オリムピック
 メカサーフ 48EX

2009年3月23日現在

飛距離指数:1.018 (
★★★★☆
平均飛距離:165.31m

(テスト回数:4回)


スペック メカサーフ 48EX
発売時期 1990年
スプール 前端径 φ68.0mm
算出後端径 φ76.4mm
ストローク 48mm
勾 配 5度
エッジ開放角度 57度
全 長 91.5mm
糸巻き量 ナイロン2号−200m
材 質 本体:樹脂
リング:アルミニウム合金
スカート なし
カタログ自重 555g
ナイロン2号糸込み質量 595g
フルストローク全長 223mm
オシュレーション方式 円筒カム複軸
等速:3.1度綾巻き
前後各7.75ターン
ボールベアリング 3個
ラインローラー チタンコート-U型
(角度調整可能)
マスターギヤ 超ジュラルミン
メインシャフト スチール製メインシャフト(φ6.0mm)
アルミ製スプールシャフト(φ11.0mm)
ボディー&ロータ 樹脂製ボディー&ロータ
ハンドルタイプ 左右両用/90mm
ハンドルグリップ 樹脂
ロータ回転方向 時計回り
ギヤ比 1:4.1
メーカー希望小売価格 30,000円
1990年、オリムピック初の平行巻き機構を備えたメカサーフ48EXがデビュー。

当時はダイワ・トーナメントプロキャスターSS-45(45mmストローク),シマノ・チタノススーパー
エアロ・キススペシャル(39mmストローク)が人気で、翌1991年にはリョービ・プロスカイヤー7
スーパーノーズ4570が登場するなど、40mm級ロングストロークが花盛りとなった。

メカサーフ48EXのオシュレーション機構は、他社投げ専用リールとは前後方向に正反対の
レイアウトを採用し、一般的スピニングリールではスプールが装着されるはずのメインシャフト
(φ6.0mm)はボディー後端にナットで固定され、ロータ内でメインシャフトを内装するよう組み
付けられたオシュレーションスライダー(アルミニウム合金製:φ11.0mm)の先端がスプール
装着部になっている。


左:リヤキャップとボディーサイドカバー,マスターギヤを外したメカサーフ48EX
右:ボディー後端のナットを外しロータ内から取り出したオシュレーション機構


レイアウトこそ斬新なオシュレーション機構であるが、円筒カムの外側にオシュレータに挿通
されるスリーブ(レベルワインドガード)を持つ構造はダイワ・トーナメントプロキャスターSS
シリーズの模倣であり、独自性はみられない。

また、本家ダイワ方式では、円筒カムの軸受け部にポリアセタール樹脂製ブッシュを装着し、
メカニカル・フリクションの低減や使用に伴う磨耗劣化の防止を入念に行っているのに対して、
メカサーフ48EXでは円筒カム軸受け部へのブッシュ装着はない。

駆動系の設計技術,ノウハウやユーザーの使い心地への配慮の点では、本家ダイワの方に
軍配が上がる。

スプール着脱方式は、かつてのダイワ・プロキャスターシリーズのようにスプールシャフトへの
ネジ込み方式となっており、キャスティング時のタラシ長さ調整自由度はスプール一回転刻み
となる。

チタンコート・ラインローラーが組み付けられたベールアームには角度調整機構が装備されて
いるが、この機構はプロスカイヤー7シリーズからのコピー技術であり、目新しさは感じられない。

メカサーフで独自性が見られる点は、フライヤーロック機構なるシステム。
これは、キャスティング時にベールアームを反転するとロータの回転が完全にロックされて、
振り止めの反動でベールアームが戻ってしまうトラブルを防止するものである。

ロータ内に設置された金属爪が、ベールアームの反転に伴ってボディー側に成形された突起
形状間にかみ込むことで、ロータの回転をロックしている。
最近の投げ専用リールでは当たり前の装備であるが、当時では珍しいシステムであった。


左:ボディー側に成形されたフライヤーロック用突起形状(11箇所)
右:ベールアームの開閉に伴い昇降するフライヤーロック用金属爪


なお、通常のストッパー機構もダイワ・トーナメントプロキャスターSSシリーズの機構を模倣して
いるが、マスターギヤの軸部にリーフスプリングを装着するダイワ方式に対して、樹脂製の
ストッパー爪昇降リング(アンチリバースポールガイド)をマスターギヤ軸部に挿通。

マスターギヤ軸とストッパー爪昇降リングとの間にある程度の摩擦力が必要なために、ゴム製
Oリングと金属スプリングでアンチリバースポールガイドを挟み込む構造のみ、独自技術である。

斬新なオシュレーション機構を採用する反面、超ジュラルミン製マスターギヤはディッシュ部分
が他社製リールに比べて厚いこと、ジュラルミン製ハンドルは90mmものロングタイプであること、
スプールリングにはデザイン的な余肉形状があることなど、軽量化に対して積極的なアピール
を感じない。


超ジュラルミン製マスターギヤは肉厚が大きくやや重い

結果、カタログ値:555g,2号ライン込み実測値:595gと、リール自重はかなりの重量級に仕上
がっている。

しかしながら、実投テストではこの595gの自重は欠点に感じられず、人差し指へのラインキープ
角度やスウィング中のリール重心位置感覚などはまずまず合格点の範疇にある。

飛距離指数は平均1.018で、スペック的にも年式的にも競合するモデル…
トーナメントプロキャスターSS-45系(飛距離指数:1.025)には0.007ポイント(約1.1m),
チタノス スーパーエアロGT7000(飛距離指数:1.029)には0.011ポイント(約1.9m)
負けている。

テスト回毎には、ハイスピンダー系ガイドセッティングのロッドでは飛距離指数:1.021〜1.026
の値で安定していたのに対し、ローライダー系ガイドセッティングのロッドでは飛距離指数が
1.004まで落ち込んでいる。
このあたりの傾向は、プロスカイヤー7スーパーノーズ4570やトーナメントサーフZ45U-Competition
などの大口径スプールのリールと同様だろう。