'11年01月17日

Report #080  SC研究を支える脇役たち@…ビデオカメラ編


1. フォームチェックの必需品!

スポーツキャスティングでは、より遠くへより正確に投げる技術を体得するための練習や、大会本番
での自分自身の投擲を客観的に分析し、よりイメージ通りの投擲フォームに補正するためのツール
としてカメラは欠かせない存在である。

というのも、自分自身の投擲が目視できず、投擲動作が瞬時的であるが故に第三者の直接目視に
基づくアドバイスにも100%の絶対的確実性がないからである。

これはどのスポーツ種目においても共通の悩みなのであろうが、キャスティング競技においても
スポーツである以上飛距離や投擲精度に対する論理的な裏付けや考察をするためには瞬時的
動作を正確に映像化する必要があるからだ。

そこで今回は、SC研究にとってロッドやリールなどのタックル並みに選択肢が広い一方で、選ぶ
方法,基準があまり知らえていない『カメラ』について歴史的変遷と要求特性について解説しよう。

2. SC研究用カメラの歴史〜時代はアナログからデジタルそしてハイビジョン画質へ…

 2.1 カメラ第一世代…アナログ時代

一口に『カメラ』と言っても静止画を撮影するものと動画を撮影するものの2種類に分類される。

私自身がキャスティングの練習にカメラを持ち込み始めた1992年頃には、35mmフィルムに静止画
を撮影する『スチールカメラ』と、撮影した動画映像のアナログ信号をVHS-Cテープなどに磁気記録
する『ビデオカメラ』が選択肢に挙げられた。

スチールカメラは撮影したフィルムを写真屋さんで現像処理してもらわないと撮影画像を見ることが
できず、また高速シャッターに対応したカメラはプロ用一眼レフしか存在しなかったため、
キャスティング動作の撮影用としては実用的ではなかった。

一方でビデオカメラは1980年代末に一般家庭用が発売され始めたばかりで歴史は浅かったのだが、
撮影した映像は自宅のテレビにつないで再生可能であり、ビデオカメラをビデオデッキに接続すれば
ダビング編集も可能であったことからキャスティング動作の撮影用として実用可能であった。

当時のビデオカメラでもシャッタースピードは1/500〜1/1000秒の高速設定があり、再生用のビデオ
デッキにコマ送り再生機能があればキャスティングフォームのチェックに限らずロッドの曲がり具合や
シンカーの軌跡も、目視チェックが比較的手軽に行えるようになった。

私自身は当時貧乏学生でスチールカメラもビデオカメラも買うことができなかったのだが、兄が購入
したビデオカメラを借用して練習や大会での投擲を撮影したものである。

ただし、ビデオのコマ送り再生画面を静止画像に変換保存する機能はビデオカメラにもビデオデッキ
にも搭載されておらず、テレビモニターの表面に貼り付けた透明フィルムにロッドやシンカーの軌跡を
サインペンで重ね書きして、キャスティング研究を行っていた。

ビデオデッキの一時停止機能は磁気ヘッドとカセットテープの劣化損傷を防止するために、一定時間
(5分程度)を過ぎると映像再生が停止してしまう。
そのため、投擲動作中のロッドやシンカーの軌跡を透明フィルムに書き終えるまでに何度も再生と
一時停止,コマ送り操作を行う必要があり、数投分の軌跡を記録するだけでも膨大な時間を要した。

この当時キャスティングフォームの研究に活用したビデオカメラはVictor GR-S95であるが、映像を
記録するVHS-Cカセットテープの録画可能時間が1本当たり20〜30分、標準バッテリーの録画時間
は40〜45分程度だったと記憶している。

キャスティング大会ではバッテリーを2個とカセットテープを3本持ち込み、自分自身の投擲以外には
優勝争いをするトップクラスの先輩選手に撮影許可を願い出て、7〜8名×5投分を撮影するのが
精一杯であった。

当時はキャスティング大会でビデオ撮影をする選手はまだ少なく、しかも自分の投擲だけでなく
『雲の上の存在』的な一流選手の方々にビデオ撮影のお許しを頂く訳だから、投擲時以上に緊張
しながら声をお掛けしたものである。

それがきっかけで、先輩選手の方々からキャスティングに関する様々なご指導を頂くことができ、
カメラだけでなく選手同士の関わりもまたアナログ的な時代であった。


    1996年当時のキャスティングフォーム研究


アナログ世代にSC研究で活用したビデオカメラ

Victor GR-S95
使用時期 1992年9月〜2000年6月
有効画素 33万画素
シャッタースピード 〜1/1000秒
録画方式 S-VHS,VHS規格
映像データ
記録メディア
VHS-Cカセットテープ
連続撮影
可能時間
不明
液晶モニター 非搭載
標準小売価格 178,000円


 2.2 カメラ第二世代…デジタル化の幕開けと急速な進化

その後、1997年頃に一般ユーザー向けの静止画撮影用デジタルカメラが登場し、静止画が手軽に
パソコンへデータ保存ができて、写真屋さんで現像することなくモニターでチェックすることも可能
となった。

しかし、当時の静止画撮影用デジタルカメラもアナログ時代と同様に高速シャッターには対応して
おらず、キャスティング動作の撮影には不向きであった。

キャスティング動作の撮影に使用可能な静止画撮影用デジタルカメラが登場したのは2000年以降、
200万画素以上の高画質モデルが次々と発売された時期に入ってからである。

三洋電機社から200万画素で15コマ/秒の連写機能を搭載した機種が発売され、キャスティング
フォームの撮影に実用可能なデジタルカメラとして注目された。

動画撮影用ビデオカメラも、1997年頃にmini DVカセットテープにデジタル映像信号を磁気記録する
デジタルビデオカメラが登場し、2000年頃のモデルから既にシャッタースピード:1/500〜1/8000秒
のデジタルシャッターが搭載されていた。

投擲タイミングに合わせてシャッターボタンを押す必要がある静止画撮影用デジタルカメラに比べて、
デジタルビデオカメラではカメラを三脚に固定してスイッチを入れっ放しにしておけばバッテリーと
カセットテープの容量範囲で簡単に連続撮影が可能である。

そのような理由から、私自身は『動画派』となりデジタルビデオカメラを購入したのが2000年7月。
以来10年以上の間、ビデオカメラを用いたキャスティングフォーム研究を続けている。

2000年当時のデジタルビデオカメラでは、バッテリーの連続撮影能力は液晶モニター使用時で
2時間前後,液晶モニター非使用時で3時間前後と、初代ビデオカメラ:Victor GR-S95に比べると
大幅にスタミナアップしている。

カセットテープの録画時間も、VHS-Cの20〜30分に対してmini DVでは60〜80分まで長くなった。

これらの性能向上により、キャスティング練習や大会本番の撮影ではバッテリーやカセットテープ
の残量だけを気にしながら、録画モードのままで自分自身の投擲に集中することが可能である。

さらに、デジタルビデオカメラには撮影した映像をコマ送り再生しつつそこからデジタル静止画を
取り込む機能が付いていたことから、スウィング動作を連続的に静止画保存した『連写画像』を
デジタルデータでパソコンに保存し、スライドショーソフトを用いてコマ送り映像でフォームチェック
することが可能になった。

ただし、デジタルビデオカメラで撮影した映像を取り込み編集,保存するには家庭用パソコンの
性能が追い付いておらず、また撮影映像を記録するmini DVテープが当初1本当たり300〜350円
と高価であったことから、撮影した映像は安価なVHSビデオテープにアナログダビングして残す
『半デジタル・半アナログ時代』がしばらく続いた。

そんな半デジタル・半アナログ時代も、2003年頃から本格的に完全デジタル化へと移行する。
家庭用パソコンでも、IEEE1394インターフェースとDVDドライブを増設すればデジタルビデオ映像
の取り込み・編集とWindows Media Video(WMV形式)やDVD-Video(MPEG-2規格)への
エンコード・保存が可能になった。

特にWMV形式へのエンコード・保存は、OSがWindows XPのパソコンに標準搭載するソフトウエア:
Windows ムービーメーカーで実行可能であり、不要シーン削除やコマ送り画像の静止画取り込み,
テロップの挿入など多彩なデジタル操作が短時間で手軽にできるようになった。

さらに2005年頃には家庭用パソコンにIEEE1394インターフェースとデジタルビデオ映像の編集・
保存ソフトウエア,DVDスーパーマルチドライブが標準装備され始め、キャスティングフォーム研究
のデジタル環境が整いつつあった。

私自身は、この11年間にPanasonic NV-DS200,Canon IXY DV-M,Victor GR-DA30と3台の
DV方式デジタルビデオカメラを愛用してきた。

最初に購入したNV-DS200では、アナログ映像からデジタル映像に変わったことによる画質の
美しさにまず驚いたものだが、後に買い換えたIXY DV-Mでは69万画素映像のキメ細かさと色調
再現性能,1/8000秒高速シャッター撮影能力とその映像から取り込んだ静止画像の画質の良さ
などあらゆる面で十分な満足感を得た。

GR-DA30では廉価版カメラ故に撮影画質や機能がNV-DS200以下に大幅ダウンしたが、大容量
バッテリー1個での連続撮影可能時間は5時間40分と長く、キャスティング大会時には大容量+
普通容量の2つのバッテリーで一コート分全投擲の撮影も可能となった。

各デジタルビデオカメラともデジタルシャッターに1/4000〜1/8000秒の高速シャッター撮影機能が
備わっているが、高速シャッター撮影では絞り調整がシビアなため天候や射光方向などの撮影
コンディションの変化に合わせた微調整が必要である。

NV-DS200では高速シャッター設定時は絞り調整もマニュアル設定を要求されたが、IXY DV-Mと
GR-DA30では高速シャッター使用時の絞り調整が自動化され、あらゆる撮影コンディションで鮮明
な動画と静止画が撮影可能になった。

こうしてデジタルビデオカメラ第一世代は急速に性能向上し、得られる映像情報も鮮明・膨大となり
ビデオ映像によるキャスティングフォーム研究のスピードも大幅に加速した。

一方で、撮影したビデオ映像のパソコンへの取り込みには撮影時間と同じだけの時間が必要で、
不要シーンを削除編集しDVD-Videoファイルにエンコード・保存するのも映像時間と同等か
それ以上の時間を要する点で、やや不満が感じられるようになった。


デジタル第一世代にSC研究で活用したデジタルビデオカメラ

Panasonic NV-DS200 Canon IXY DV-M Victor GR-DA30
使用期間 2000年7月〜2004年3月 2004年3月〜2008年4月 2008年4月〜2009年5月
撮像素子 1/4型 39万画素CCD 1/4型 133万画素CCD 1/6型 68万画素CCD
有効画素数 36万画素 69万画素 34万画素
シャッタースピード 1/60〜1/8000秒 1/60〜1/8000秒 1/60〜1/4000秒
録画方式 DV方式 DV方式 DV方式
映像データ
記録メディア
mini DVカセットテープ mini DVカセットテープ mini DVカセットテープ
連続撮影
可能時間
3時間5分(液晶モニター非使用)
2時間20分(液晶モニター使用)
4時間40分(液晶モニター非使用)
3時間50分(液晶モニター使用)
約5時間40分(液晶モニター使用)
液晶モニター 3.5型(20万画素) 2.5型(20万画素) 2.4型(11.2万画素)
購入価格 138,000円 89,800円 29,800円
動画映像から
取り込んだ静止画


 2.3 カメラ第三世代…デジタルビデオカメラの高性能・高画質化

2006〜2008年にはデジタルカメラは静止画撮影用,動画撮影用ともに低価格・高性能化が進み、
撮影能力が大幅に向上した。

静止画撮影用カメラが700万〜1000万画素、動画撮影用カメラは200万〜500万画素が標準的と
なり、撮像素子がCCDイメージセンサー(以下CCD)からCMOSイメージセンサー(以下CMOS)へと
変遷が始まったのもこの時期である。

2008年頃までは高画質カメラ用にはCCD、Webカメラ用や携帯電話搭載カメラ用、つまり廉価版が
求められる用途にはCMOSとの使い分けが一般的だったようだ。

CCDはマス目に整列した画素子が得た画像(色強度)情報を瞬時一斉に電荷信号として蓄積し、
その電荷信号を順序良く画像処理回路に高速転送して画像データに増幅変換する機構のため、
動きの早い対象物も撮影可能である。

もう一つのイメージセンサー、CMOSはマス目に整列した画素子が得た画像(色強度)情報を個別
の画素子内で電荷信号に増幅変換して画像処理回路に伝達するが、電荷信号の伝達経路を複数
の画素子で共用しており各画素子の色強度情報発信タイミングに時間差が生じることから、動きの
早い対象を撮影した際に画像がゆがむ欠点がある。

それが、2008年頃を境に高画素数CMOSの電荷信号伝達が高速・高効率化し画像処理技術も
向上したことから、高画質タイプのデジタルカメラで動画撮影用,静止画撮影用共にCMOSを採用
するモデルが急速に増えた。

さらに、動画撮影用デジタルビデオカメラでは映像データの記録にハードディスク(以下HDD)や
内蔵フラッシュメモリー(以下内蔵メモリー)が用いられるようになり、mini DVカセットテープ方式
は一部のHDV規格(1440〜1920×1080ピクセル)ハイビジョン画質タイプの動画撮影用デジタル
ビデオカメラを残して順次姿を消した。

2010年時点で、動画撮影用デジタルビデオカメラではイメージセンサーがCCDとCMOSの2種類、
撮影画質が有効画素数:60〜120万のMPEG-2規格スタンダード画質(720×480ピクセル)タイプ
と有効画素数:120〜500万画素のAVCHD規格ハイビジョン画質(1920×1080ピクセル)タイプの
2種類、撮影映像の記録メディアはHDDと内蔵メモリーの2種類と、選択範囲が広くなっている。

HDDや内蔵メモリーに映像を記録する機種では撮影映像のパソコンへの取り込みがUSB2.0規格
デジタルデータ転送となったことで、従来のmini DV方式よりも大幅に高速化されて旧式デジタル
ビデオカメラでの不満が一つ解消された。

ただし、ハイビジョン画質の映像では撮影映像の編集とエンコード・保存の実行に若干制約があり、
2008年以降に発売されたパソコンでも上位グレードのCPU性能とブルーレイ・ディスクドライブなどの
ハードウエアが必要となり、撮影映像の編集やエンコード・保存に特殊性や効率を求めるとパソコン
やカメラに標準付属される編集用ソフトウエアではなく専門的なソフトウエアが必要となる。

一方でスタンダード画質の映像では制約はほとんどなく、2007年式以降のパソコンであれば大抵の
機種で編集,エンコード・保存が可能であり、パソコンやカメラに標準付属される編集用ソフトウエア
でも十分満足なDVD-Videoの作成が可能となった。

では、動画撮影用デジタルビデオカメラの高性能化が進んだ今日において、キャスティングフォーム
の研究に適するカメラ選択とはどのようなタイプになるのだろうか?

ハイビジョン画質がもたらす鮮明な映像はとても魅力的であるが、自分自身のフォーム研究だけで
なく競技仲間へのDVDディスクでの映像配布も考えると、再生機器が限られるハイビジョン画質
よりはスタンダード画質の方が実用的である。

私自身は2009年5月にキャスティング研究用デジタルビデオカメラを買い換えたのだが、そのような
考えから総画素数:216万,有効画素数:117万のCCDで撮影した映像を40GB HDDにスタンダード
画質で9時間30分記録可能なVictor GZ-MG275(2008年式)を選択した。

GZ-MG275ではかつて愛用したIXY DV-Mと同等かそれ以上の高画質録画が可能であり、さらに
元使用していたVictor GR-DA30のバッテリーがそのまま使用できることと、撮影した映像をパソコン
で編集してDVD-Videoディスクを作成するためのソフトウエアを付属している点も好都合である。

CCDの画素数増加とHDDや2.7インチ液晶画面の電力消費が増えた影響で、連続撮影時間は
大容量バッテリーでも3時間50分と若干短くなったが、それでもバッテリーが2個あれば一コート分
全投擲の撮影が可能である。

一つだけGZ-MG275の機能面で不満に感じるのが、ビデオカメラ本体で動画映像から静止画像
(連射画像)が取り込みできない点である。

従来のDV方式デジタルビデオカメラではほとんどの機種で再生映像を一時停止すればその場面の
静止画像を取り込むことができたのだが、GZ-MG275にその機能はない。

代わりに、カメラに付属するソフトウエアで再生映像を一時停止して静止画像を取り込むのだが、
MPEG-2映像をこのソフトウエア上で一時停止した映像は、実は2回の高速シャッター映像
(インターレース・フィールドという)を単純合成した画像が表示される。
その2回の高速シャッター映像は1/60秒の時間差で撮影されているため、取り込んだ静止画には
ロッドが2本写ってしまい鮮明さに欠ける点がやや不満である。

DV方式デジタルビデオカメラのIXY DV-Mでは、再生映像からの静止画取り込み時には2つの
インターレース・フィールドを単純合成せず、特殊な画像処理を行うことで二度写りを防止する機能
が備わるため、取り込んだ静止画像に写るロッドは1本だけで画質も鮮明であった。

GZ-MG275の撮影映像でIXY DV-M並みに鮮明な静止画像を取り込むには、比較的高度な機能を
有する動画編集ソフトが必要である。
一例では、Corel社製動画編集ソフトウエア:Video Studio Proなどを用いて、再生映像の一時停止
画像から静止画像を取り込むことで、インターレース・フィールドが鮮明に二度写りなく合成される。

このように欠点も少しあるが、画質の良さ,バッテリーの持ち,撮影データの編集・保存における
利便性など、総合的にはこれまでキャスティングフォームの研究に使用したデジタルビデオカメラの
中でも最高の満足感を得ている。

そしてもう一台、我が家にはHDV規格ハイビジョン画質デジタルビデオカメラ:Canon iVIS HV30も
あるのだが、こちらは2004年から2008年まで愛用していたIXY DV-Mが故障したのでメーカー修理
を依頼したものの、部品保管期限切れにより修理不可能との回答で、代替品交換で購入したもの。

先述のように、ハイビジョン映像では編集,エンコード・保存の操作性が悪く、不要シーン削除など
の編集作業では一つ一つの操作毎に十秒単位の待機時間が発生する上に、約1時間分の映像を
ブルーレイディスクにエンコード・書き込みを行うのに約5時間を要する。

また、iVIS HV30では高速シャッター設定が最速でも1/2000秒までしかなく、かつて愛用したDV-M
のように1/4000〜1/8000秒で撮影できなくなったこともあり、キャスティング動作の撮影には使用
せず専ら子供たちの学校行事,成長記録用に利用している。


デジタル第二世代にSC研究で活用中のビデオカメラ

Victor GZ-MG275 Canon iVIS HV30
使用時期 2009年5月〜 2009年3月〜 ※SC撮影には未使用
撮像素子 1/3.9型 218万画素CCD 1/2.7型 296万画素CMOS
有効画素 117万画素 207万画素
シャッタースピード 1/2〜1/4000秒 1/8〜1/2000秒
録画方式 MPEG-2 HDV1080i
映像データ
記録メディア
40GB HDD mini DVカセットテープ
連続撮影
可能時間
3時間50分(液晶モニター使用) 2時間30分(液晶モニター不使用)
2時間15分(液晶モニター使用)
液晶モニター 2.7型ワイド(11.2万画素) 2.7型ワイド(21.1万画素)
購入価格 29,900円
(標準価格:オープン価格)
動画映像から
取り込んだ静止画
@

カメラ付属
ソフト使用
撮影データなし
動画映像から
取り込んだ静止画
A

Corel Video Studio
使用
撮影データなし


3. 2011年、SC研究用カメラに求める性能は

各カメラメーカーからは2011年春モデルのデジタルカメラが発売され始めたようだが、キャスティング
動作の撮影に欠かせないのが1/4000〜1/8000の高速シャッター設定である。

一部メーカーではさらにシャッター速度が高速化され、1/10000秒設定も可能なデジタルビデオカメラ
も発売されているが、Canon社のように高速シャッター機能を簡素化する動きもあるようだ。

ハイビジョン画質の映像では不要シーン削除やスタンダード画質へのエンコードなどの編集作業を
パソコンで行うにはCPU性能や処理時間などに制約があるが、デジタルビデオカメラ自体に編集
機能を付加することでHDDやブルーレイディスク,DVDディスクに映像データを記録・保存することが
手軽に行えるよう技術改善も進んでいるようだ。

Victor社製ハイビジョン画質デジタルビデオカメラではカメラ本体で編集したハイビジョン映像を、
IO-DATA社製のUSB接続式ブルーレイディスクドライブやHDDに直接保存が可能であるし、
Panasonic社やSONY社製ハイビジョン画質デジタルビデオカメラでは同一メーカー製ブルーレイ
ディスクレコーダーに撮影映像の直接保存が可能となるなど、ハイビジョン画質映像の編集・
保存における脱・パソコン化;直接保存型ストレージ(外部記憶装置)利用が進んでいる。

一方で静止画撮影用デジタルカメラは、1000万〜1400万画素の高画質で一秒当たり10〜40枚の
高速連写が可能な機種が各メーカーから発売されており、さらに一部の機種ではスタンダード画質
(640×480ピクセル)以下ながら毎秒120〜1000フレームのハイスピードムービー撮影機能も付加
されている。

被写体の動きをより高度な分解性能で記録するコンセプトは共通であるが、大切な思い出を高画質
ハイビジョン映像で長時間記録しつつ撮影から保存,再生の操作をより手軽・簡素化した動画撮影用
デジタルビデオカメラと、記録したい一瞬をより緻密な画像(映像)データで残すことができる機能を
備えた静止画撮影用デジタルカメラ。

それぞれがユーザーニーズに沿う形で進化を続けているが、長時間無人撮影が可能な動画撮影用
デジタルビデオカメラの方がキャスティング練習や大会の映像を記録するには利便性が高いことに
変わりはないようである。

これからキャスティングフォーム研究用カメラの購入をお考えの方には、用途別に以下の仕様を
お勧めしたい。

@無人・長時間撮影によりキャスティング練習や大会で映像記録を残し、
  投擲時の飛距離データも突き合わせながら大型モニターで映像を見てフォーム研究する場合。
    ⇒ ハイビジョン画質・内蔵メモリー記録方式の動画撮影用デジタルビデオカメラを。
     ※映像データの編集・保存方法がパソコン利用,カメラ内編集&直接保存型ストレージ利用
      など選択肢が広がりつつあるので、映像保存用機器も熟慮の上で選定のこと。

A無人・長時間撮影によりキャスティング練習や大会で映像記録を残し、
  投擲場面をパソコンだけで編集してDVDディスクなどで保存・再生しフォーム研究する場合。
    ⇒ スタンダード画質・HDD,内蔵メモリー記録方式の動画撮影用デジタルビデオカメラを。
     ※スタンダード画質のデジタルビデオカメラは廉価版だけのラインナップになりつつあるため、
      色調再現性能や映像の精彩さにおいて満足できる機種が少なくなってきているが。

B過去に撮り溜めたmini DVカセットテープの映像もパソコンに取り込みたいし、
  当面はパソコンでMPEG-2規格のDVD-Videoに編集・保存ができれば良い場合。
    ⇒ SONY社しかラインナップを持たないがHDV規格ハイビジョン対応デジタルビデオカメラを。
      あるいはDV規格スタンダード画質デジタルビデオカメラの中古品または新古品を。
     ※HDV規格デジタルビデオカメラでは、パソコンへの取り込み時に
      MPEG-2規格スタンダード画質にダウンコンバート可能であり、
      ハイビジョン画質のマスター映像はmini DVカセットテープで保管可能。

C仲間同士で投擲動作を撮影し、シンカー軌道やロッドの曲がり,身体の動きなどの
  投擲フォームのクセを高精彩・高分解画像にパソコンモニターなどで表示・分析する場合。
    ⇒ 高速連写やハイスピードムービー撮影機能を有する静止画撮影用デジタルカメラを。
     ※仲間同士で撮影画像を即時的に共有することが比較的容易。

なお@〜Bのうち、動画撮影用デジタルビデオカメラからの買い替えの場合には、元使用している
カメラと同一メーカーの製品で同じバッテリーが引き続き使用できる機種があれば、買い替え候補
にピックアップするのも投資金額を引き上げることなく撮影時間を2倍にできるメリットがある。

さらに、各メーカー,機種毎の仕様書から、イメージセンサーのタイプ(CMOSとCCD)やイメージ
センサーの大きさ(1/2.7型や1/4型など;分母の値が小さいほど高画質)とRGB 3原色分解性能
の違いを確認することで、ニーズにマッチするカメラの選定が可能ではないだろうか。


ちなみに、引き続き『動画派』の私としては上記@に傾倒しつつあるので、近いうちにキャスティング
フォーム研究映像をハイビジョン画質に切り替えたいと希望するのだが。

一方で、映像記録の画質が大幅に向上しても、自身の飛距離アップはあまり期待できなくなっている
のが寂しいところか。