'11年02月27日

Report #081  SC研究を支える脇役たちA…パソコン(デジタル画像編集)編


1. 何といってもSC研究には必需品!

Report #080では、キャスティングフォームの研究に欠かせないツールの一つとしてビデオカメラの
歴史と要求特性を解説した。

今回は、そのビデオカメラで撮影した映像を編集・保存し、静止画像を取り込む作業や、飛距離
データの分析などに欠かせないパーソナルコンピュータ(以下パソコン)について、歴史的変遷と
要求特性について解説しよう。

2. SC研究用パソコンの歴史〜時代は高速CPU&ブルーレイによる高画質映像対応へ…

 2.1 SC研究用パソコン第一世代…Windows 98時代

1998年から数年の間に一般家庭にもパソコンが普及したきっかけとして、オペレーションシステム
(以下OS)にWindows 98やWindows Meを搭載したパソコンが10万円前後で発売され始めたことの
影響が大きいのではないだろうか。

その一世代前、OSの主流がWindows 95の頃には職場にはパソコンはあるが一般家庭にはまだ
普及しておらず、もちろんビデオカメラで撮影した動画をパソコンで編集してみようという考えは全く
持っていなかった。

Windows 98を搭載したパソコンが登場したのは今から13年前の1998年。
それから約5年ほどの間にWindows MeやWindows XPなどの新しいOSが誕生するのに合わせて、
一般家庭にも急速にパソコンが普及した。

普及当初のWindows 98〜Windows Meパソコンでできたことと言えば、デジタルカメラで撮影した
静止画やデジタルビデオカメラの機能を用いて撮影動画から取り込んだ連写画像をパソコンの
ハードディスク(以下HDD)などに保存し、モニターでチェックを行う程度のことであった。

それでも、表計算ソフトを用いた飛距離データの分析や、文書作成ソフトを用いた論理的考察の
文書化には十分に機能的だと感じたものである。

私自身がパソコンを用いてデジタル静止画,連写画像の保存・チェックや飛距離データの分析を
開始したのが今から8年前の2003年1月のこと。

当時在籍した神戸中央サーフのクラブHPにスポーツキャスティングを紹介するコーナーを新設
することになり、その原稿作成用に貰い物のIBM Aptiva 20J(1999年式)を導入した次第。

そのAptiva 20Jの性能では、デジタルカメラで撮影した静止画やデジタルビデオカメラの動画
から取り込んだ連写画像のモニター表示はできても編集はできず、手を加えることなくエクセル
やワードに貼り付けるだけであった。

この頃、職場のパソコンがほぼ全てが当時最新のOSであるWindows XPに更新完了しており、
自宅のAptiva 20Jとの性能差に愕然としたものであるが、2005年8月までの2年半はAptiva 20J
でコツコツと地道な研究を続けた。

Windows 98時代にSC研究で活用したパソコン

  IBM Aptiva 20J
発売時期 1999年9月
使用時期 2003年1月〜2005年8月
OS Windows 98
CPU AMD K6-2 400MHz
メインメモリ 64MB RAM
グラフィック
アクセラレーター
チップセット内蔵
(SiS社製 SiS 530)
ビデオメモリ 4MB (メインメモリと共用)
ハードディスク容量 6GB (UltraDMA/33)
光学ドライブ CD-ROM
ディスプレイ 15インチ カラーCRT
(1024×768ドット)
デジタル静止画
編集機能
×
デジタルビデオ動画
編集機能
×
デジタルビデオ
インターフェース
×


 2.2 SC研究用パソコン第二世代…Windows 2000 & Windows XP時代

2000年にはビジネスパソコン用に新しいOS:Windows 2000が登場し、さらに翌2001年には
家庭用からビジネス用に幅広い動作環境をもたらす新OS:Windows XPが登場すると、ソフト面,
ハード面ともに技術的進歩が一気に加速した。

特に、2002〜2004年にかけて高速演算CPU:Intel Pentium4を搭載したWindows XPパソコン
が登場すると、飛躍的に向上した演算処理能力によりデジタルカメラで撮影した静止画像の編集
作業はもちろんデジタルビデオカメラで撮影した動画の編集作業も実行可能となった。

パソコンでの動画編集には専用のソフトウェアが必要になるが、Windows XPでは標準装備する
ムービーメーカーでデジタルビデオカメラの撮影動画の取り込みから不要シーンの削除,テロップ
の挿入などの編集作業と、編集動画をWMV形式でCDディスクやDVDディスクに保存することが
可能となった。

 
 Microsoft 「Windowsムービーメーカー」の編集画面  
  左側にツールリスト,中央に素材動画リスト,右側にプレビューモニター,
  下帯にストーリーボードの配置
  テロップ挿入も容易でWEB掲載可能なWMV形式の動画作成に便利なソフトウェア


WMV形式では編集動画の保存画質(圧縮レベル)が任意に設定可能であり、高圧縮保存すれば
そのままWEBデータとしてHPで公開可能であることは利点であったが、画質の粗さが目立つのと
パソコン上でしか鑑賞できないファイル形式である点が欠点でもあった。

せっかくデジタルビデオ動画を編集して保存するのだから、WMV形式よりもより高画質な
MPEG-2形式でDVDディスクに保存がしたいとの考えから、自宅でのSC研究用パソコンを
Aptiva 20Jから買い替える際には動画編集とDVD-Video形式での保存が可能なソフトウェアを
プリインストールした機種を選定。

こうして2005年8月に初めて購入したパソコンが、富士通 FMV-DESKPOWER CE50L5である。

当時ビジネス用パソコンではIntel Pentium4 2.6〜3.0GHzのCPUが主流となっていたが、
一般家庭用パソコンであるDESKPOWER CE50Lでは演算能力はIntel Pentium4 2.6GHzと同等
でありながら低消費電力・低発熱・低価格タイプのCPU:AMD Sempron 3300+を搭載。

DESKPOWER CE50LはIEEE1394端子を備え、DV方式デジタルビデオ動画の取り込みから
編集,DVDディスク作成までを実行するソフトウェアとして、Panasonic Motin DV STUDIOが
プリインストールされていた。

また、デジタル静止画レタッチ用ソフトウェアとして@フォトレタッチがプリインストールされて
いたのだが、機能面に不満があったのでJasc Software:Paint Shop Pro 8を購入。
職場でPaint Shop Pro 6を使用していたこともあり、そのバージョンアップ版を迷わず選択
した次第。

Paint Shop Proシリーズの中でも動作が重いと不評のVer.8であるが、DESKPOWER CE50Lの
性能であれば問題なくデジタル静止画のレタッチ作業が可能であり、スウィング動作研究の
ための連写画像合成やテキスト挿入,ベクターデータ挿入などで活用した。

 
 Jasc Software 「PaintShop Pro 8」の編集画面  
  上帯と左側にツールアイコン,中央に編集画像,右側にカラーマテリアルの配置
  機能的なツールが豊富に揃っておりWin XPには最もお勧めのレタッチソフト


 
 PaintShop Pro 8でのデジタル画像合成例
  1/30秒刻みのロッドしなりを重ね合わせた写真


総合的に評価すれば、DESKPOWER CE50LはCPUこそ廉価版中位性能品を搭載するものの、
汎用的なソフトウェアが豊富にプリインストールされていることで付加価値を高めた一般家庭用
マルチユースパソコンという位置付けになるのだろうか。

そのDESKPOWER CE50Lを用いてのキャスティングビデオの動画編集では、
 ・60分テープ3本(180分)の動画をパソコンのHDDへ取り込む待ち時間が180分
 ・180分の元動画から保存したいシーンだけを約70分抽出する編集作業に120〜180分
 ・シーン分割や削除操作都度の待ち時間は各3〜5秒
 ・約70分に編集した動画をMPEG-2形式ファイルにエンコードする待ち時間が約35〜40分
 ・約70分のMPEG-2形式ファイルをDVDディスクに書き込みする待ち時間が約50〜60分
 =合計460分程度
でDVDディスクが完成するのだが、このうち手動操作を要する時間は2工程目の編集作業だけ
であり、あとの作業は大半がパソコンの演算処理やハードウェアの実行完了を待つだけである。

 
 Panasonic 「Motin DV STUDIO」の編集画面  
  左側にプレビューモニター,右側に素材動画リスト,
  下帯にストーリーボードの配置
  操作性も良くエンコードも早くて便利なソフトウェア


その『処理待ち時間』にはCPU稼働率の全てが動画データの処理に充てられるため、
他のアプリケーションは全く起動できない。

そこで、DESKPOWER CE50Lの処理待ち時間にデジタル静止画像の編集やエクセル,
ホームページビルダーなどの比較的軽い作業だけを行う目的で、サブ機パソコンを購入した。

サブ機選定にあたっては、操作性や動作安定性,耐久性に評判の良い富士通製ビジネス用
ノートパソコン:FMV-LIFEBOOKシリーズを選択。

LIFEBOOK 6866NU(2006年9月〜2007年7月)とLIFEBOOK 7160NU3(2008年3月〜2010年7月)
の2台を使用したが、CPUやメモリ,HDDのスペックこそ必要最低限レベルながらWindows XP
よりも数段軽快に動作するWindows 2000仕様なので、軽い作業に限定した「ちょい使い」には
随分と重宝した。

特にLIFEBOOK 7160NU3では、Paint Shop Pro 8を用いて700万画素級デジタルカメラ画像を
5枚程度まで同時にレタッチ作業が可能とあって、「御調山SC研究所」HPの作成にも活躍した。


Windows 2000〜Windows XP時代にSC研究で活用したパソコンたち

  
  富士通 FMV-DESKPOWER CE50L5 富士通 FMV-LIFEBOOK 6866NU 富士通 FMV-LIFEBOOK 7160NU3
発売時期 2005年4月 2001年10月 2002年10月
使用時期 2005年8月〜2010年5月 2006年9月〜2007年7月 2008年3月〜2010年7月
OS Windows XP Home Edition Windows 2000 Professional Windows 2000 Professional
CPU AMD Sempron 3300+ (2.2GHz) Intel Pentium V (866MHz) Intel Pentium 4 (1.6GHz)
メインメモリ 512MB (DDR SDRAM/PC3200) 256MB (SDRAM/PC133) 256MB (DDR SDRAM/PC2100)
グラフィック
アクセラレーター
チップセット内蔵
(SiS社製 SiS741LV)
チップセット内蔵
(Intel 830MG)
チップセット内蔵
(ATI RADEON IGP 340M/Ali M1535+)
ビデオメモリ 32MB (メインメモリと共用) 最大48MB (メインメモリと共用) 標準16MB,最大64MB (メインメモリと共用)
ハードディスク容量 250GB (Ultra ATA/100) 15GB (Ultra DMA/100) 20GB (Ultra DMA/100)
光学ドライブ スーパーマルチドライブ
(DVD-R書込最大16倍速)
CD-ROM CD-ROM
ディスプレイ 15インチ デジタル液晶
(1024×768ドット)
FLバックライト付
14.1インチ TFT液晶
(1024×768ドット)
FLバックライト付
14.1インチ TFT液晶
(1024×768ドット)
デジタル静止画
編集機能
○ (Jasc Software:Paint Shop Pro 8) △ (Jasc Software:Paint Shop Pro 8) ○ (Jasc Software:Paint Shop Pro 8)
デジタルビデオ動画
編集機能
○ (Panasonic:Motin DV STUDIO) × ×
デジタルビデオ
インターフェース
○ IEEE1394 (DV方式)
○ USB2.0 (MPEG-2)
× ×
購入価格 110,000円 13,800円 19,800円
 


 2.3 SC研究用パソコン第三世代…Windows Vista & Windows 7 新時代の到来

2007年には、グラフィック機能が向上しマルチタスク処理への対応を強化した新OS:Windows Vista
が登場。

それまでの常識では高性能パソコンといえばデスクトップタイプが主流だったのが、各メーカーとも
ラインナップの主流がA4サイズ・ノートタイプにシフトし、モニターは画面アスペクト比4:3の14〜15型
XGAモード(1024×768ドット)から画面アスペクト比16:10のWXGAモード(1280×800ドット)や
16:9のFWXGAモード(1366×768ドット)の15.4〜15.6型ワイドサイズが標準的となった。

モニターのワイド化はパソコンの使用目的にデジタル放送やDVDビデオの視聴が加わったことに
対応した仕様変更であるが、演算処理能力に優れたCPUの採用やグラフィックアクセラレーターの
性能向上,メインメモリとグラフィックスメモリの増量,上位機種へのブルーレイディスクドライブの
採用などによって、ノートパソコンの画像描画性能が大幅に向上した。

またソフトウェアの面でも、Windows Vistaに標準装備されるデジタル静止画レタッチ用ソフトウェア:
Windows ペイントと動画編集用ソフトウェア:Windows Live ムービーメーカーは、Windows XP時代
のWindows標準ソフトウェアよりも機能と操作性が高められ、特にこだわりがなければ製品版の
専用ソフトウェアを購入する必要性が少なくなった。

さらに日本メーカー製パソコンであれば、Windows標準ソフトウェア以外にも専門メーカー製の
デジタル画像レタッチ用ソフトウェアや動画編集用ソフトウエアのバンドル版がプリインストール
されるので、別途製品版ソフトウェアを購入しなくてもデジタル静止画や動画の編集が実行可能
となった。

続いて、2009年にはWindows Vistaの進化版としてWindows 7が登場。

Windows Vistaパソコンでは重いOSを駆動するために中位以上に位置づけされるパソコン機種
ではデュアルコアCPUとデュアルチャンネル対応メインメモリを標準装備してハイスペック化して
いたが、その仕様のままに新OSへ切り替えられたことでWindows 7パソコンでは驚異的な
軽快感,高速感をもたらした。

2010年にはCPUの主流がデュアルコア・2スレッドのIntel Core 2 Duoからデュアルコア・4スレッド
のIntel Core i3 & i5に進化。

DVDやデジタル放送の視聴をしながらWEBサイトの閲覧をしたり音楽を聴きながら動画編集作業
を行ったりといった、複数のアプリケーションを同時に起動・操作するような「ながら作業」でも
ストレスなくパソコンがサクサクと動くように性能向上した。

併せてコンピュータのチップセットに内蔵されていたグラフィック機能がCPUに一体化されたことで、
Intel Core i3 & i5搭載パソコンではIntel Core 2 Duo搭載モデルよりも画像描画と動画編集能力が
向上した。

ハイビジョン画質映像の編集からブルーレイディスクへの保存が、いよいよ一般家庭用パソコン
でも手軽に実行可能となったのだ。

  2.3.1 SC研究用パソコン第三世代の選択

  2.3.1.1 メイン機の選択

私自身は、2009年にSC研究用デジタルビデオカメラをHDD記録方式のVictor GZ-MG275に
買い替えたことで、キャスティングビデオの編集・保存を行うソフトウェアもビデオカメラ付属の
CyberLink PowerDirector Express5に切り替えた。

 
 CyberLink 「PowerDirector Express5」の編集画面  
  左側に素材動画リスト,右側にプレビューモニター,
  下帯にストーリーボードの配置
  Motion DV Studioに比べるとやや軽快感に欠ける点がマイナス印象


DESKPOWER CE50LでもPowerDirector Express5による動画編集は実行可能なのだが、
シーン分割や削除操作の都度数十秒の待ち時間が発生し、編集映像をMPEG-2形式ファイル
にエンコード・保存するプロセスでも編集映像時間とほぼ同じだけの処理待ち時間が発生。

そしてもう一台、子供たちの成長記録用デジタルビデオカメラもCanon iVIS HV30に買い替え
たのだが、iVIS HV30で撮影したHDV規格ハイビジョン画質の映像はDESKPOWER CE50Lの
CPUとメインメモリー,グラフィック描画性能では編集・保存することが全く出来ない。

そこで、各メーカーから2009年冬モデルが登場した頃からSC研究用メインパソコンの買い替え
検討を開始した。

新しいパソコンの機種選定条件として、
@iVIS HV30で撮影した映像の取り込みに必要なIEEE1394インターフェースを備える
AHDV規格,AVCHD規格対応動画編集用ソフトウェアがプリインストールされている
Bブルーレイディスクドライブ,HDMI出力,高音質ステレオスピーカーなどのAV機能を備える
C16〜17型以上の高画質ワイドモニターでノートタイプ
D高性能CPU(Intel Core i3以上),高性能メインメモリ(DDR3 4GB)搭載
EもちろんWindows 7でMicrosoft Office 2007が付属
Fできればデジタル放送チューナー付きでテレビ番組の録画・再生にも対応
の要件で検討。

これらの条件を満たす機種は、
・富士通 FMV-BIBLO NW/E90D (2009年冬モデル;17型ワイドノート)
・富士通 FMV-BIBLO NW/G90T (2010年春モデル;18.4型ワイドノート)
・富士通 FMV-BIBLO NW/G75 (2010年春モデル;18.4型ワイドノート)
・東芝 Qosmio G60 (2009年冬モデル;18.4型ワイドノート)
・東芝 Qosmio G65 (2010年春モデル;18.4型ワイドノート)
・NEC Lavie L LL700/V (2009年冬モデル;16型ノートワイド)
・NEC Lavie L LL750/W (2010年春モデル;16型ノートワイド)
と、国内メーカー3社の製品でそれぞれのフラッグシップ・ノート型モデルが候補に挙げられた。

ここからは実際に候補パソコン現物に触れてみて、販売店での商品説明も受けてみての選定
作業に移行したのだが、18.4型ワイドモニターの迫力と最新CPU:Intel Core i5の性能に最大の
魅力を感じたことから、候補はBIBLO NW/G90TとBIBLO NW/G75,Qosmio G65の3機種に
絞られた。

これら候補機種のうちBIBLO NW/G90TとQosmio G65は標準でデジタル放送チューナーと
高音質ステレオスピーカー,映像処理専用のグラフィックボードが装備されているのだが、
そのため実売価格も17〜18万円と高額となる。

一方、BIBLO NW75は18.4型モニターと高性能CPU,ブルーレイディスクドライブを装備しながら
実売価格が15万円前後とお手軽感が魅力的である。

最終的には、お手軽感よりも充実機能での満足感を求めてBIBLO NW/G90TとQosmio G65の
2機種に絞り、モニターの発色性能とスピーカー音質,キーボードのタッチなどを比較した結果、
最も手で触れる部分であるキーボードタッチが馴染めた富士通製のBIBLO NW/G90Tに決定。

ただし、予算上の都合からBIBLO NW/G90TのCPUをIntel Core i3にダウングレードし、
デジタルテレビチューナーを省いた某家電量販店オリジナル仕様のBIBLO NW/G90Yを選択。

CPUがIntel Core i3に格下げされている点だけが少々気になったものだが、販売スタッフの説明
では「Core i3とCore i5での性能差は操作性や処理時間の面で違いは明確には体感できない」
とのことで、SC研究用メインパソコンとして2010年5月にBIBLO NW/G90Yを購入した。

  2.3.1.2 サブ機の選択

新たにメイン機として購入したBIBLO NW/G90Y、ノートパソコンでありながら18.4型モニターで
本体質量4.5kgの巨体モデルであるが故に、持ち運び使用は想定しておらずデスクトップパソコン
のように書斎机に据え置き使用することになる。

そこで、書斎机からちょっと移動してのデジタル静止画編集やエクセル,ホームページビルダー
など「軽作業」を想定して、ちょっと贅沢な買い物ではあるがサブ機:LIFEBOOK 7160NU3も
15型ワイドサイズのWindows VistaまたはWindows 7搭載ノートパソコンに買い替えることにした。

サブ機パソコンの機種選定条件として、
@35,000円以下のWindows Vista中古パソコン
Aまたは50,000円以下のWindows 7中古or新品パソコン
BMicrosoft Office 2007が付属していること
CポータブルHDDやUSBメモリーなどの接続利便性を考えるとUSBポートを3つ以上装備すること
DかつUSBポートがマウス操作やキーボードタッチの邪魔にならない位置にあること
E光学ドライブはDVDスーパーマルチで十分(ブルーレイディスクドライブは不要)
F音質はごく普通のもので良いのでステレオスピーカーが内蔵されていること
Gできればトップカバーやパームレストが黒一色でなく洒落たカラーのもの

いろいろと条件を付けたが、これらの条件に合うパソコンとなると対象は中古品に限定されるが、
中古品となると過去の自宅用パソコンの使用歴で耐久性に安心感を持っている富士通製品が
第一候補に挙げられる。

一方、NEC製やDELL製,ヒューレットパッカード製パソコンは、職場での使用歴から4〜5年の間
に故障または性能低下の確率が高いと感じており、新品を購入するならともかく中古品では
あまり積極的に選択する気分になれない。
(パソコンなんて元々耐用年数5年以下が普通なのかもしれないが…)

耐用年数5年以下で割り切るなら、eMachinesやAcer,Lenovoなどの海外メーカー製廉価版ノート
パソコンがオフィスソフトはもちろん汎用的なソフトウェアまで添付を省略してコスト削減しており、
国内メーカー製同等スペック品の3〜4割安値の50,000円前後でWindows 7パソコンが購入可能
な点で魅力的である。

そんな海外メーカー製廉価版ノートパソコンも検討候補に挙げてみたのだが、64bit版Windows 7
でありながらメインメモリが2GBしか積んでいなかったりUSBポートがマウス操作に干渉する位置
だったり、何よりも平板でショートストロークなキーボードタッチに馴染めず候補から脱落。

結局サブ機購入の候補は、長年慣れ親しんだ富士通製から以下のモデルに絞った。

・富士通 FMV-BIBLO NF40Y,NF40A,NF40B…Windows Vista(中古品相場:30,000円前後)
・富士通 FMV-BIBLO NF50Y,NF50A,NF50B…Windows Vista(中古品相場:40,000円前後)
・富士通 FMV-BIBLO NF/E40,NF/E50,NF/G40…Windows 7(中古品相場:50,000円前後)

これらの候補機種から、予算内で購入できる機会を待つこと数週間、2010年7月にサブ機として
富士通 FMV-BIBLO NF40Y(2008年春モデル)を購入した。

Windows 7ではなく一世代前のWindows Vista機を選んだのはただ単に価格が安いからだが、
BIBLO NFシリーズ中最も下位グレードに位置付けられる機種番号:40なので、CPUは廉価版
シングルコア:Intel Celeron M530(1.73GHz),メインメモリもDDR2 PC2-4200が1GBしか積んで
おらず、OSの起動にも予想通りかなりの時間を要した。

それでも、デジタル静止画像のレタッチ作業やスタンダード画質の動画編集作業ではかつての
メイン機:DESKPOWER CE50Lよりも幾分軽快に動作。

当初の使用目的である「軽作業」には十分な機動力を発揮したのだが、USB接続式外付けHDD
をメイン機:BIBLO NW/G90Yと共用してデータ更新・保存の操作毎に「警告」が出るのが面倒で、
半年後には再びのサブ機買い替えを決意。

今回は予算を引き上げて、メイン機:BIBLO NW/G90Yとの外付けHDDやファイル共有を確実に
するためにWindows 7搭載パソコンに候補を絞り直し、ついでに廉価版CPUではなくハイスペック
CPUとメインメモリを搭載するモデルを、という希望で当初挙げた候補機の中からCPUは
Intel Core 2 Duo P8700(2.53GHz),メインメモリはDDR3 PC3-8500が4GB搭載される
BIBLO NF/E50を2011年1月に購入。

ちょっと遠回りしてしまったが、こうしてSC研究用パソコンの第三世代ラインナップが完成した。

Windows Vista〜Windows 7時代にSC研究で活用中のパソコンたち

  富士通 FMV-BIBLO NW/G90Y 富士通 FMV-BIBLO NF/E50 富士通 FMV-BIBLO NF40Y
発売時期 2010年1月 2009年10月 2007年12月
使用時期 2010年5月〜 2011年1月〜 2010年7月〜2010年12月
OS Windows 7 Home Premium (32bit) Windows 7 Home Premium (32bit) Windows Vista Home Premium (32bit)
CPU Intel Core i3 (2.13GHz) Intel Core 2 Duo P8700 (2.53GHz) Intel Celeron M530 (1.73GHz)
メインメモリ 4GB (DDR3 SDRAM/PC3-8500) 4GB (DDR3 SDRAM/PC3-8500) 1GB (DDR2 SDRAM/PC2-4200)
グラフィック
アクセラレーター
NVIDIA GeForce GT 335M チップセット内蔵
(モバイル インテル GMA 4500MHD)
チップセット内蔵
(インテル GMA950)
ビデオメモリ 専用ビデオメモリ 1GB 最大1288MB(メインメモリと共用) 最大224MB(メインメモリと共用)
ハードディスク容量 500GB (Serial ATA/300) 500GB (Serial ATA/300) 120GB (Serial ATA/150)
光学ドライブ Blu-ray Disc ドライブ
(書込最大:BD-R6倍速,DVD-R8倍速)
スーパーマルチドライブ
(DVD-R書込最大8倍速)
スーパーマルチドライブ
(DVD-R書込最大8倍速)
ディスプレイ LED バックライト付
18.4インチ TFTフルハイビジョン ワイド液晶
(1920×1080ドット)
LEDバックライト付
15.6インチ TFTワイド液晶
(1366×768ドット)
FLバックライト付
15.4インチ TFTワイド液晶
(1280×800ドット)
デジタル静止画
編集機能
○ (Jasc Software:Paint Shop Pro 8)
○ (Corel:Paint Shop Pro X3)
○ (Jasc Software:Paint Shop Pro 8)
○ (Corel:Paint Shop Pro X3)
○ (Jasc Software:Paint Shop Pro 8)
○ (Corel:Paint Shop Pro X3)
デジタルビデオ動画
編集機能
◎ハイビジョン,スタンダード両対応
Corel:DVD MovieWriter 7SE
Corel:VideoStudio Pro X3
○スタンダード対応
Corel:DVD MovieWriter 5
CyberLink:PowerDirector Express5
○スタンダード対応
Corel:DVD MovieWriter 5
CyberLink:PowerDirector Express5
デジタルビデオ
インターフェース
○ IEEE1394 (HDV方式,DV方式)
○ USB2.0 (MPEG-2,AVCHD)
○ USB2.0 (MPEG-2) ○ USB2.0 (MPEG-2)
購入価格 154,800円 53,000円 34,500円
 

  2.3.2 SC研究用パソコン第三世代の実力

  2.3.2.1 デジタル動画編集能力

動画編集用ソフトウェアとしては、BIBLO NW/G90Y,BIBLO NF/E50,BIBLO NF40Yそれぞれに
プリインストールされているCorel DVD MovieWriter 5と、デジタルビデオカメラ:GZ-MG275に付属
されるCyberLink PowerDirector Express5が使用可能である。

さらに、ハイビジョン画質での編集機能向上と動画からの静止画取り込み機能向上の目的で
Corel VideoStudio Pro X3も購入。

VideoStudio Pro X3にはさらにDVD MovieWriter 7SEが添付されており、BIBLOシリーズに標準で
プリインストールされているCorel DVD MovieWriter 5よりも多機能でありながら簡単にプロ志向の
編集が可能となり、編集動画の画質タイプや編集レベルに応じて二つのソフトウェアを使い分け
ることが可能である。

 
 Corel 「VideoStudio Pro X3」の編集画面  
  左側にプレビューモニター,右側に素材動画リスト,
  下帯にストーリーボードの配置
  ハイビジョン画質動画の編集作業もまずまず軽快


 
 Corel 「DVD MovieWriter 7SE」の編集画面  
  左側に機能選択アイコン,右側にプレビューモニター,
  下帯にストーリーボードの配置
  ハイビジョン画質動画の編集作業では動作が遅いがとにかく扱い易いソフト


早速これらのソフトウェアを導入したメイン機:BIBLO NW/G90Yを用いて、Victor GZ-MG275撮影
動画(スタンダード画質)とCanon iVIS HV30撮影動画(HDV規格ハイビジョン画質)の編集・保存
作業を行っているが、

(1)Victor GZ-MG275撮影動画(MPEG-2形式スタンダード画質)の編集・保存
  ・180分の動画をパソコンのHDDにUSB接続でバックアップする待ち時間が約30分
  ・180分の元動画から保存したいシーンだけを約70分抽出する編集作業に120〜150分
  ・シーン分割や削除操作都度の待ち時間は各2,3秒
  ・約70分に編集した動画をMPEG-2形式ファイルにエンコードする待ち時間が約15〜25分
  ・約70分のMPEG-2形式ファイルをDVDディスクに書き込みする待ち時間が約40〜50分
  =合計255分程度でDVDディスクが完成。

(2)Canon iVIS HV30撮影動画(HDV規格ハイビジョン画質)の編集・保存
  ・60分テープ3本(180分)の動画をパソコンのHDDへ取り込む待ち時間が180分
  ・180分の元動画から保存したいシーンだけを約70分抽出する編集作業に300〜360分
  ・シーン分割や削除操作都度の待ち時間は各50〜60秒
  ・約70分に編集した動画をブルーレイディスクに書き込みする待ち時間が約360〜390分
  =合計930分程度でブルーレイディスクが完成。

なお、編集する動画の画質タイプに関係なく、2工程目の編集作業の所要時間は操作回数に
応じて大きく変動する。
キャスティングビデオの編集作業での一例として取り上げたが、この時間分は実際にパソコンを
操作する必要があり、それ以外の処理についてはほとんどが待ち時間であることは
DESKPOWER CE50Lでの動画編集作業と同じである。

パソコンの進化により、スタンダード画質動画の編集・保存作業は大幅にスピードアップされて
おり、Windows XP世代のパソコンとの比較では約2/3〜1/2の所要時間でDVDディスクの作成が
可能になった。

そして、高性能CPUとグラフィック機能,ブルーレイディスクドライブを搭載するメイン機:
BIBLO NW/G90Yでは、編集映像時間の約5倍もの処理時間を要するものの、ハイビジョン画質
動画の編集・保存も実行可能となった。

ちなみに、Windows Vistaサブ機:BIBLO NF40Yでも上記(1)に挙げたスタンダード画質動画編集
を行っていたが、メイン機:BIBLO NW/G90Yと処理速度が異なるのは4工程目のMPEG-2形式
ファイルへのエンコード時間が約2倍の35〜40分に長くなるだけであり、その他の作業,処理時間
はメイン機とほぼ同じであった。


総合すると、Windows Vistaパソコン,Windows 7パソコンの動画編集能力は、スタンダード画質に
限定すれば下位グレードパソコンでも十分に実用的であるし、ハイビジョン画質であれば
Intel Core 2 Duo(2.5GHz以上)やIntel Core i3(2.1GHz以上)より上位のCPUとブルーレイディスク
ドライブを搭載する機種で編集・保存が可能である。

また動画編集用ソフトウェアは、Windows標準ソフトウェア以外にも各パソコンにプリインストール
されている動画編集用ソフトウェアやデジタルビデオカメラに添付されているソフトウェアも、
本格的な動画編集に実用可能である。

仮にパソコンにプリインストールされている動画編集用ソフトウェアで満足できない場合も、
ソフトウェアメーカーのWEBサイトや販売店などで無料配布している「体験版」を入手して実際に
動画編集を体験してから編集内容やパソコン性能に最適なものを選定可能である。

 
 動画編集ソフトウェアの体験版各種
  15〜30日間お試し後にオンライン購入も可能


主な動画編集用ソフトウェアとしては、
 ・Corel VideoStudio Pro シリーズ
 ・Corel DVD MovieWriter シリーズ
 ・Adobe Premiere Elements シリーズ
 ・CyberLink PowerDirector シリーズ
などが著名である。

SC研究でデジタルビデオ映像をパソコンで編集・保存するのであれば、上記のような動画編集用
ソフトウェアを付属したパソコンまたはデジタルビデオカメラを選定すると便利だろう。


ただし注意点としては、デジタルビデオ動画の編集作業には、
 ・mini DVカセットテープ記録方式のスタンダード画質動画編集1時間につき7GB以上
 ・HDD記録方式のスタンダード画質動画編集1時間につき8GB以上
 ・mini DVカセットテープ記録方式のハイビジョン画質動画編集1時間につき24GB以上
 ・AVCHD規格ハイビジョン画質動画編集1時間につき20GB以上
と、各動画形式とも取り込み,編集,保存にはかなりのHDD容量を必要とするため、パソコンの
内蔵HDDが250GB以下であれば動画編集作業用にUSB接続式外付けHDDを用意した方が無難
だろう。

余談だが、私自身は各パソコンの内蔵HDDには動画ファイルは保存せずに、USB接続式外付け
HDDに保存している。

外付けHDDの容量も様々であるが、DESKPOWER CE50L時代から使っている640GB品は
デジタルビデオカメラからの元動画ファイルの一時保存用に使用し、編集後の完成ムービーは
ごく最近購入した1.5TB大容量外付けHDDに保存する。

動画編集が完了した時点で640GB HDD内の元動画ファイルは削除するのだが、HDDはファイル
の保存と削除を繰り返すと劣化し、最悪の場合全てのファイルが読み込めなくなることがある。

そこで、一時保存用には使い古したHDDを使い、完成ファイルの保存には真新しいHDDを、と
こちらもメインとサブを使い分けている。

  2.5.2 デジタル静止画像編集能力

各パソコンメーカーはデジタル静止画編集用ソフトウェアを種々プリインストールしているが、
SC研究に実用的なものとなると操作性や機能面で満足できるものがなかなか見つからない。

SC研究におけるデジタル静止画の編集では、静止画から人物やロッドのみを選択的に抽出する
「オブジェクト抽出」や、抽出したオブジェクトを別の静止画に合成する「イメージ貼り付け」,
不要背景やフラッシュ反射光を削除する「クローンブラシ」,テキストや幾何学形状オブジェクトを
挿入する「ベクター挿入」などなど、やや専門的な編集操作をする場面が多い。

これらの機能を装備してWindows VistaやWindows 7に対応するものとなると専門メーカー製ソフト
ウェアを導入することになるが、中にはWEBサイト上で公開されるフリーソフトやスキャナー機能
付き複合プリンターに付属される簡易デジタル静止画像編集用ソフトウェアの中にも、SC研究に
実用可能なソフトウェアが存在する。

ただし、フリーソフトや添付ソフトとなると編集機能のレベルや操作性に満足感が得られないこと
はほぼ確実だろう。

参考まで、私自身がSC研究用デジタル静止画像編集に使用してきたソフトウェアを一覧に示す。

  Jasc Software
Paint Shop Pro 6
Jasc Software
Paint Shop Pro 8
Corel
Paint Shop Photo
Pro X3
ArcSoft
PhotoStudio 5.5
Antonio Da Cruz
PhotoFiltre
発表年 1999年 2002年 2010年 1994年〜
2003年 Ver. 5.5.0.74
2001年〜
2010年 Ver. 6.5.1
対応OS Windows 95 〜
Windows XP
Windows 98 SE 〜
Windows XP
Windows XP 〜
Windows 7
Windows 95 〜
Windows XP
Windows 98 〜
Windows 7
Windows 7 対応 不明 ○:互換モード
(トリミング機能不可)
○:互換モード
実用上必要な
メインメモリ量
128MB以上 512MB以上
(最低256MB)
2GB以上
(最低1GB)
128MB以上 128MB以上
高精度な
オブジェクト抽出

マウス操作で領域選択
境界線の拡大修正可(容易)

マウス操作で領域選択
境界線の拡大修正可(容易)

自動抽出機能
境界線の拡大修正可(容易)

マウス操作で領域選択
境界線の拡大修正可(難あり)
×
マウス操作で領域選択
境界線の拡大修正不可
画像の合成
(レイヤー保存,再編集可)

(レイヤー保存,再編集可)

(レイヤー保存,再編集可)

(レイヤー合成保存,再編集不可)

(レイヤー合成保存,再編集不可)
テキスト,図形,線図
などの描画挿入

(ベクター保存,再編集可)

(ベクター保存,再編集可)

(ベクター保存,再編集可)

(レイヤー合成保存,再編集不可)

(レイヤー合成保存,再編集不可)
起動時間
(NF/E50 で測定)
不明 6〜9秒 5〜10秒 4〜8秒 1秒
ソフトウェアタイプ 製品版 製品版 製品版 Canon製
スキャナー機能付き
プリンター付属品
フリーソフト


これらのうち最も長く使用してきたのがPaintShop Pro 8であるが、残念ながら2002年発表の
旧式ソフトウェアではWindows 7に正規対応しておらず、開発元のJasc SoftwareがCorelに買収
されたこともありWindows 7対応アップデートファイルの配布はされていない。

それでもWindows VistaやWindows 7下でWindows XP互換モードを選択すればレタッチ操作の大半
は実行可能であったが、画像データの中から指定領域を切り出す「トリミング」操作だけがエラー
停止する不具合に見舞われてPaintShop Pro 8の使用を中止した。

ちょうど2010年4月にはWindows 7対応のPaintShop Proシリーズ最新版:Ver.X3(13)が発売されて
おり、さらにCorel社25周年特別パッケージとしてPaintShop Photo Pro X3とVideoStudio Pro X3の
セット商品が発売されたので、これ一石二鳥と購入した。

 
 Corel 「PaintShop Photo Pro X3」の編集画面  
  上帯と左側にツールアイコン,中央に編集画像,右側にカラーマテリアルの配置
  機能的なツールアイコンがVer.8よりも増えてユーザーインターフェースも充実


PaintShop Photo Pro X3では、SC研究には欠かせない複雑な画像編集操作の多くで自動処理
機能によるユーザー補助が強化され、従来のPaintShop Pro 8よりも高品質なデジタル画像が
早く簡単に作成できるようになった。

一方で、機能が向上したために他のソフトウェアに比べると起動時間が長くかかり、メインメモリ
の使用率も高くなる。

メインメモリが1GBしかないパソコンでは、1,000万画素級のデジタルカメラ画像を複数枚読むと
メインメモリの使用率が100%近くまで膨れ上がり、極端な場合にはPaintShop Photo Pro X3が
強制終了してしまう現象も確認されている。

PaintShop Photo Pro X3で快適に静止画像編集を行うには、メインメモリにはDDR3タイプのもの
を4GB程度積んだハイスペックパソコンが必要だろう。

ちなみに現在私自身は、Print Screen機能によるモニター画面のイメージ取得やトリミング,
消しゴム,塗りつぶしなどのごく単純なレタッチ作業はソフトウェアの起動が早くメインメモリの
使用率が低いPhotoFiltreを、オブジェクト抽出やサイズ変更(圧縮),回転,傾き補正,レイヤー
合成,クローンブラシなどのやや複雑な静止画像編集ではPaintShop Photo Pro X3を、という
区別で作業内容に応じて2種類のソフトウェアを使い分けている。

 
 Antonio Da Cruz 「PhotoFiltre」の編集画面  
  上帯に機能アイコン,中央に編集画像,右側にツールアイコンとカラーマテリアルの配置
  複雑な編集には向かないが簡易作業に使うには文句なしのフリーソフト


「処理時間が長くて当たり前」と割り切った使い方をする動画編集用ソフトウェアに対して、
静止画像編集では「素早く高品質な編集作業」を求めがちであろうから、必要に応じて複数の
静止画編集用ソフトウェアを導入して適宜使い分けるのも良いだろう。

3. 2011年、SC研究用パソコンに求める性能は

各メーカーから2011年春モデルパソコンが発売され始めたようだが、フラグシップモデルには
4コア・8スレッドCPU:Intel Core i7(2.0GHz)や、従来品より性能向上した2コア・4スレッドCPU:
Intel Core i5(2.5GHz)が採用されて、特にハイビジョン画質動画の再生,編集性能が向上した
ようだ。

我が家のメイン機:BIBLO NW/G90Y(2010年春モデル)のCPUは最新版から遡ると3バージョン
ほど古いタイプのIntel Core i3 330M(2.13GHz)であるが、ハイビジョン画質動画のブルーレイ
ディスク保存には映像時間の約5倍時間を要している。

それが、最新パソコンでは如何ほどの処理時間短縮になっているのか?興味深いところだ。
販売店で伺ったところでは、「半分までは短くならず20〜25%短縮に相当」とのことであったが、
それでも5時間強かかっていた処理が1年経って4時間半ならもう1年待てば50%短縮だろうか?

ブルーレイディスクへの動画保存処理については、CPUの技術進歩だけでなく東芝 Qosmio
シリーズのように映像専用エンジン;「SpursEngine(スパーズエンジン)」の搭載により従来比
約5倍の処理速度向上の例もあるようだ。

このあたり、まだ当分はパソコンメーカーとCPUメーカーそれぞれの技術革新が続くであろうが、
近い将来にハイビジョン画質映像のブルーレイディスク保存が映像時間以内に行えるよう
上位機種パソコンの性能は向上し続けるのだろう。

一方で、従来はシングルコアCPU搭載で性能面に若干の不満も感じられた廉価版下位グレード
パソコンでも、Intel Pentium P6200(2.13GHz)などのデュアルコアCPUが採用されて動画編集
能力は幾分向上しているように見受けられる。

このクラスのパソコンでも、スタンダード画質MPEG-2形式動画なら編集作業とDVDディスクへの
保存を楽々とこなしてくれるはずだ。

一般家庭用のパソコン性能がモデルチェンジの都度向上している半面、ユーザーニーズの反映
か製造コストの削減か、捨て去られていく機能もあるようだ。

大手カメラメーカーのラインナップからmini DVカセットテープ記録方式のデジタルビデオカメラが
姿を消したことに追従してか、富士通と東芝の2011年春モデルノートパソコンにはIEEE1394
インターフェースが付属されなくなった。

また、高速データ転送型のUSB3.0インターフェースの採用に伴って、eSATAやExpressCard
スロットなどの今までほとんど実用性がなかったインターフェースも姿を消しつつあるようだ。

そして、メイン機選定の際に私が一番こだわった18.4型フルハイビジョン・ワイドモニターは、
富士通製後継機(LIFEBOOK NH77/CD)では17.3型にサイズダウンしているし、東芝 Qosmio
シリーズでは15.6型以上のモニターサイズ機はデスクトップタイプに変更されたようだ。

一般家庭にも高性能パソコンが普及しつつある昨今、パソコンは利用目的に応じた細分化が
さらに進み、

 ・フラグシップ機:高度な動画編集,再生機能と高性能スピーカー搭載で究極のAVパソコンを
   ノート型(15.6型まで)とデスクトップ型(20型以上)で差別化し一部は3D映像に対応
   最先端CPU(Core i7)と大容量メインメモリ(8GB),大容量HDD(750GB〜2TB)を搭載
   販売価格は17万円〜20万円超の最高級グレード
 ・準フラグシップ機:デジタル放送視聴対応機やブルーレイディスクドライブ搭載機
   高性能CPU(Core i5)と大容量HDD(750GB)を搭載し手軽に高性能AVパソコンが楽しめる
   本体カラーが数種類の中から選べる機種が多い
   販売価格は15万円〜17万円
 ・汎用機:カメラや音楽プレーヤーなどの家庭用デジタルAV機器とのデータ共用対応機
   一部はデジタル放送チューナーを搭載し手軽にAVパソコンが楽しめるカテゴリー
   CPUの選択肢(Pentium P6200からCore i3,i5など)を増して
   ノート型(15.6型まで)とデスクトップ型(20型以上)でさらに選択肢を広げる最量販レンジ
   販売価格は11万円〜15万円と幅広い
 ・廉価版:高性能ハードウェアを搭載しながら10万円以下の価格設定
   海外メーカー製が主流だが国内メーカーも1機種程度はラインナップ
   ノート型,デスクトップ型ともにあるが主流はやはりノート型
   CPUは廉価版デュアルコアを中心に一部はCore i3,i5を採用
   2GBのメインメモリや320〜500GBのHDDで脱過剰スペックによりコスト削減の傾向も
   販売価格は5万円〜8万円の海外メーカー製と8万円〜9万円の国内メーカー製

と、購入する際には選定に迷うくらいに選択肢が幅広くなった。

これらのうち、SC研究のために動画編集や静止画編集などのデジタル映像データの分析を
行うためのパソコン選びとしては、以下の要件で選定されては如何でしょうか。
 ・今後2,3年以内にハイビジョン画質動画を扱う予定があるなら準フラグシップ機以上を
 ・今後3,4年間はスタンダード画質動画を扱い続ける予定なら汎用機の中位機以上を
 ・動画を扱う場面はほとんどなく静止画中心にSC研究を行うなら汎用機の中位機以下を

ただし、お手持ちのデジタルビデオカメラがmini DVカセットテープ記録方式のタイプであれば
パソコン側にIEEE1394インターフェースが必要となるが、先に述べたように最近発売された
パソコンではIEEE1394インターフェースを搭載しない傾向があるので、ビデオカメラをHDD記録
タイプかまたは内蔵メモリー記録タイプに買い換える必要がある。

あるいは、お手持ちのデジタルビデオカメラがハイビジョン画質HDD記録タイプかまたは内蔵
メモリー記録タイプの場合には、ブルーレイディスクドライブを装備したパソコンを選定しないと
編集した動画をハイビジョン画質でディスク保存することができない。

SC研究用パソコンの選定には、必ず組み合わせて使用するデジタルビデオカメラの仕様を
確認の上で、必要なインターフェースが装備されている機種をお選びいただきたい。

4. むすび

飛距離を伸ばすには何よりも実投練習によるSC研究ではあるが、自分自身が投げている
フォーム,体勢を客観的に見る(観る,診る)ことができないだけに、カメラで撮影しパソコンで
チェックし記録に残すことも重要だと思います。

さらに、マイナーなスポーツであるが故に世間一般には認知もされていないし、歴史資料と
しての映像記録もあまり残っていないようです。

自己の飛距離アップのための研究目的以外にも、後世にスポーツキャスティングの文化を
継承するために、キャスティング活動の映像記録を残しておきたいと願うところです。

そのような希望から、デジタルビデオカメラ編とパソコン編の二部構成でSC研究を支える
脇役たちを紹介した次第です。