2015年05月04日

Report #093  KWガイド6点式仕様(Ver.02) ロングラン・テストレポート 
    テストロッド:リョービ・BORON プロスカイヤー 競技スペシャル 40-420



1. KWガイド6点式仕様(Ver.01)の次のステップとしてのVer.02仕様

2013年1月から4月にかけて、テストロッド:リョービ・スーパーD-HZ プロスカイヤー 40-425に
KWガイド6点式仕様(Ver.01)を装着して飛距離特性とキャストフィールのインプレッションを報告した。

その後、同ロッドは2013年9月15日に開催された九州オープンキャスティングトーナメント選手権
でST-A種目競技に初めて実戦投入し、最長:181.07m,3投平均:178.86mを投げた。
この飛距離は、同ロッドでの過去の飛距離実績と比較して劣るものではなく、一つの目標として
いた『体力の低下に伴い少し硬く感じ始めたロッドを再び曲げ込んで振り切る』ことは達成できた。

しかし一方で、事前情報からも想定していた通りロッドが1クラス軟らかく感じられてシンカー弾道
のコントロール性が不安定となり、投げ込めば投げ込むほど大会直前になって理想的高度に
シンカーを放つことが困難になった。

その結果、2013年秋以降のキャスティング大会…広島協会夏季SC通信大会(9月22日),
中四九親善キャスティング大会(9月29日),全日本SC協会対抗戦(10月13日)…は、
2012年シーズンの主力ロッドだったリョービ・BORON プロスカイヤー Prototype 40-425
(チタンハイスピンダー6点式仕様)に持ち替えて大会参戦した。

気が付くと、一時は硬く感じて振り切れなくなっていたリョービ製40号ロッドが、また6,7年前の
感覚で振り切れるようになっていた、ということか。
そしてやはり、KWガイド6点式仕様ではロッドが1クラス軟らかく感じられることで、リリースタイミング
を逃してしまう傾向があるようだ。

そこで、リョービ・スーパーD-HZ プロスカイヤー 40-425よりも2クラス程硬めで、近年体力の低下
により振り切ることが最も辛くなったロッド:リョービ・BORON プロスカイヤー競技スペシャル 40-420
にKWガイド6点式仕様を装着すれば、程良いロッドの軟化現象でキャストフィールが改善して実戦
復帰できるのではないだろうか?との欲に駆られた。

さらに、 #6ガイド:25mm,#5ガイド:20mm,#4ガイド:16mm,#3ガイド:12mm,#2ガイド:10mm,
トップガイド:12mmと小径化したKWガイド6点式仕様(Ver.01)では小口径スプールリールとの
組み合わせで飛距離アップがみられたものの、大口径スプールリールとの組み合わせでは若干
飛距離にムラがみられたことから、#6ガイド:30mm,#5ガイド:25mm,#4ガイド:20mm,
#3ガイド:16mm,#2ガイド:12mm,トップガイド:16mmの組み合わせでKWガイド6点式仕様(Ver.02)
とすれば、より汎用的で振り切り易い硬調子ロッドが出来上がるのではないだろうか?と考えた。

こうして、2013年のキャスティング競技シーズンが閉幕しオフシーズンとなった2014年1月、
リョービ・BORON プロスカイヤー 競技スペシャル 40-420でのKWガイド6点式仕様(Ver.02)の
ロングラン・テストが始まった。



KWガイド6点式仕様(Ver.02)をテスト開始するにあたって掲げた目標は、
『2014年シーズンを再びBORON プロスカイヤー 競技スペシャル 40-420で投げ切り、納得のできる
飛距離成績を残す!』というごく個人的なものであり、その目標を達成するために欠かせなかった
デバイスが、『スウィング動作中のロッドの突っ張り感を和らげる可能性のあるKWガイド』なのだ。

2. ガイドセッティング別スペック比較

今回、リョービ・BORON プロスカイヤー 競技スペシャル 40-420でのガイドセッティング別スペック
を表1に示す。

表1のガイドピッチはガイドリングの外側で測定しており、KWガイド6点式仕様(Ver.02)の取り付け
ピッチが数mmずつトップ寄りに移動したような値になっているが、これは前傾姿勢となるKWガイド
でスウィング動作時にラインがガイドリングに接する位置(ガイドフット側リング端の位置)を
チタンハイスピンダー6点式仕様と一致させていることで生じた見かけ上の違いであり、実質的な
ガイドピッチには変更を加えていない。



KWガイド6点式仕様(Ver.01)では25mm径バットガイドから20mm,16mm,12mm,10mm,12mmと
5段階に径を絞った小径セットとしたことで、30mm,25mm,20mm,16mm,12mm,16mmと5段階に
絞っている大径チタンハイスピンダー6点式仕様に比べると11gの軽量化が可能となったが、
チタンハイスピンダー6点式と同じく大径リングとなったKWガイド6点式仕様(Ver.02)では軽量化は
できず同一自重のままとなった。

自重が変わらないということは、KWガイド6点式仕様(Ver.02)への変更によって得られるであろう
効果が体感的なロッドの曲げ易さ向上だけになってしまい、軽量化によるスウィングスピードの向上
とシンカー反発エネルギーの向上については効果が得られないことが予想される。

表1 ガイドセッティング別スペック一覧
 テストロッド リョービ・BORON プロスカイヤー 競技スペシャル 40-420
全長 4.20 m
ストリップ仕様カタログ自重 760 g
ガイドセッティング種別 チタンハイスピンダー6点式仕様 KWガイド6点式仕様(Ver.02)
ガイド付仕様
実測自重
#1セクション 98 g 99 g
#2セクション 210 g 209 g
#3セクション 538 g 538 g
合 計 846 g 846 g
ガイド
セッティング
トップガイド T-SF-16F : 0mm T-SF-16F : 0mm
#2ガイド T-SVSG-12 : 202mm KWSG-12 : 194mm
#3ガイド T-SVSG-16 : 443mm KWSG-16 : 435mm
#4ガイド T-SVSG-20 : 750mm KWSG-20 : 745mm
#5ガイド T-HVSG-25M : 1179mm KWSG-25 : 1171mm
バットガイド T-HVSG-30H : 1866mm KWSG-30 : 1860mm
リールシート T-LS-7 : 3,262mm T-LS-7 : 3,262mm
グリップエンド ジュラルミン製 : 4,200mm ジュラルミン製 : 4,200mm


3. ファーストインプレッション

KWガイド6点式仕様(Ver.02)でのテストに先駆けて、2013年シーズンが終了した10月19日から、
チタンハイスピンダー6点仕様のリョービ・BORON プロスカイヤー 競技スペシャル 40-420で
ベンチマークとなる飛距離データを10回にわたり採取した。

10回のデータ採取結果は、投擲数:151投,上位60%飛距離平均:171.28m,フェアゾーン投擲精度:
87.4%(132投/151投)と、まずまず良い結果が残せた。

果たしてKWガイド6点式仕様(Ver.02)はこのハイスピンダー6点式仕様の飛距離,投擲精度を
超えることができるのだろうか?
あるいは、振り切ることが体力的に辛くなりつつあるBORON プロスカイヤーで大会参戦できるくらい
の飛距離と投擲精度、そして自信を取り戻すことができるのであろうか?

このような背景のもとで迎えたBORON プロスカイヤー 競技スペシャル40-420・KWガイド6点式仕様
(Ver.02)の実投テストでは、2014年1月11日の初テストからフェアゾーン投擲精度は75%以上を
保っており、2014年3月15日に10回目のテストを迎えるまで通してフェアゾーン投擲率は80%前後で
安定していた。

ここで一旦チタンハイスピンダー6点式仕様のベンチマークデータと比較をしつつ、実投フィーリング
については、2013年にロングランテストを行っていたKWガイド6点式仕様(Ver.01)との比較も交えて
考察をしてみよう。

表2およびグラフ1,2にチタンハイスピンダー6点式仕様とKWガイド6点式仕様(Ver.02)での
投擲データの比較一覧を示す。

表2 ガイドセッティング別実投データ比較
 テストロッド リョービ・BORON プロスカイヤー 競技スペシャル 40-420
ガイドセッティング種別 チタンハイスピンダー6点式仕様 KWガイド6点式仕様(Ver.02)
テスト期間 2013/10/19〜2013/12/28 2014/1/11〜2014/3/15
投擲数 横〜向かい風コンディション 43投(28.5%) 95投(45.7%)
無風コンディション 50投(33.1%) 87投(41.8%)
追い風コンディション 58投(38.4%) 26投(12.5%)
合計 151投 208投
上位60%平均飛距離 171.28m 169.95m
フェアゾーン投擲精度 132投:87.4% 170投:81.7%
抜け投擲率 5投:3.3% 14投:6.7%
引掛け投擲率 3投:1.8% 9投:4.3%
ライントラブル発生率 2投:1.3% 3投:1.4%


グラフ1 リョービ・BORON プロスカイヤー 競技スペシャル 40-420での飛距離比較
     ≪チタンハイスピンダー6点式仕様 vs. KWガイド6点式仕様(Ver.02)≫



グラフ2 リョービ・BORON プロスカイヤー 競技スペシャル 40-420での飛距離分布率比較
     ≪チタンハイスピンダー6点式仕様 vs. KWガイド6点式仕様(Ver.02)≫


@実投テストにおけるライントラブル防止機能について
KWガイド6点式仕様(Ver.01)と同様にKWガイド6点式仕様(Ver.02)のテストでも、富士工業が提唱
している「糸絡み自動解除フレーム」でのライントラブル発生防止効果は10回のテストでは体感
できておらず、ハイスピンダー6点式仕様とほぼ同じ確率(1.4%)でライントラブルを生じた。

一方で、KWガイド6点式仕様(Ver.01)で頻繁にみられた#2,#3ガイド周辺の小規模ライントラブル
は明らかに減っており、ガイドリング径を1サイズ大きい組み合わせにしたことでラインリリース直後
のテーパーライン区間のガイド抜けはスムーズになったようだ。

この特性はチタンハイスピンダー6点式仕様も同様であり、KWガイドだからテーパーライン区間の
ガイド抜けが向上するという印象はない。

Report #088:KWガイド6点式仕様(Ver.01)の実投報告でも取り上げたように、ラインリリース直後
のテーパーラインが#6ガイドリングに進入できずロッドの背面側に大きくオーバーシュートしている
様子は今回KWガイド6点式仕様(Ver.02)でも確認されている。

  

この現象はスピニングリールを使用してスポーツキャスティングをする上では不可避的現象では
ないかと考えているが、ロッド背面側にオーバーシュートしたテーパーラインが瞬間的にガイドに
絡み付いたりガイドフレームやロッドブランクスに摩擦することて飛距離ロスに繋がるような投擲は
ほぼ皆無であった。

Aキャストフィーリングと投擲精度,飛距離について
キャストフィーリングについては当初の狙い通りに剛強ロッド:BORONプロスカイヤー競技スペシャル
がチタンハイスピンダー6点式仕様の頃よりも1クラス軟らかく感じられて、ロッドを曲げ易く感じる
ことができた。

ところが、ロッドを曲げ易く感じ始めるとついついスウィング動作の初動段階でタメが効かずに
やや前に突っ込んだフォームや急加速したスウィング動作(いわゆるシャクリ投げ)になりがちで、
その影響でチタンハイスピンダー6点式仕様の時よりも「抜け投擲率」と「引掛け投擲率」が高く
なってしまった。

抜け投擲率については、チタンハイスピンダー6点式仕様が3.3%(5/151投)に対して、
KWガイド6点式仕様(Ver.02)では6.7%(14/208投)と2倍に増加している。

また、引掛け投擲率は、チタンハイスピンダー6点式仕様が1.8%(3/151投)に対して
KWガイド6点式仕様(Ver.02)では4.3%(9/208投)と、フェアゾーン投擲率が低下している。

それでも、フェアゾーン投擲率は80%以上を得ており、キャスティング大会本番用ロッドとしての合格
ラインには十分に達している。

チタンハイスピンダー6点式仕様のフェアゾーン投擲率(87%)は長年の実績から得られた特別な値
でありこの値を超えるにはやはり10数年の実績がなければ届かない領域であろう。

最も気になる飛距離については、表2に示すように無風〜追い風コンディションでの投擲数(率)の
違いから、上位60%平均飛距離はチタンハイスピンダー6点式仕様:171.28mに対して
KWガイド6点式仕様(Ver.02):169.95mと約1.3mの差が付いてしまった。

天候や風向風速条件は完全に同じ状態には保てないので、この1.3mの差は2ヶ月半:10回という
限られた期間のテスト結果として参考値扱いに留めておき、可能な限りのロングランテストを継続
してKWガイド6点式仕様(Ver.02)の良否を最終的に評価することにしよう。

4. 小口径スプールリール vs. 大口径スプールリール 相性評価結果

リョービ・スーパーD-HZ プロスカイヤー 40-425で長期テストを行ったKWガイド6点式仕様(Ver.01)
では、軽量化を求めて小口径化したガイドセッティング故に大口径スプールリールで飛距離が
伸びないという問題に直面した。

KWガイド6点式仕様(Ver.02)では、大口径スプールリールとの組み合わせでも飛距離が低下しない
ようガイドリング径をVer.01よりも大径化していることから、大口径スプールリールの中でも遠投性能
に優れるシマノ・スーパーエアロ キススペシャル コンペエディションおよび
シマノ・スーパーエアロ フリーゲンと、小口径スプールリールとしてダイワ・トーナメントサーフ 45系
の実投比較を行い、KWガイド6点式仕様(Ver.02)と大口径スプールリールとの相性についても検証
を行った。

シマノ・スーパーエアロ キススペシャル コンペエディションとシマノ・スーパーエアロ フリーゲンは
共にスーパースローオシュレーション(密巻き)方式でであり、ダイワ・トーナメントサーフ 45系の
クロスラップ(綾巻き)方式とはスプールにラインを巻き取る仕様が異なるが、個人的経験から
リールの機能,構造において遠投性能への影響度が高いのは、
@スプールの仕様(ストローク,前端径,勾配,エッジ角度)
Aリールの自重と重心バランス
でありオシュレーション速度の違いによる飛距離差はほとんど無いと考えている。

シマノ・スーパーエアロ キススペシャル コンペエディションとシマノ・スーパーエアロ フリーゲンは、
いずれも大口径スプールリールの中では軽量(358〜436g)でダイワ・トーナメントサーフ 45系
(400〜430g)と似た重心バランスのためロッドを振り抜く感覚も類似していることから比較検証に
使用した。

KWガイド6点式仕様(Ver.02)での小口径スプールリール vs. 大口径スプールリール 実投比較の
結果を表3に示す。

表3 小口径スプールリール vs. 大口径スプールリール 実投比較結果(KWガイド6点式仕様(Ver.02)

※飛距離指数=リョービ・プロスカイヤー7スーパーノーズと実投比較した飛距離の相対比較係数
 詳細はReport #048 歴代投げ専用リール を参照下さい。

上記実投比較の結果からは、KWガイド6点式仕様(Ver.02)は目標の一つであった大口径スプール
リールとの相性が良く、シマノ・スーパーエアロ キススペシャル コンペエディション,
シマノ・スーパーエアロ フリーゲンともに、小口径スプールリールの中で最も飛距離が優れている
ダイワ・トーナメントサーフ 45系と同等の飛距離を維持している。

ラインリリース直後のテーパーラインがバットガイドリングに進入できずにロッド背面側にオーバー
シュートする現象はスプール前端径サイズに関係なく生じているが、その現象は時間にして
約0.07〜0.10secとごく一瞬であり、KWガイド6点式仕様(Ver.01)のように#2ガイド,#3ガイド周辺に
ナイロンラインの摩擦痕を残すことなくガイドリングをスムーズに通過しているようだ。

飛距離における直接対決では、大口径スプールリールが小口径スプールリールに9勝4敗で圧勝
したことからも、KWガイド6点式仕様(Ver.02)は大口径スプールリールと相性が良く、もちろん
小口径スプールリールとも相性は良いので、組み合わせるリールの自由度が広がる点で
KWガイド6点式仕様(Ver.01)より戦闘力がアップしたと結論付けることができるだろう。

5. KWガイド6点式(Ver.02) 実投ロングランテストの総合評価

KWガイド6点式仕様(Ver.02)での実投ロングランテスト結果を表4に示す。

表4 KWガイド6点式仕様(Ver.02)ロングランテストの結果
 テストロッド リョービ・BORON プロスカイヤー 競技スペシャル 40-420
ガイドセッティング種別 チタンハイスピンダー6点式仕様 KWガイド6点式仕様(Ver.02)
テスト期間 2013/10/19〜2013/12/28 2014/1/11〜2014/12/31
投擲数 横〜向かい風コンディション 43投(28.5%) 272投(40.5%)
無風コンディション 50投(33.1%) 202投(30.1%)
追い風コンディション 58投(38.4%) 197投(29.4%)
合計 151投 671投
上位60%平均飛距離 171.28m 171.62m
フェアゾーン投擲精度 132投:87.4% 529投:78.8%
抜け投擲率 5投:3.3% 54投:8.0%
引掛け投擲率 3投:1.8% 23投:3.4%
ライントラブル発生率 2投:1.3% 20投:3.0%

2014年1月11日にスタートしたKWガイド6点式仕様(Ver.02)の実投ロングランテストは
2014年12月31日までに合計43回のテストで671投を投げたが、年間を通してこれ程の回数を
BORON プロスカイヤー 競技スペシャル 40-420で投げ込みをしたのは、実は4年ぶりになる。

最近はこの剛強ロッドをシーズンを通して投げ続ける自信がなく、少し軟らかめのロッドをチョイス
する機会が増えていたからだ。

そんな状況から、KWガイド6点式仕様(Ver.02)に換装しただけで年間671投もの投擲をこの剛強
ロッドで投げ過ごせたことは、体力の衰えを感じ始めていただけに予想以上の成果をもたらしたと
言っても過言ではないだろう。

さらに、シーズン後半にはKWガイド化によるキャストフィーリングの変化にも身体が慣れて飛距離
も上昇傾向で安定し、

2014年9月14日  第3回 九州オープンキャスティングトーナメント選手権
 3投平均:175.55m,最長:179.37m …右横風(強)コンディション

2014年9月21日 広島協会夏季SC通信大会
 3投平均:174.02m,最長:176.15m …無風コンディション

2014年10月5日 全日本SC協会対抗戦
 3F失格,最長:175.23m …向かい風(弱)コンディション

2014年11月30日 全日本SC選手権
 3投平均:176.67m,最長:177.42m …向かい風(弱)コンディション

と、全日本SC協会対抗戦で3F失格してしまった以外は期待以上の飛距離記録を残すことができた。

その唯一飛距離記録を残すことができなかった全日本SC協会対抗戦であるが、敗因はスウィング
動作の始めの一瞬に腰のキレが悪く身体が右前方へ開いてしまうことで、シンカー弾道がコートの
右半分方向に集まったことである。

この症状はロングランテストの間にも時々現れており、チタンハイスピンダー6点式仕様でのベンチ
マークデータと比べて抜け投擲率が3.3%から8.0%に、ライントラブル発生率が1.3%から3.0%に増える
などの影響でフェアゾーン投擲率が87.4%から78.8%に低下してしまった。

しかしながらKWガイド6点式仕様(Ver.02)に換装したBORN プロスカイヤー 競技スペシャル 40-420
では、チタンハイスピンダー6点式仕様の時よりもロッドの振り抜き感が良化しており、リリースした
シンカーの弾道方向や高さのコントロール性について自信を取り戻すことができたと感じている。

ただ時々、身体的問題としての『腰のキレ』が悪い日に限ってシャクリ気味のスウィング動作となり、
身体が前に突っ込む悪いクセが出てしまうために抜け投擲とライントラブルの発生率を増加させて
フェアゾーン投擲率が低下していると考えている。

上位60%平均飛距離においては、チタンハイスピンダー6点式仕様でのベンチマーク値:171.28mに
対してKWガイド6点式仕様(Ver.02)では171.62mと互角の値で1年間投げ続けることができたことは、
正直言って大きな自信回復につながったことは間違いない。

フェアゾーン投擲率が低下したといってもまだ80%近い値は維持できている。
5投で競技を行うスポーツキャスティング大会での確率なら4投はフェアゾーンに入るということだ。
悲観的になる数値ではなく、あと5%,あと7%の確率改善は十分に射程圏内だと考える。

2015年のキャスティングシーズンはすでに開幕しているが、2014年以上の飛距離記録が残せるよう、
また2014年シーズンに解決できなかったフェアゾーン投擲率低下の問題を解消するべく、引き続き
KWガイド6点式仕様(Ver.02)のBORON プロスカイヤー 競技スペシャル 40-420でST-A種目競技を
根気よく続けようと思う。

もし私と同じように、かつて苦楽を共にした思い出深い硬調子ロッドが体力の低下に伴い振り切れ
なくなっている方々にとって、愛竿復活のきっかけやヒントとして本レポートが何かのご参考になれば
幸いです。