'23年05月07日
                       '23年12月30日追記

Report #101 ダイワ・23ロングビーム35 QD インプレッション

1. 20年ぶりにダイワ製35mmQDリールを購入しました

2021年に購入した振り出し投げ竿:シマノ・21プロセレクトに
組み合わせる投げ専用リールに、シマノ・パワーエアロのモデル
チェンジを待っていたものの、一向に新型の発売がありません。

そんな中でネット通販サイトで見つけた中国製投げ専用リール:
GX8000を購入して実釣使用したのですが、このリール何故か
全く魚が釣れません・・・

今年こそは新製品出ないかな?と1〜2月にフィッシングショー
関連情報を収集すると、ダイワから23ロングビーム35 QDが4月
に発売されるとのこと。

ネーミングが「ロングビーム」ということは、メインユーザーは
ごく一般的な投げ釣り師のようです。

そんな23ロングビーム35 QDは、03パワーサーフ QD以降の
35mmストロークQDスプールが使用可能で、カーボン繊維強化
樹脂:ザイオンVをボディーとローターに採用して520gの軽量
設計とのこと。

私自身は2003年から03パワーサーフ 4000QDを2台愛用して
いますから、これらのスプールがそのまま使えます。

ボディーの剛性感と駆動系の回転フィールはメタルボディーの
03パワーサーフより劣るかも知れませんが、このリールなら
シマノ・21プロセレクトにセットして投げ釣りを楽しむことが
できそうです。

3月には21プロセレクト405CX-Tと同425CX-T用として、2台の
23ロングビーム35 QDを某通販サイトで購入予約しました。

そして、待ちに待った23ロングビーム35 QDが、4月某日我が家
に届きました。



2. スペック

23ロングビーム35 QDの実測スペック一覧を表1に示します。

なお、23ロングビーム35 QDにはダイワ製リールのお約束で
「マグシールド」が搭載されており、ユーザーによる分解整備
は推奨されていません。

私としては大変不本意ながら、メカニズムを分解確認できない
状態でのインプレッションとなってしまいました。

表1 23ロングビーム35 QDの実測スペック一覧
モデル 23ロングビーム35 QD
自 重 ライン含まず 524 g
ライン含む 550 g
ギヤ比 1:4.1
オシュレーション・ストローク 35 mm
オシュレーション方式 円筒カム複軸
等速3.3度綾巻き
前進・後退各6.1ターン
ボールベアリング 7個
(うち1個はローラーベアリング)
ドライブギヤ デジギヤU
(17ウインドキャストと共用)
ピニオンギヤ デジギヤU
(17ウインドキャストと共用)
メインシャフト ステンレス鋼製 φ5.80 mm
(17ウインドキャストと共用)
ウォームシャフト 不明
ウォームシャフトギヤ 不明
ボディー ザイオンV製
ボディーカバー ザイオンV製
ローター ザイオンV製
ラインローラー ツイストバスターU
(ボールベアリング2個内蔵)
ハンドルアーム アルミニウム合金マシンカット製
軽量タイプ左右両用 85 mm
ハンドルノブ 樹脂製 パワーT型
フルストローク全長 198.6 mm
スプール
仕様
前端径 68.30 mm
後端径 71.00 mm
糸巻き部径 56.65 〜 58.75 mm
糸巻き部有効長 37.50 mm
テーパー角度 1.9度
材質 アルミニウム合金(鍛造)
全長 58.60 mm
自重 98 g
メーカー希望小売価格
(税抜き)
34,000

メカニズムの分解確認ができないだけでなく、カタログデータで
公表されているスペックデータが少ないのは少々物足りなさを
感じます。

ダイワHPの部品検索サイトで他機種との部品共用状態をチェック
すれば、何らかの情報が得られるはずです。

結果、23ロングビーム35 QDは17ウインドキャスト QDと主要部品
の多くを共用していることが分かりました。
 ・ドライブギヤ(マシンカット:デジギヤU)
 ・ピニオンギヤ
 ・ワンウェイクラッチ
 ・メインシャフト
 ・ピニオンベアリング(ピニオンギヤ上側)
 ・オシュレーションスライダー(摺動子)
 ・ポール(ウォームシャフトポール)
 ・中空構造エアベール
 ・糸落ち防止ラインガード
 ・リヤキャップ

つまり23ロングビーム35 QDは、ビギナー〜中級者向けドラグ付き
投げ専用リールである17ウインドキャスト QDの
 ・ガラス繊維強化樹脂製ボディー&ローター
   を、カーボン繊維強化樹脂:ザイオンVに置換
 ・アルミニウム合金ダイカスト製スプール
   を、アルミニウム合金鍛造製スプールに置換
 ・アルミニウム合金マシンカット製ハンドルアーム
   を、軽量タイプマシンカット製ハンドルアームに置換
 ・ボールベアリングレス型ツイストバスターUラインローラー
   を、2ボールベアリング内蔵型ツイストバスターUに置換
 ・ドライブギヤ支持部の非防錆タイプボールベアリング
   を、防錆処理タイプボールベアリングに置換
した「アップグレードモデル」という位置付けのようです。

23ロングビーム35 QDのギヤ材質は公表されていませんが、
「デジギヤU」と称するジュラルミンマシンカット製のようです。

デジギヤUは、ギヤ表面に特殊ラッピング加工を施し、ピニオン
ギヤとドライブギヤのクリアランスや摩擦係数などを最適化する
ことで噛み合わせ精度と耐久性をアップしているようです。

23ロングビーム35 QDのギヤ比は1:4.1となっていますが、ドラグ
レスモデルと共通で、03パワーサーフ QDの1:3.9からは少しだけ
ハイギヤ比化されています。

そんな23ロングビーム35 QDのギヤシステムがどの程度の巻き上げ
パワーと耐久性を発揮するのか?
長期使用でその性能を評価してみましょう。

3. 外観デザインを検証

 3.1 ボディー&ローター

ボディー&ローターは、17ウインドキャストのガラス繊維強化樹脂
:DS4製から23ロングビーム35 QDではカーボン繊維強化樹脂:
ザイオンV製に置換していますが、成形金型が共通で各パーツは
かなり厚肉に設計されています。



ダイワHPによると、DS4<ザイオンV<ザイオンの順に成形部品の
強度が向上するとのことですが、カーボン繊維含有率が低めに
設定されたザイオンVはDS4製リールと同一成形寸法で強度アップ
と軽量化が実現されるようです。

できればザイオンV材モデルには専用の成形金型を製作し、
ボディー&ローター肉厚をDS4材モデルよりも薄肉化して欲し
かったのですが・・・

23ロングビーム35 QDの外観色には、メタリック調ブラウンの塗装
が施されており、ハンドルアーム装着部の周囲に金色の装飾パーツ
が取り付けられ、多少の上質感を演出しています。



メタリック調ブラウン塗装の膜厚はごく薄いようで、傷や擦れなど
による外観劣化が気になります。

このあたりも長期使用でその性能を評価してみましょう。

樹脂製リヤキャップは、歴代ダイワ製投げ専用リールと同様に
メッキ処理を施したデザインを踏襲していますが、モデル名称や
機種番号などのテキスト表示は省かれています。


23ロングビーム35 QDのリヤキャップ(側面)

2000年代初頭のダイワ・投げ専用リールのデザイントレンドとして、
最上位機種であるトーナメントサーフ Z45Cだけでなく中級機種
である03パワーサーフ QDでも、メッキ処理のリヤキャップには
機種名称がプリントされていました。


03パワーサーフ QDのリヤキャップ(側面)

23ロングビーム35 QDのボディー後部は開口構造となっておらず、
リヤキャップはウォームシャフトとオシュレーションポスト
(摺動子ガイド)の位置決めと外観的な装飾を兼ねた部品となって
います。

従って、リヤキャップを外してもオシュレーション機構への注油は
できません。


23ロングビーム35 QDのリヤキャップを外した状態(横)


23ロングビーム35 QDのリヤキャップを外した状態(後)

03パワーサーフ QDのリヤキャップはボディー後部の開口部の
カバーを兼ねていましたから、リヤキャップを取り外すと
オシュレーション機構に注油が可能で便利な構造でした。


03パワーサーフ QDのリヤキャップを外した状態

このボディー後部の構造変更も、マグシールド機への注油
メンテナンスをユーザー自身にさせないための対策なのでしょう。

ローターは、ダイワ・スピニングリールでは標準仕様の
「エアローター」と称する開口形状デザインです。


23ロングビーム35 QDのローター(後方)

ダイワHPによると、エアローターは開口形状を持ちながらも強度
は確保されており、軽量化により回転バランスが良くなるとの
ことです。

個人的には、このような異物が侵入し易い開口デザインよりは
03パワーサーフ QDのようなクラシカルデザインの方が、異物の
侵入が防げそうな印象で好きですが・・・


03パワーサーフ QDのローター(後方)

 3.2 ベール&ラインローラー
ベールは、ダイワ・スピニングリールでは中級機種以上に標準仕様
の「エアーベール」となっており、中空太径ワイヤーと立体的に
ラウンドしたラインローラー導入部形状で糸絡みトラブルの防止と
軽量・高強度を実現しているとのことです。



ラインローラーは、外観的には03パワーサーフ QDから変わらない
「ツイストバスターU」ですが、性能アップの改良が多数加えられ
ているようです。



まず外観的にはクロムメッキ調のシルバー色表面処理となって
います。

03パワーサーフ QDのチタンコート・ラインローラーでは、使用
開始から数年も経てばラインと接触する箇所の表面処理が剥離
して溝ができ、糸ヨレ防止機能も徐々に低下するものでした。



23ロングビーム35 QDのラインローラーは、ラインと接触する箇所
で剥離や溝の発生がなく糸ヨレ防止機能の低下を起こさないか?
長期使用でその耐久性を評価してみましょう。

03パワーサーフ QDのラインローラーにはボールベアリングが1個
しかが内蔵されませんでしたが、23ロングビーム35 QDのライン
ローラーには2個のボールベアリングが内蔵されています。


03パワーサーフ QDのラインローラー部品


23ロングビーム35 QDのラインローラー部品


ラインローラーに内蔵されるボールベアリングが2個となったことで
ボールベアリング1個に掛かる荷重が半減して、ラインローラー部
から異音を生じ難く糸ヨレ防止効果も高くなります。

03パワーサーフ QDのラインローラーでは、ローラーカラーとライン
ローラーが接触する構造だったため、経年劣化により両部品が
それぞれ摩耗してラインローラー部から騒々しい異音が発生する
ものでした。

23ロングビーム35 QDのラインローラーは、ローラーカラーとライン
ローラーとは非接触構造となっている点でも、ラインローラー部
からの異音発生を防止しているようです。



また、ボールベアリング周辺の防水パッキンが大型化されており、
海水の侵入はほぼゼロ化されているようです。



従来は釣行の都度ラインローラー部を分解して、侵入した水分と
乳化してしまったグリスを拭き取り新しいグリスを塗布する必要が
ありましたが、23ロングビーム35 QDではラインローラーの表面
に付着した塩分や汚れを清掃して、外から潤滑油を塗布するだけ
のメンテナンスでも十分なようです。
 3.3 スプール
23ロングビーム35 QDのスプールは35mmストローク機に初採用
の、「LC(ロングキャスト)スプール」にアップグレードされて
います。

スプール本体には金色のアルマイト処理を、エッジリング部と
スカート部には濃いグレーのアルマイト処理を施し、2トーンの
カラーリングで上質感を演出しています。



このLCスプールは、キャスト時の放出ラインとスプールエッジとの
接触抵抗を減らしつつ、バックラッシュトラブルを低減することで
飛距離が安定・向上するとのことです。

具体的には、ライン巻き取り量の上限位置に一段目のエッジが
あり、さらにスプール前端側に設けられた二段目のエッジが
キャスト時の放出ラインを整流する役目を担っているとのことです。

この二段エッジ構造による放出ライン接触抵抗低減効果は、
ナイロン4〜5号ラインでのキャスト時にも体感できるのか?
まずは実釣時に、「感覚的」な評価をしてみましょう。

私が購入した2台の23ロングビーム35 QDのスプールでは、
二段構造のスプールエッジ寸法に違いがありましたが、この違い
が製造ロットによるバラツキなのか意図的な仕様変更なのか、
詳細は不明です。


本体ロット記号:I-e装着スプールの実測寸法


本体ロット記号:I-f装着スプールの実測寸法

LCスプールへのラインの巻き取り状態には偏りがなく、2度の
スプールテーパーに沿って整然とラインが巻かれています。



これは、ローターが12.2回転で35mmストロークを1往復する
オシュレーション速度設定によるもので、スプールの前後端で
オシュレーションターンするポイントが約72度ずつずれるために、
ライン交点が重ならずに整然と巻き取られています。

このオシュレーション速度は03パワーサーフ QDと同じで、20年
経った今でもダイワ・35mmストローク投げ専用リールの標準設定
として維持されているようです。

また、LCスプールはで鍛造製法による薄肉化とホール加工の効果
で03パワーサーフ QDのアルミダイカスト製スプールに比べて30g
軽量化されています。




23ロングビーム35 QD用スプール





03パワーサーフ QD用スプール

23ロングビーム35 QDの大きなメリットとして、2003年以降に発売
されたQDシリーズとスプール互換性があり、旧型QDのユーザー
は保有するスプールを替えスプールとして使用が可能です。

ただし、アルミダイカスト製QDスプールを装着する場合はリール
の重心位置が変わるため、持ち重り感が増すなどのデメリットも
あります。





スプールの糸止め機構は、歴代QDスプールと同様にナイロン12号
ラインでも止め易い大型の糸止め具となっています。



私自身は、この大型糸止め具をリールの下向きにセットしておき、
ドラグフリー釣法の際にラインが引き出されたかどうかを視認する
目印にも使っています。

 3.4 ハンドル
アルミマシンカット製のハンドルアームは、23ロングビーム35 QD
で最も目を引く新アイテムでしょう。

18トーナメントサーフ35のハンドルアームと同様に大胆な肉抜き
マシンカットを施し、85mm長さでハンドルスクリュー固定式の
左右両用タイプでは最軽量:48gとなっています。





03パワーサーフ QDのアルミダイカスト製:90mmハンドルが78g
ですから、実に38.5%も軽量化したことになります。

この軽量化と引き替えにハンドルアーム付け根側の肉厚を大幅に
削っていますが、このアーム形状は使い慣れるまで強度面にやや
不安を感じますね・・・

ハンドルノブは樹脂製パワーT型で、03パワーサーフ QDとも似た
形状ですが長さ・太さが旧型よりコンパクト化されて、最大長さ:
55.30mm,最大径:24.80mmとなっています。


左:23ロングビーム35 QDのハンドルノブ
右:03パワーサーフ QDのハンドルノブ

ハンドルノブの握り易さは手の大きさにもよりますが、私の場合は
旧型の大きさの方がしっかりと握れて最大の巻上力を発揮できる
印象です。

これも、23ロングビーム35 QDを長く使い込んでいけば、いずれは
慣れるとは思いますが。

4. 実投・実釣フィーリング

23ロングビーム35 QDにナイロン4号ラインを巻いて、4月某日に
ホームグラウンドの尾道市・生口島へ釣行しました。

狙いはキスですが、運が良ければカワハギやカレイ,マダイなど
も釣れますし、さらに全長70cm以上のアカエイやサカタザメとの
ファイトも楽しめる、お気に入りポイントです。



仕掛けはキスからマダイをカバーする金カレイ10号と丸海津13号
を使用します。

まずは仕掛けを70〜80m投げますが、キャスト時のライン放出は
LCスプールの効果なのか新品ラインの効果なのか、特定はでき
ませんがスムーズに出て行きました。

感覚的な印象ですが、23ロングビーム35 QDのライン放出時の
摩擦音は、03パワーサーフ QDよりも静かなようです。

仕掛けが海底に落ち着くと時々リールを巻いて誘い掛けしますが、
27号シンカーの重さ+潮流の抵抗+エサの重みを感じつつ
サラサラと滑らかな巻き心地です。

オシュレーション動作も節がなく滑らかで、ストローク前進限や
後退限での振動も全くありません。

ドライブギヤとピニオンギヤの噛み合わせ精度と、ウォームシャフト
とオシュレーションスライダーやポールとの摺動性能ともに、定価
3万円台の投げ専用リールとしては十分合格レベルでしょう。

23ロングビーム35 QDで実釣場面で評価すべきは、あとは魚が
掛かった状態での巻き上げフィーリングでしょうか。

そこへ、ようやく最初のアタリが。
21プロセレクト425CX-Tの竿先がコンコンとお辞儀しました。
アタリの出方からすると、キスではなく他の魚種のようです。

2回目のアタリを見てから、アワセを入れてリーリングを開始します。
重量感はそれほど感じませんが、魚が暴れる感触が伝わってきます。
姿を現したのは、この釣り場ではまずまず良型のカワハギ23cm
でした。



いよいよ満潮直前で時合いのようですから、誘い掛けを積極的に
行いつつ、エサも新鮮なものに付け替えるので仕掛けの回収頻度
が増します。

そんな仕掛け回収の途中でした。
残り50〜60mの所でガツンと何かが針掛かりしてきました。

エソかな?

しかしエソの割には重量感が大きく、時々獲物が海底へ潜ろうと
する感触が伝わってきます。

23ロングビーム35 QDの巻き上げパワーを試すほどの大物では
ありませんが、なかなかの大物みたいです。

ようやく獲物の姿が見えて驚きました。
何と、釣り人生初めてのヒラメです。



ヒラメといっても小型の35cmですが、嬉しい釣果となりました。

さらに別の日の釣行では、1台の23ロングビーム35 QDは岸近く
のカケ上がりを手持ちサビキでキス狙い、もう1台は置き竿で
遠投大物狙いをしてみました。

手持ちサビキでのキス狙い用ロッドには、Report #100で紹介した
シマノ・22サーフランダー 405EXを使用します。

飛距離は70mほどでポイントに届きますし、点在するシモリと
急なカケ上がりを交わす必要があるので、ナイロン4号ラインを
使用しています。

従来は、このようなポイントでの手持ちサビキのキス釣りに
シマノ・97スーパーエアロEV(ライン込みで576g)を使用して
いましたが、23ロングビーム35 QDはライン込みで524gと軽量
ですから手持ちサビキ釣りでも扱い易いでしょう。

シーズン開幕直後のキスはまだ活性が低く、数・型ともに本調子
ではありませんでしたが、32cmのワニゴチも釣れて
23ロングビーム35 QDが手持ちサビキ釣りも楽しめることが分かり
ました。





そんな23ロングビーム35 QDのデビュー戦釣行数回ですが気に
なる所もいろいろ発見しています。

まず外観デザインの検証でも不安視していた表面塗装の薄さです
が、リールシートとの接触面は1〜2回の釣行後で既に塗装剥離
が始まっていました。



やはり23ロングビーム35 QDの塗装皮膜は薄くて弱いようです
から、釣行後は水洗いまたは濡れタオルで塩分や砂粒を丁寧に
取り去る必要があるでしょう。

また、ザイオンVの強度面でメタルボディーとの差がどの程度
なのかも気になる所でしたが、根掛かりした仕掛けの回収を
試みた際にその欠点が明白となりました。

残念ながら、23ロングビーム35 QDのザイオンV製ボデー&
ローターは、 明らかに03パワーサーフ QDのボデー&ローター
よりも剛性が低く、これまでに使用してきた投げ専用リールの
中でも最も剛性不足だと感じました。

まず最初に驚いたのは、ハンドルを回そうとしてもボディーが
捻れるばかりでドライブギヤが全く回転できない点です。

ボディーはリールフット部も捻れますし、駆動系パーツを収納
するケーシング部も捻れているように見えました。

そして、道糸のテンションでローラーアームが引張られるにつれて
ローターも変形し始めます。

幸い、ボディーやローターに亀裂などの損傷は生じずに元の形状
に戻りましたが、あまり気持ち良い現象ではありません。

各現象を写真に収めることができなかったことが、今少し悔や
まれます。

そもそも、ボディー&ローターともにどちらかというと初心者〜
中級者向け機種と同一金型で成形しているであろう時点で、
本格的な投げ釣りに使用するには剛性不足なのでしょう。

恐らく、ですが23ロングビーム35 QDでは70cmオーバーの
アカエイやサカタザメとのファイトの際にリールの巻き上げ
パワーに頼ってゴリ巻き勝負をしてしまうと、獲物の潜行力
に完敗してあっさり逃げられることでしょう・・・

03パワーサーフ QDでは獲物の強烈な潜行力を難なく制し、
取り込みができたのですが。

やはりドラグ付き投げ専用リールにはメタルボディーで
エアローターではない機種がふさわしいと思います。
(パワーエアロのモデルチェンジをもう一度待とうか・・・)

取り敢えず、今後の23ロングビーム35 QDでの釣行では、
アカエイやサカタザメには遭遇しないよう気をつけつつ、
大物魚をゲットできればと思います。

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'23年12月30日追記


不安視していた23ロングビーム35 QDのザイオンV製ボデー&
ローターの剛性不足ですが、その後の釣行でも数回の根掛かり
した仕掛けの回収においてボディー&ローターの変形を確認。

この現象によりドライブギヤとピニオンギヤの噛み合わせにズレ
を生じて各ギヤの歯面が傷付いた模様で、ハンドルを回すと
特定の位相で必ずザラつき感を発します。

具体的に内部構造を分解して示すことができないのが惜しい
のですが、私の使用している23ロングビーム35 QDは2台とも
ドライブギヤとピニオンギヤの歯面に相応の傷が入っている
ようです。

正直なところ、ドラグフリー釣法での大物狙い主力機として、
23ロングビーム35 QDは不相応と考えます。

ボディー&ローター材質を少々アップグレードしたからといって、
構造的な強度・剛性が大幅向上している訳でなく、廉価版の
カテゴリーのままでのアップグレード版、ということになるよう
ですね。

結局、23ロングビーム35 QDを使用し始めて3ヵ月後の7月には、
ドラグフリー釣法での大物狙い主力機として在庫復活していた
シマノ・13パワーエアロ スピンパワーを2台購入しましたから…

やはり、ダイワ製投げ専用リールには無い強靭なドライブギヤ
とピニオンギヤ、そしてメタルボディーと高剛性ローターを有する
シマノ・13パワーエアロ スピンパワーは、安心してドラグフリー
釣法での大物狙いができますね。