確保される。

この中間ギヤを2段構造とすることで、ピニオンギヤからウォームシャフトギヤへの駆動伝達で
回転数を減速し、オシュレーション速度をチューニングしている。


10スーパーエアロ スウィングキャスト のオシュレーション減速機構

1周10歯のピニオンギヤ1回転当たり、1周7歯の中間ギヤは約1.43回転する。
中間ギヤには1周9歯の第二ギヤが一体で取り付けられており、1周15歯のウォームシャフトギヤに
駆動伝達されることで 1.43×(9÷15)=約0.86回転に減速される。
ウォームシャフトの1ストロークは6.5周であるから、この間に必要なピニオンギヤ回転数は
6.5÷0.86=約7.58回転となる。

つまり、スプールが35mmストロークする間にローターが7.58回転することになり、巻き取りラインの
交点が重複することなく整然と巻き取られるように設計されている。
この点は廉価版モデルとは思えない、凝ったオシュレーション仕様ではないかと考える。

08スーパーエアロ キススペシャルをベースとしたこのオシュレーション駆動レイアウトは、
11スーパーエアロ キススペシャル コンペエディションや12スーパーエアロ フリーゲン,
13スーパーエアロ サーフリーダー CI4+ 35にも継承されている。

モデル毎に設定されたオシュレーション速度や回転フィール(クオリティー)に応じて、個々のパーツ
の材質や組み付け精度は異なる仕様となってようであるが、基本的な駆動系レイアウトは共通
である。


11スーパーエアロ キススペシャル コンペエディション のオシュレーション駆動系レイアウト
オシュレーション減速比を高めるために二段階の小型ウォームギヤを組み込んでいる


13スーパーエアロ サーフリーダー CI4+ 35 のオシュレーション駆動系レイアウト
中間ギヤを二組に増やすことで大きなオシュレーション減速比を安価に得ている
中間ギヤはポリアセタール製で重量アップを最小限に抑えているようだ

そんな09 & 10スーパーエアロ スウィングキャストであるが、私自身が考えるキャスティング競技用
リールの理想的自重値の上限:500gよりも90gも重いカタログ自重:590gな時点でこれまで全く
興味を示さなかった。

さらに、03スーパーエアロ テクニウムMgから08スーパーエアロ キススペシャルMgに継承された
大口径・ノーテーパースプールを09 & 10スーパーエアロ スウィングキャストでも採用している点で
「飛ばない」イメージが強く、この点でも興味を示さなかった。

ところが今更ではあるが、10スーパーエアロ スウィングキャストを実投評価をしたくなってきた。
実はこのリールには12スーパーエアロ フリーゲン,13スーパーエアロ サーフリーダー CI4+ 35用
スプールと、夢屋・アルミ冷間鍛造4度マルチテーパースプール(ナイロン1号用,1.5号用,3号用,
5号用)やSC競技専用のナイロン2号用2027スプールなどC-1型の4度マルチテーパースプールが
装着可能であるが、非密巻きの等速オシュレーションを採用しているのである。

11スーパーエアロ キススペシャル コンペエディションと12スーパーエアロ フリーゲンはスーパー
スロー10仕様の密巻きモデル、13スーパーエアロ サーフリーダー CI4+ 35はスーパースロー5仕様
の密巻きモデルであるが、これらの密巻きリールではバックラッシュなどのライントラブル発生率が
高いことが欠点に挙げられる。

10スーパーエアロ スウィングキャストのオシュレーション速度は、前後進各7.58ターン,ライン交錯
角度2.4度であるが、このスペックは昭和の銘機:エアロキャスト 7000EXのオシュレーション速度:
前後進各7.4ターン,ライン交錯角度:2.9度にごく近い設定であるから、バックラッシュ発生率はほぼ
ゼロ化できる期待が持てる。

ライン放出抵抗の少ない夢屋・C-1型マルチテーパースプールが装着でき、バックラッシュ発生率を
抑えられる等速オシュレーション仕様の投げ専用リール=10スーパーエアロ スウィングキャスト
という理由で、このリールの実投テストを思い立った次第である。

ところで、飛距離計測が可能な陸上練習場を失った今、どうやって飛距離を比較するのか?
という難問が生じるが、そこはReport #095で報じた手法で飛距離計測を行い実投比較した。

従って、かつての陸上投擲での投げ専用リール飛距離比較とは計測手法が異なることから、
新しい飛距離指数として12スーパーエアロ フリーゲンでの飛距離を基準値(BM:1.000)として、
10 スーパーエアロ スウィングキャストをはじめとする比較対象リールの新・飛距離指数を評価した。

その実投評価の結果であるが、最も懸念していた615gものリール自重は確かにスウィングスピード
を鈍らせる要因になっており、実投比較に用いたロッド:魚心観・HYBRID HERITAGEを振り切る
ことにかなりの労力を要した。

それでも、スウィング動作終盤のラインリリースタイミングにはリールが重いことによる慣性力が
作用している効果なのか、無理にロッドを押し込まなくても自然に「もう一押し」してくれるような感触
だった。

10スーパーエアロ スウィングキャストの実投比較結果を表2に示す。

表2 10スーパーエアロ スウィングキャストの実投比較結果
リール機種 シマノ
12スーパーエアロ
フリーゲン
4度マルチテーパースプール
シマノ
10スーパーエアロ
スウィングキャスト
0度スプール
シマノ
10スーパーエアロ
スウィングキャスト
4度マルチテーパースプール
シマノ
94スーパーエアロ
キススペシャル
(参考データ)
シマノ
97スーパーエアロ
EV
(参考データ)
評価項目 上位60%
飛距離
平均飛距離
(新・飛距離指数)
上位60%
飛距離
平均飛距離
(新・飛距離指数)
上位60%
飛距離
平均飛距離
(新・飛距離指数)
上位60%
飛距離
平均飛距離
(新・飛距離指数)
上位60%
飛距離
平均飛距離
(新・飛距離指数)
第1回テスト
(各10投)
158.7m
153.3m
152.6m
151.1m
150.0m
150.0m
152.62m
(1.000)
159.0m
158.8m
156.7m
153.1m
152.8m
152.6m
155.51m
(1.019)
163.0m
161.6m
158.1m
157.8m
156.9m
156.1m
158.91m
(1.041)
第2回テスト
(各10投)
161.6m
157.7m
153.3m
151.1m
151.1m
148.9m
153.93m
(1.000)
146.3m
144.4m
142.5m
141.8m
141.2m
139.6m
142.63m
(0.927)
145.2m
142.5m
142.4m
140.8m
140.3m
138.3m
141.60m
(0.920)
第3回テスト
(各12投)
161.4m
153.3m
152.2m
151.1m
150.0m
150.0m
149.5m
152.49m
(1.000)
152.8m
150.4m
146.5m
145.3m
144.9m
142.9m
142.9m
146.41m
(0.960)
158.4m
157.7m
153.4m
151.3m
148.8m
148.6m
147.8m
152.28m
(0.999)
第4回テスト
(各10投)
159.8m
154.8m
154.4m
153.7m
153.3m
151.7m
154.62m
(1.000)
154.7m
153.3m
152.1m
150.0m
147.5m
147.3m
150.81mm
(0.975)
152.2m
151.2m
149.2m
148.5m
147.2m
146.3m
149.09m
(0.964)
第5回テスト
(各8投)
181.7m
179.5m
178.5m
175.8m
173.0m
177.71m
(1.000)
155.5m
154.7m
154.5m
154.3m
152.3m
154.24m
(0.868)
163.6m
163.4m
162.2m
161.6m
158.6m
161.90m
(0.911)
161.0m
157.3m
153.1m
153.1m
149.7m
154.86m
(0.871)
第6回テスト
(各8投)
169.3m
167.5m
160.9m
159.8m
156.6m
162.82m
(1.000)
151.2m
151.2m
149.4m
147.0m
146.1m
148.98m
(0.915)
156.7m
156.4m
155.0m
152.1m
151.2m
154.30m
(0.948)
第7回テスト
(各10投)
155.5m
150.0m
147.4m
146.7m
146.7m
143.4m
148.27m
(1.000)
148.7m
147.0m
144.6m
142.7m
140.5m
137.2m
143.43m
(0.967)
145.1m
144.4m
143.3m
142.3m
140.9m
139.4m
142.56m
(0.962)
第8回テスト
(各10投)
164.7m
164.2m
160.3m
158.7m
156.6m
156.6m
154.62m
(1.000)
169.7m
167.1m
164.4m
163.7m
161.3m
160.3m
164.42m
(1.027)
166.4m
162.2m
160.2m
158.8m
157.4m
157.4m
160.41m
(1.002)
第9回テスト
(各10投)
158.7m
157.7m
155.9m
153.9m
153.3m
152.2m
154.62m
(1.000)
161.5m
157.6m
153.2m
151.7m
151.4m
149.7m
154.51m
(0.995)
161.2m
158.5m
157.1m
156.4m
156.4m
155.9m
157.57m
(1.015)
160.8m
159.8m
158.8m
155.7m
149.3m
148.5m
155.48m
(1.001)
第10回テスト
(各8投)
162.5m
159.8m
155.5m
155.0m
154.4m
154.62m
(1.000)
154.3m
153.8m
151.1m
145.3m
141.8m
149.25m
(0.948)
156.8m
154.7m
154.2m
150.6m
150.4m
153.32m
(0.974)
146.5m
145.0m
141.3m
138.1m
137.9m
141.79m
(0.901)
総合評価 157.43m
(1.000)
151.02m
(0.960)
155.57m
(0.979)
148.58m
(0.912)
149.79m
(0.973)
評価項目 上位60%
飛距離
平均飛距離
(新・飛距離指数)
上位60%
飛距離
平均飛距離
(新・飛距離指数)
上位60%
飛距離
平均飛距離
(新・飛距離指数)
上位60%
飛距離
平均飛距離
(新・飛距離指数)
上位60%
飛距離
平均飛距離
(新・飛距離指数)
リール機種 シマノ
12スーパーエアロ
フリーゲン
4度マルチテーパースプール
シマノ
10スーパーエアロ
スウィングキャスト
0度スプール
シマノ
10スーパーエアロ
スウィングキャスト
4度マルチテーパースプール
シマノ
94スーパーエアロ
キススペシャル
(参考データ)
シマノ
97スーパーエアロ
EV
(参考データ)


飛距離評価の結果、12スーパーエアロ フリーゲンと10スーパーエアロ スウィングキャストとの
対決結果は予想通りに10スーパーエアロ スウィングキャストの惨敗であり、新・飛距離指数は
カーボン樹脂製ノーテーパースプールが0.960、アルミ製4度マルチテーパースプールが0.979という
結果になった。

10スーパーエアロ スウィングキャストの飛距離においては、スプール仕様の違いによる新・飛距離
指数差は0.019であり、実飛距離の差では3〜5mに相当することが判った。

概ね予想通り、ノーテーパースプールよりも4度マルチテーパースプールの方が飛距離において
1ランク上のポテンシャルを持っているという結結論になるだろう。

それでも、12スーパーエアロ フリーゲンとの飛距離差がは-4%前後であり、160mを基準にすると
3〜6mほど飛距離ダウンすることになるが、この飛距離ダウンの要因が自重が重いことと、
オシュレーション速度が非密巻きの等速仕様であることに起因しているようである。
重い自重とオシュレーションの非密巻き化、飛距離ダウンに対してどちらの影響度が高いのか
というと、恐らくではあるが自重の重さが大きく影響しており、オシュレーションの違いによる影響は
僅かであると考える。

また、参考データとして各3回ずつ94スーパーエアロ キススペシャル,97スーパーエアロ EVとの
実投比較も行ったが、意外にも615g最重量級ノーテーパースプール仕様の10スーパーエアロ
スウィングキャストの飛距離は、97スーパーエアロ EVには僅差で負けたものの94スーパーエアロ
キススペシャルよりも約4%ほど優れた新・飛距離指数をマークした。
やや重めで非密巻きオシュレーション仕様の投げ専用リール同士の比較においては、
10スーパーエアロ スウィングキャストの飛距離はまずまずレベルが高いということが判明した。
これは正直、意外な結果であった。

そんな10スーパーエアロ スウィングキャストであるが、スプール,ハンドルAssy,ベール,
スプールノブを歴代スーパーエアロ用パーツに換装することにより軽量化が可能である。

最もインパクトが強いのが、スプールである。

  
   10SA スウィングキャスト         12SA フリーゲン          夢屋・アルミ鍛造
   ナイロン3号用スプール       ナイロン1.5号用スプール
      ナイロン1.5号用スプール

標準装備のカーボン樹脂製ナイロン3号用ノーテーパースプール(ナイロン2号ライン300m巻き)は
115gであるが、12スーパーエアロ フリーゲンナイロン1.5号用4度マルチテーパースプール
(ナイロン2号ライン230m巻き)または夢屋・アルミ鍛造ナイロン1.5号用4度マルチテーパースプール
(ナイロン2号ライン230m巻き)の75gに換装すれば40gの軽量化が可能である。

次にインパクトが強いのが、ハンドルAssy。

  
 10SA スウィングキャスト用ハンドル     94SA キススペシャル用ハンドル

標準装備のアルミダイカスト製ハンドルAssyは90gもあるが、88or94スーパーエアロ キススペシャル
のアルミマシンカット製ハンドルAssy(77g)に換装することで13gの軽量化が可能である。

他にも、ワンピースベール(28g)を12スーパーエアロ フリーゲン用または
13スーパーエアロ サーフリーダー CI4+ 35用(26g)に換装して2gの軽量化が可能であるのと、
スプールノブ(5g)も同2機種用のもの(3g)に換装すればさらに2gの軽量化が可能となる。

 
10SA スウィングキャスト用ベール 亜鉛ダイカスト製バランサーの肉厚が大きい

 
12SA フリーゲン用ベール 亜鉛バランサーがスリム化されて2g軽い

    
10SA スウィングキャスト用スプールノブ   12SAフリーゲン用スプールノブ

すべてのパーツを換装すると、実に56gの軽量化が実現し、ナイロン2号ライン込みのリール自重
はノーマル仕様の615gから559gまで軽量化が可能となる。

ここまで軽量化できると、 キャスティング競技の練習用リールとしては十分実用的な自重値では
ないだろうか。
というのも、実釣用兼練習用に使用している97スーパーエアロ EVがライン込み自重574g,
94スーパーエアロ キススペシャルがライン込み自重523gであるから、
10スーパーエアロ スウィングキャスト(改)は両者の中間的な自重値となるのである。

ただし、10スーパーエアロ スウィングキャストのラインローラーは、兄弟機:
パワーエアロ スウィングキャストとの部品共用しているのか、U溝型の幅広タイプを採用しており、
このラインローラーのままでナイロン2号ラインでの投擲と巻き取りを繰り返すと、ほんの数投で
ラインにヨレが蓄積し、投擲時にラインがガイドに巻き付くなどのトラブルを生じ易くなる。

私自身は、97スーパーエアロ EVまたは13スーパーエアロ サーフリーダー CI4+ 35用の
V溝型ラインローラーに換装して、10スーパーエアロ スウィングキャストの実投テストを行っている。
このパーツ交換だけでも、ナイロン細糸での糸ヨレはかなり軽減できているようである。

          
10SA スウィングキャスト用ラインローラー  13SA サーフリーダー用ラインローラー

総合すると、ノーマル仕様では重い&あまり魅力のない投げ専用リールの
10スーパーエアロ スウィングキャストであるが、アルミ製4度マルチテーパースプールへの交換
などによる軽量化で、キャスティング練習機としての活用が可能なようである。

しばらくキャスティング練習機兼実釣用機として、川や海で酷使してみよう。