ダイワ 　プロキャスター　SS-8000

2009年3月23日現在

飛距離指数：0.990　（★☆☆☆☆）
平均飛距離：160.45m
（テスト回数：2回）

1981年に、プロキャスター7000の後継機としてプロキャスターSS-8000が登場。
当時のダイワは、リールのグレード構成としてST，GS，SS，EXの4階級を設定しており、
EX-9000Sに次ぐグレード機種としてSSの称号が与えられた。

二代目マグネシウム合金製ボディー＆ロータ搭載のこのモデルは、ついにダイワ初の平行巻き
システム：フラットワインディング機構と、25mmロングストローク＆6度テーパード・スプールを採用
し、キャスティング競技専用モデル：プロキャスターEX-9000Sの「飛び」をより身近なものにした。
スプール・ノブを持たず、ネジを切ったメインシャフトにスプールを直接ネジ込み装着する方式は、
プロキャスター7000＆EX-9000S譲り。
キャスティング時のタラシ長さ調整の自由度が低い点がデメリットだが、ダイワはこのスプール
着脱方式をプロキャスターSS-8000の後継モデル：ウイスカー・キャスターシリーズやその下位
モデル：カーボキャスターGSサーフシリーズにも継承し、1986年の製造終了まで11年間；5世代
にわたって採用し続けた。

フラットワインディング機構は、ピニオンギヤの回転をウォームシャフト（円筒カム）・ギヤに伝達し
、回転するウォームシャフトに噛み合ったポール（オシュレーション・カムピン）が、メインシャフトに
連結されたオシュレーション・スライダーを往復運動させる仕組みである。

リョービの「3層一軸型トラバースカム方式」に比べると、ボディー内部にメインシャフトとウォーム
シャフトの二本のシャフトを収納するスペースが必要になるが、ボディー後端にメインシャフト
（オシュレーション・スライダー）が突き抜けることがなくリール全長がコンパクトに設計できる。

また、円筒カムやオシュレーション・スライダーのパーツが小型化され、将来的なストロークの延長
にも対応できるメリットがある。
SS-8000で初採用されたフラットワインディング機構のスタイルは、最終的には2000年に販売を
終えた「トーナメントサーフZ45T」まで、20年の長きにわたりストローク延長と部品レイアウトの
一部変更などのチューニング以外に大幅な設計変更を受けることなく、ダイワ・投げ専用リールの
心臓部を支え続けた。

そして2001年に登場した「トーナメントサーフZ45C」をはじめ、後継機Z45�U，ベーシア45シリーズ
全てにも、フラットワインディング機構の基本レイアウトはそのままに、軽量でより滑らかな
オシュレーションへと改良されたメカが継承され続けている。

プロキャスターSS-8000の飛距離指数は0.990（2006年12月03日現在）。
この値はプロスカイヤー7スーパーライトMark-�Uの0.980，チタノスエアロGT6000の0.988に次ぐ
ワースト3位となるが、不思議なことにプロスカイヤー7スーパーライトMark-�Uと
プロキャスターSS-8000はキャスティング時のフィーリングがよく似ている。

それはSS-8000，スーパーライトMark-�Uともに、キャスティング時には自重値よりも軽く感じ
られる点であり、リールの質量がコンパクト設計されたリール容積中に均一に分散していることが
特徴だと考える。

本来ならば、リールの重心位置がリールフットの直下からややロータ寄りに感じられるリールで
キャスティング時の押し込み力をコントロールし易いものだが、ボディー，ロータ，マスターギヤ，
スプールなど、リールの主要な質量要素を軽量・コンパクトに設計したリールでは質量重心が
分散化するために、スウィング中にはリールがとても軽く感じられるようだ。

その結果、ロッドだけを振っているイメージでキャスティング動作が行え、ロッドの振り抜き感が
向上し、ミスキャストやライントラブルが大幅に減少するため、飛距離は高い水準で安定する。

実釣ユースを前提にした当時の投げ専用リールとしては、十分に優れた遠投性能を有する
モデルだといえるが、やはりストローク：25mm＆テーパー角：6度のスプールサイズでは、
飛距離的にはこの値が限界だろう。