'22年02月17日

Report #098 シマノ・21プロセレクト 405CX-T & 425CX-T インプレッション

1. 37年ぶりのネーミング復活:シマノ・プロセレクト投 を即買いしました

1984年、シマノから新たな投げ竿シリーズ:ハイパワーXプロセレクト
が発売されました。



従来モデルに比べてカーボン繊維を高弾性化&高含有率化して反発力
を高め、さらにブランクス外周にカーボンテープをX状に巻き付けて
ねじり剛性も向上したとのこと。



並継ぎは4.05mと4.25mのEX(25号)と4.05mのCX(30号),
BX(33号),AX(35号)と、3.90mと4.20mのXX(40号)の
5グレード7タイプをラインナップ。



さらに振り出しは4.05m&4.25mのFX-T(23号)&EX-T(25号)と
4.05mのCX-T(30号)の3グレード5タイプをラインナップ。

実釣からスポーツキャスティングまで、幅広く投げ釣りを楽しむことが
できるハイパワーXプロセレクトは、現在のシマノ・投げ竿群のルーツ
的存在ともいえる、当時とても注目を集めた投げ竿でした。

当時中学生だった私も、小遣いを貯めてハイパワーXプロセレクト
405EXを購入して本格的に投げ釣りを楽しむようになり、
1985年4月2日には初めての超大物アイナメをこの竿でゲットしました。



そして2021年7月、「プロセレクト」のネーミングを冠した振り出し
投げ竿が発売されるとの情報が入ります。

復活する「プロセレクト」は、かつてのように実釣からスポーツ
キャスティングまで幅広くカバーするラインナップではなく実釣
専用の振り出しタイプのみで、4.05m&4.25mのDX-T(27号),
CX-T(30号),BX-T(33号),AX-T(35号)の4グレード8タイプと
シンプルなモデル構成とのこと。

価格的には最高級モデル:スピンパワーの一つ下位グレードに
なりますが、ブランクスのカーボン弾性率や新世代先調子のロッド
アクションはスピンパワーに匹敵するようですから、魅力的な
実釣用投げ竿に違いないと直感的に思いました。

ちょうど実釣用30号クラスの投げ竿を買い換え予定だったので、
21プロセレクト 405CX-Tの購入を予約したのが7月初めのことです。

そして8月2日、念願の21プロセレクト 405CX-Tが届いたのですが、
コロナウイルスが蔓延中でしばらく釣りも自粛することに・・・
10月にようやくコロナウイルス感染者数も減少傾向となったので、
21プロセレクト 405CX-Tでの釣行を開始しました。

さらに21プロセレクト 405CX-Tの釣り味に大満足したので、
11月には425CX-Tも追加購入。



手持ちサビキでのキス釣りから置き竿でのカレイ・アイナメ・チヌ・
マダイ狙いまで、オールラウンドに対応できる体制を整えました。

そんな、21プロセレクト 405CX-T&425CX-Tのインプレッションを
書いてみます。

2. スペック

21プロセレクト 405CX-Tと425CX-Tのスペック一覧を表1に示します。

表1 21 プロセレクトのスペック一覧
ロッド シマノ
21プロセレクト 405CX-T
シマノ
21プロセレクト 425CX-T
全長実測値 4,061 mm 4,275 mm
先径実測値 2.60 mm 2.40 mm
元径実測値 22.70 mm 22.65 mm
自重実測値 391 g 424 g
ロッドトップ
からの距離

(ガイド,シート種)

<ブランクス径>
※ガイドロック
補強部外上側径

(ブランクステーパー)
※一つ上側測定部
との間のテーパー角度
TOPガイド 0 mm
(PMGST8-2.8)
<2.60 mm>
0 mm
(PMGST8-2.8)
<2.40 mm>
#2ガイド 127 mm
(PKMSG8S-4.0)
<3.30 mm>
 (0.198°)
140 mm
(PKMSG8S-4.0)
<3.10 mm>
 (0.213°)
#3ガイド 285 mm
(PKMSG10S-5.0)
<4.25 mm>
 (0.202°)
290 mm
(PKMSG10S-5.0)
<4.10 mm>
 (0.202°)
#4ガイド 485 mm
(PKMSG12S-6.0)
<5.30 mm> (0.143°)
487 mm
(PKMSG12S-6.0)
<5.25 mm>
 (0.154°)
#1セクション最太部
(非補強部)
745 mm
<6.65 mm>
 (0.147°)
745 mm
<6.50 mm>
 (0.136°)
#5ガイド 770mm
(PKMSG16S-8.5)
<8.70 mm>
770 mm
(PKMSG16S-8.5)
<8.75 mm>
#6ガイド 1,167mm
(PKMSG20S-10.7)
<10.00 mm>
 (0.115°)
1,190 mm
(PKMSG20S-10.7)
<9.85 mm>
 (0.085°)
#2セクション最太部
(非補強部)
1,850 mm
<12.30 mm>
 (0.100°)
1,920 mm
<12.35 mm>
 (0.094°)
#7ガイド 1,950 mm
(T-RVSG30)
<15.00 mm>
2,030 mm
(T-RVSG30)
<15.20 mm>
#3セクション最太部
(非補強部)
2,917 mm
<17.40 mm>
 (0.071°)
3,060 mm
<17.70 mm>
 (0.070°)
#4セクション最細部
(非補強部)
3,011 mm
<20.25 mm>
3,155 mm
<20.80 mm>
リールシート 3,241 mm
(T-NS-7)
<20.70 mm>
 (0.056°)
3,437 mm
(T-NS-7)
<21.30 mm> (
0.051°)
ロッドエンドより
180mm上
3,881 mm
<21.85 mm>
 (0.051°)
4,095 mm
<22.10 mm>
 (0.035°)
標準小売価格(ロッド単体;税別) 70,000円 (2021年発売時)
72,100円 (2022年カタログ)
72,000円 (2021年発売時)
74,200円 (2022年カタログ)
ロッド シマノ
21プロセレクト 405CX-T
シマノ
21プロセレクト 425CX-T


 @#1セクションの比較
   21プロセレクト 405CX-Tと425CX-Tで#1セクションの長さは
   共通となっており、775mmと極端に短い仕様です。
   この#1セクションの短さこそ、新世代先調子振り出し投げ竿
   の最大の特徴になるのでしょう。

   
   上:21プロセレクト 405CX-Tの#1セクションガイドピッチ
   下:21プロセレクト 425CX-Tの#1セクションガイドピッチ


   775mmの#1セクションにはトップガイドと#2,#3,#4までの
   遊動ガイドがセットされますが、ガイドピッチは405CX-Tの
   方が425CX-Tよりも数mm〜10数mm先寄りセッティングと
   なっており、その分ガイドホールド機構のカーボン補強部
   ピッチも405CX-Tの方が先寄りに設置されています。

   なお、カタログスペックでは405CX-T,425CX-Tともに先径
   は2.8mmとなっていますが、実測値では405CX-Tの2.60mmに
   対して425CX-Tは2.40mmと1クラス細くなっています。

   
   上:21プロセレクト 405CX-Tの#1セクション先端部
   下:21プロセレクト 425CX-Tの#1セクション先端部


   この傾向は#1セクション全体に見られ、405CX-Tよりも
   425CX-Tは0.05〜0.20mm細く製竿されていました。

   これらの#1セクションのガイドピッチやブランクス径の違いが
   405CX-Tと425CX-Tの製造ロット間バラツキによるものなのか、
   それとも設計仕様の違いなのかは残念ながら不明です。

   405CX-T,425CX-Tともに、#1セクションは柔軟性と張りを
   両立させた仕様のようで、キャスティングの場面では
   リバウンドの減衰特性を、獲物がエサを咥えた瞬間を検知
   する場面では越冬ギスの繊細な前アタリも的確に捉える
   高感度特性を発揮してくれそうです。

 A#2セクションの比較
   #2セクションのブランクス径は、玉口付近:8.70〜8.75mm,
   元側最太部:12.30〜12.35mmmmで、405CX-T,425CX-T
   ともにほぼ同じ値となっていました。

   ただし、#2セクション長さが405CX-T:1,122mm,425CX-T:
   1,195mmと73mmの違いがあり、玉口部に設置される#5ガイド
   と#2セクション中間に設置される#6ガイドとのピッチも、
   405CX-T:397mm,425CX-T:420mmと23mmの違いが
   ありました。

   #2セクションのブランクス径がほぼ同じで長さに違いがある
   訳ですから、テーパー角度も405CX-Tの0.101°に比べると
   425CX-Tは0.092°と僅かですがスローテーパーとなります。

   405CX-T,425CX-Tともに#2セクションは硬過ぎず軟らか
   過ぎずのブランクス設計で、#1セクションがキャッチした
   微細な高周波振動を的確に手元側へ伝達しつつ、大物が
   針掛かりした際には獲物の反転潜行によるラインテンション
   をしなやかに吸収する、絶妙な張りと柔軟性を発揮して
   くれそうです。

 B#3セクションの比較
   #3セクションのブランクス径は、玉口付近:15.00〜15.20mm,
   元側最太部:17.40〜17.70mmで、405CX-Tよりも425CX-T
   の方が全体的に太めの設計となっていました。

   当然#3セクション長さも、405CX-T:1,064mm,425CX-T:
   1,135mmと69mmの違いがありますが、ブランクステーパー角度
   は405CX-T:0.071°,425CX-T:0.070°と全く同一といっても
   良い値となっていました。

   「ブランクスから生み出されるタメ性能は
     飛距離とコントロール性能を高次元で両立。」

   とのカタログコピーは、おそらくこの#3セクションの性能を
   謳ったものと推測されます。

   ブランクステーパー角度:0.07°がそのロッドアクションを
   生み出す鍵となっているのでしょうか。

   オモリ負荷号数は同じCX規格(30号)ですが、#3セクション
   のブランクス径が太く作られている425CX-Tの方が、
   405CX-Tよりも少し硬く感じられることが予想されます。

 C#4セクションの比較
   #4セクションのブランクス径は、玉口付近:20.25〜20.80mm,
   元側最太部:21.85〜22.10mmで、やはり405CX-Tよりも
   425CX-Tの方が太めの設計となっています。

   チタン製リールシート付近のブランクス径は、405CX-T:
   20.70mm,425CX-T:21.30mmとなっており、30号負荷の
   投げ竿としてはどちらも適度な細身に作られています。

   
   リールシートはチタン製NS-7タイプです

   これらのブランクス径なら、一日中キャスト&リーリングを
   繰り返しても楽に適切なグリップ力でロッドをプッシュ&
   ホールドできるので、疲れを感じることはないでしょう。

   もう一方、キャスト時に引き手側でグリップする
   「キャスコングリップ」は、405CX-T,425CX-Tともに同一形状
   で一体成形されています。

   
   キャスコングリップはスピンパワーと同じく一体成形タイプです

   恐らくすべてのタイプでキャスコングリップの成形を共通仕様
   にするためでしょう、キャスコングリップ直上のブランクス径
   が22.7mmになるよう、ロッドエンドより180mm上から130mm
   上までの区間のブランクステーパー角度が405CX-T:0.5°,
   425CX-T:0.3°となっています。

   振り出しタイプ故に、#4セクション玉口からリールシートまで
   の距離は405CX-T:280mm,425CX-T:332mmと短く、並継ぎ
   タイプのような「バットセクションの剛性感」は体感できない
   と予想されます。

   それでも、#4セクションと#3セクションのジョイント部に
   スリップ感がなくブランクスの張りに変曲点がなければ、
   体感的には#4セクションと#3セクションが連続した「1本モノ」
   に感じられて、並継ぎタイプのようなキャストフィールが
   得られるはずです。

   その辺りのフィーリングは、「4. 実釣&実投フィーリング」
   の項で検証してみましょう。

 Dガイドセッティング
   表1に示したように、405CX-Tと425CX-Tでガイドピッチは
   異なりますが、全ガイドは同一サイズとなっており、
   トップガイド:8mm,#2ガイド:8mm,#3ガイド:10mm,
   #4ガイド:12mm,#5ガイド:16mm,#6ガイド:20mm,
   バットガイド:30mmの組み合わせです。

   
   各ガイドの仕様は405CX-Tと425CX-Tで共通です

   1号以下の極細PEラインからナイロン3〜5号ラインまで、
   幅広いラインシステムの使用を想定したと思われるこの
   ガイドセッティングは、
   
   「置き竿の釣りでの太糸ナイロン使用も想定した
     元ガイドには大口径のRV30を固定で使用。」

   とカタログコピーで紹介されています。

   
   バットガイドはチタンフレームSiCリングのRV30ガイドを採用

   バットガイドにチタンフレーム製RV30ガイドを採用したことは、
   ナイロン12〜14号の力糸の使用を想定すると、ライントラブル
   の防止と糸抜け性を向上する効果が得られると思います。
   

   一方で少し残念なのは、キャスト時のライン通過抵抗だけを
   考慮したガイドサイズ選定のようで、針掛かりした獲物を
   取り込む際の道糸と力糸の結節部の通過抵抗については
   あまり考慮されていないようです。

   ナイロンラインを多用する置き竿釣りの場合、海底の障害物
   周りを狙う際には根掛かりに備えてナイロン4〜5号ラインを
   使用することが多いのではないでしょうか。
   そして、ナイロン4〜5号ラインを道糸に結節する力糸としては、
   5〜12号テーパーラインを使用する以外にもナイロン8号ライン
   を直結するパターンも選択肢に加わります。

   ナイロン4〜5号ラインとナイロン8号ラインの結節部は、
   針掛かりした獲物の取り込み時にトップガイドリングを
   スムーズに乗り越えることができず引っ掛かり易いため、
   できればトップガイドと#2ガイドには10mmリング径を採用
   して欲しかったのですが・・・

   この点は、シマノ・20サーフリーダー 405EX-Tのトップガイド
   と#2ガイドに付け替えることで、希望のガイドセッティングに
   修正することは可能なようですから、しばらく実釣使用した
   上で改造を考えようと思います。

3. ロッド外観

21プロセレクトでは、19アクセルスピンや20スピンパワーと同様に
半透明タイプの塗装が施されており、ブランクス最表層のX状カーボン
テープが目視できるデザインになっています。


見る角度によってカーボン素材の模様が視認できるデザインです

その半透明色塗装には20スピンパワーに似たガンメタカラーが採用
されており、穂先から元竿まで一律の色合いで、濃淡アクセントや
グラデーションは施されていません。

ガンメタカラーの深層にはハイパワーX構造の幅広極薄カーボン
Xテープが目視でき、筋肉質なカーボンブランクスであることを
予想させます。

このようにシンプルながら上質感を醸し出すデザインは、初代:
ハイパワーXプロセレクトとも似た雰囲気を感じさせます。

ハイパワーXプロセレクトのカーボンXテープは幅が狭く厚みのある
タイプでロッド表面がX状にデコボコしていましたが、21プロセレクト
のカーボンXテープは幅広極薄タイプに変更されており、ロッド表面
はデコボコの無い滑らかな表面になりました。

ロッドネームロゴはかつてはプリントタイプが主流でしたが、
12スピンパワー以降のシマノ製投げ竿ではやや立体的に見える
貼り付けタイプのロッドネームロゴが採用されています。


立体的で金属光沢を有するロッドネームロゴを採用しています

この立体的貼り付けタイプロッドネームロゴについては、一部の
ユーザーからは「こんなところにコストを掛けないで欲しい」と
やや否定的な意見も出ているようです。

私個人的には、ロッドネームロゴのテキストカラーとフォントタイプ
の選択肢が拡大し、さらにホログラムや金属蒸着シートを併用
することで比較的安価にクオリティーアップできるので、なかなか
良いアイテムだと思います。

実は貼り付けタイプロッドネームロゴは1997年発売のリョービ・
BORONプロスカイヤー競技スペシャルに採用されていました。
それで21プロセレクトのロッドネームロゴが気に入ってるのかも
知れませんがね。

4. 実釣&実投フィーリング

2本購入した21プロセレクトですが、405CX-Tは手持ちサビキでの
キス釣りから置き竿でのカレイ釣りまで幅広く活用中です。

特に、シマノ・13スーパーエアロ サーフリーダーCI4+35との
組み合わせでは、手持ちサビキ釣りでキスを狙う際に持ち重り感が
全くなく、快適に釣りを楽しめています。


シマノ・13スーパーエアロ サーフリーダーCI4+35を装着した事例

従来は、ダイワ・スカイキャスター 33-405Sを遠投キスサビキ釣りに、
シマノ・NEWサーフカスタム390を近投キスサビキ釣りに使用して
いましたが、21プロセレクト 405CX-TはPE0.8号ラインからナイロン
4号ラインまで幅広く対応できるため、これ1本で遠投から近投まで
全域でキス釣りが楽しめます。

特に食い渋る越冬ギス狙いで高感度・柔軟穂先が機能を発揮し、
キスがエサを咥えた瞬間の前アタリを確実にキャッチしつつ、
キスに違和感を与えずに高確率で針掛かりてくれます。

手持ちサビキキス釣りでの穂先感度シミュレーション
(27号シンカー相当)

 
ダイワ・スカイキャスター 33-405S
(穂先がやや硬くキスのアタリを弾き易い)  


シマノ・21プロセレクト 405CX-T
(穂先が柔軟でキスのアタリを弾き難い)

2021年11月〜2022年1月に越冬ギス狙いで3回釣行しましたが、
遠投ポイント,近投ポイントともに以前に比べるとアタリをキャッチ
する感度が高くなり、キスの針掛かりも良くなっています。


キスとキュウセンの連掛けではアタリも識別できました

一方遠投置き竿釣りでは425CX-Tも併せて活用しています。
やはり、424gで4.25mというのは持ち重り感で手持ちサビキには
不向きなので、425CX-Tは置き竿釣り専用です。

従来置き竿釣りにはダイワ・ランドサーフ33-405と同30-405を使用
していましたが、33-405の#3セクション玉口部のブランクスが縦割れ
して使用不能となったことから、新たな置き竿釣り用の振り出し
投げ竿として21プロセレクト 425CX-Tを購入した次第です。

置き竿釣りで組み合わせるリールは、固定式テーパースプール機の
シマノ・88チタノス スーパーエアロ GT7000や
シマノ・97スーパーエアロ EV、またはドラグフリー釣法に対応した
ダイワ・パワーサーフ QD4000で、道糸ナイロン3〜4号ラインを
使用して100〜120m沖までが守備範囲になります。

この仕様では、2021年12月5日に自己記録:45cmのイシガレイを
釣っていますが、カレイが本虫を咥えた瞬間に「パシッ!」と
竿先が叩かれ、続いてカレイが本虫付きの針を完全に飲み込んだ
であろう瞬間には「コクン」と竿先が小さくお辞儀をしました。


カレイ狙いでは自己記録更新のイシガレイをゲット!

21プロセレクトの竿先は予想以上の高感度で、ナイロンラインでの
置き竿釣りでもアタリが楽しめる仕様となっています。

ただし、トップガイドから#3ガイドのリング径が小さいため、
ライントラブルなくキャスト&リーリングできる道糸はナイロン4号
ラインが実用上の限界でしょうか。

私自身は、ナイロン3〜4号ラインが標準で5号以上の太糸は使うこと
がないので、何とかノーマル仕様でもほとんどの釣り場で置き竿釣り
が楽しめそうです。

ところで気になる遠投性能ですが、 実釣では風や潮流,水深の影響
で正確な飛距離測定ができないため感覚的な評価になりますが、
シンカー号数と仕掛け仕様が同一の場合、405CX-Tと425CX-Tの
飛距離差はほとんど無いと思われます。

それでも仕掛けやエサのボリュームによってはキャストフィールには
少し変化が感じられます。
一例として、遊動式天秤&2本針仕掛けに本虫と青虫をミックス掛け
するような場面では、69mm長い#3セクションを持つ425CX-Tの
方が力強くシンカーを弾いてくれる印象で、スウィングスピードを
がむしゃらに高めなくても楽に遠投ができます。

一方で固定式天秤&キス用小針小エサの多点針仕掛けでは、
素早く振り抜いてシンカー初速を高めることが可能な405CX-Tが
軽快に遠投を楽しむことができます。

そんな実釣場面のキャストフィール記述だけでは満足できないのは
元キャスティング選手の性でしょう。
やはり飛距離を測定して405CX-Tと425CX-Tの比較検証をしたい
ですし、さらには従来遠投キスサビキ釣りに愛用していた
ダイワ・スカイキャスター 33-405Sとの飛距離比較も行いたくなり
ました。

以前は毎週キャスティング練習をしていた河原に、約4ヵ月ぶりに
これらの実釣用投げ竿を持ち込んで投げてみました。

組み合わせるリールには、シマノ・13スーパーエアロ
サーフリーダーCI4+35を選択し、ナイロン2号ラインにナイロン
3〜16号テーパーラインとキャスティング競技用25号シンカー
(約109g:27号相当)を付けて、普段の遠投キスサビキ釣りと
同様スリークォーター投法で各5投の飛距離を測定しました。

当日は、西北西の季節風が左90度方向から5〜6m/sの風速で
吹き付けるコンディションでしたが、
結果はほぼ予想通りで上位3投平均飛距離に大きな差はなく、
 @シマノ・21プロセレクト 425CX-T
    ・・・ 3投平均135.1m 最長137.2m
 Aダイワ・スカイキャスター 33-405S
    ・・・ 3投平均134.6m 最長137.0m
 Bシマノ・21プロセレクト 405CX-T
    ・・・ 3投平均134.2m 最長137.3m
と優劣付けることができないスコアでした。


シマノ・21プロセレクト 425CX-Tの投擲時画像


ダイワ・スカイキャスター 33-405Sの投擲時画像


シマノ・21プロセレクト 405CX-Tの投擲時画像

ダイワ・スカイキャスター 33-405Sは購入から15年以上が経過して
おり、反発力が経時劣化している可能性がゼロではありませんから、
最新モデル:シマノ・21プロセレクトとの飛距離比較では当然不利に
なるでしょう。

それでも、シマノ・21プロセレクトには並継ぎタイプの本格投げ竿と
互角の遠投性能が備わることから、振り出しタイプ投げ竿であり
ながら遠投キスサビキ釣りにも使えるポテンシャルを有している、
ということになります。

5. まとめ

2021年夏に発売された21プロセレクトですが、2022年版シマノ総合
カタログでは振り出しタイプ投げ竿の最上位機種として掲載されて
おり、振り出しタイプの12スピンパワーはとうとうカタログ落ち
したようです。

12スピンパワーに匹敵する高弾性カーボン繊維をふんだんに使用した
スパイラルX+ハイパワーX構造のブランクスに、カーボン一体成形
キャスコングリップとチタン製リールシート&バットガイドを採用
していますから、「12スピンパワーの後継ロッド」を名乗っても
良いのではとも思います。

それでも「12スピンパワーの後継ロッド」を名乗らずに37年ぶりに
「プロセレクト」のネーミングを選択したのは、並継ぎタイプの
20スピンパワーが採用した「ナノアロイ」と称する東レのカーボン
プリプレグ技術を採用していない点と、何よりもMade in JAPANでは
ないことが理由では無いかと勝手に推測しています。

釣り場や釣法,求める飛距離に応じてDX-T(オモリ負荷:27号),
CX-T(同:30号),BX-T(同:33号),AX-T(同:35号)の
各硬さ番手で4.05mと4.25mを選択可能ですが、私自身はどの釣り場
でも万能的にマッチするであろうCX-Tで4.05mと4.25mを各1本揃え
ました。

そんな21プロセレクトは、価格と性能のバランスに優れた良い投げ竿
だと思います。
これまでは並継ぎタイプの投げ竿を選択していた釣り場や釣法に
おいても、振り出しタイプの機動力を活かしつつ優れた遠投性能と
食い込み性能で、より快適に投げ釣りを楽しむことができるでしょう。

各自の投げ釣りスタイルに応じて最適仕様の21プロセレクトを
2〜3本揃えることができれば、今まで以上にもっと投げ釣りを
楽しめるのではないでしょうか。

このプロセレクト復活を起点に、また投げ釣りが全国的に流行
してくれることを願うばかりです。