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Report #050  2007年兵庫・大阪・和歌山3協会合同春季SC通信大会レポート

関西地区の2007年キャスティングシーズン開幕戦として、兵庫・大阪・和歌山3協会合同春季SC通信
大会が、3月11日(日)に兵庫県西宮市甲子園浜埋立地特設会場にて開催された。

当日は冬型の気圧配置となり、朝の最低気温:5℃,日中の最高気温:10℃といつもの練習場ほど寒く
はないが、常時強い北西風が吹き付け時にはみぞれが舞う中での競技となった。

参加者の内訳は、兵庫協会:42名,大阪協会:46名,和歌山協会:1名と、総勢89名史上最大規模の
通信大会となった。

1. ST種目

 1.1 第1投目

まず最初にST種目から競技開始。

今大会も、第1〜2投目のウォームアップ用に「黒BORON」と、第3〜5投目の追い上げ用に「赤BORON」
の2本のメインロッドを準備。
ウォームアップから5投目全開キャストまでのロッドの使い分けは、2月25日の記録会も含めて何度と
なくシミュレーション済みである。

よりミスなく安定的かつ右肩上がりに飛距離を得るためには、軟硬2タイプのロッドを使い分けるのが
今のところの最良策なのだ。

そして迎えた2007年公式戦の記念すべき第1投は、絶好の追い風も手伝って気持ちよくシンカーが
遥か彼方へ飛んでいった。
計測の結果は191.98m。


       真鍋の投擲

追い風が苦手な私にとっては、なかなか上出来な数字である。
もっとも、風は追っているものの押さえ込むような風圧を持っており、各選手とも飛距離はあまり伸び
ていない様子。

それでも強い風に後押しされれば、今日も上位は200mオーバーの争いになるか?
そうなると、過去に一度たりとも200mオーバーを投げたことのない私にはとても勝ち目はないか、
それとも生涯初の200mオーバーを記録することができるか?

期待と不安を一瞬感じたのだが、2投目に入る頃には冷静に「自分のキャスティングを貫け」と自身に
言い聞かせてケージの中へと入った。

 1.2 第2投目

第1投目ではコート右1/2へ打ち上げたシンカーが右サイドぎりぎりまで流される風であった。
そこで、第2投目ではコートの左半分を狙い、センターへの着地を狙ってみることに。

シンカー弾道は狙い通りであったが、風による影響が予想より少なく、シンカーはほとんど流されず
に着地した。
計測結果は191.71m。
第1投目とほぼ同じ飛距離だった。

ここで初めてST種目参加者の飛距離をチェック。
この時点での最長は、西宮天狗クラブ・徳田選手が2投目に記録した195.59m!
二番手はST-B種目の貝塚サーフ・外山選手・193.23m,三番手に私の第1投目・191.98mが入って
いるが、188.26mをマークしている西宮天狗クラブ・川端泰三選手も侮れない存在だ。

残り3投は体も温まりキレが出てくるハズなので、ロッドを「赤BORON」に持ち替えて、練習通りの
振りを心掛けるのみである。


      徳田選手の投擲

 1.3 後半セッション:赤BORONで・・・

ロッドを赤BORONにスイッチした第3投目は、タメを意識し過ぎたせいか?スウィング動作開始直後
に穂先がブレてしまったようで、シンカーが尻尾を振りながら飛んでしまった・・・
それでも188mほど飛んだのは強い追い風のお陰だろう。感謝。

一方で川端選手の投擲では、剛竿:GFXプロスカイヤー40号が円弧を描き、弾き飛ばされたシンカー
はなかなか着地せず、観衆は息を潜めてレーザー計測の結果を待った。


      川端選手の投擲

計測の結果は、兵庫協会ST種目最長記録更新となる202.74m!
これで勝負は決まったか?

私はただひたすら、「200mオーバーを狙う」のではなく「自分にとってベストなキャスティングをする」
ことだけに意識を集中する。

しかし、第4投目は穂先のブレを意識し過ぎてスウィング動作に入る際にロッドを押さえ付けてしまい、
痛恨のライントラブルで172m失速・・・

まだまだ赤BORONを実戦投入するのは時期尚早か?とも思ったが、最後の投擲だけでも
赤BORONでの正確なポテンシャルを出しておこう。

第5投目は肩の力を抜き、練習のつもりで軽くスウィング動作を始動した。
シンカー荷重も明確に感じられ、一気にパワーを掛けた後はキレイにロッドが反発してくれた。

ど真ん中センターを打ち抜く弾道は高度も十分で、やっとこさの会心の1投!
計測結果は190.76mと競技前半戦のスコアに1mほど届かなかったが、風のコンディション一つで
1mくらいのバラツキは当たり前。

第2投目〜第3投目で素晴らしい飛距離をマークした川端選手,徳田選手ですら、第4投目〜第5投目
は185〜187mの飛距離であるから、190m台の飛距離なら十分でしょう。

結果的には190m台から191m台の飛距離を3本揃えることができ、2007年の開幕戦としては十分
に納得の内容だった。

少し欲を言えば、あとロッド1本分でも飛距離が出てくれれば・・・との悔しさはあるが、これは追い風
に有利な高いシンカー弾道で飛ばすことが苦手なせいと言い訳しておこう。

競技の結果は、ブッチギリ最長202.74mをマークした川端選手が3投平均:192.68mで優勝。
3投平均:191.48mの私が準優勝で、191.49m〜195.59mの好記録を2本マークしたもののあと一本
が揃わなかった徳田選手が3投平均:190.88mで3位となった。

終わってみれば上位3人の平均飛距離差はたったの2m弱。
気分的には3人とも優勝したような気分で、お互いの健投を称えあったのでした。
(2ヵ月後の協会対抗戦が楽しみでもあります。)

ST種目TOP3 Movie

2. 第5種目

第5種目(A,B,女性)には、大阪協会:19名,兵庫協会:22名の合計41名が参加。
競技は大阪5種目-A,Bと兵庫5種目-B,女性種目がパート1,兵庫5種目-Aがパート2に分かれて
行われた。

注目選手は、千亀利サーフ・日置選手,神戸投翔会・村田選手のお二方。
残念ながら、競技進行が別セッションとなり直接対決とはならなかったが、第5種目の競技が行わ
れた約4時間は、なかなか見応えのある熱戦が続いた。

また、神戸中央サーフからも磯野渉選手,山谷選手の2名が第5種目-Aに、磯野和子選手が女性
種目に参加。
磯野渉選手にはクラブ記録更新、山谷選手には自己記録更新:170mオーバーの期待がかかった。

競技中のコンディションは、ST種目同様に絶好の追い風が吹いており、200mに届いた選手が優勝
候補として注目を集めることになる。

 2.1 第5種目第一セッション

第一セッションでは、200mオーバー2本を含めノーミス・パーフェクトキャストを重ねる
大阪アングラーズ・馬野選手と、第1投目,第3投目と2ファールながらも第2投目:208.04m,第4投目:
驚愕219.46mの飛距離で猛追する日置選手が激突!

結果的には日置選手が3投平均:206.77mの暫定1位,馬野選手が3投平均:201.42mで暫定2位と
なったが、流れるような美しいフォームで安定感ある馬野選手の投擲では、回を重ねるごとに観衆
の数とカメラの台数が増えていたようである。


      馬野選手の投擲

一方5種目-Bでは、西宮天狗クラブ・永谷選手が深く構えたポジションからの大きなスウィングで
180mオーバーを競技前半に連発。
風コンディションが左横方向に変化した競技後半は、ST種目風の狭角V字投法匠の技で剛竿・
サンダウナーCompetition-Uを曲げ込み181.66mで自己ベスト更新。
結果、3投平均:180.77mで見事な優勝を飾った。

なお、女性種目は大阪サーフ・大田選手と神戸中央サーフ・磯野和子選手の2名が参加。

大田選手は130,140,135mと素晴らしい飛距離を連発。
結果、全日本サーフ日本記録(3投平均:135.05m,最長:139.04m)を超える3投平均:135.39m,
最長:140.07mを記録した。

一方、磯野和子選手は5種目風に長いタラシで投擲に臨んだが、シンカー荷重をロッドにしっかり
掛けることが出来ない様子で、抜け気味の投擲が目立った。
結果、3Fこそ逃れたものの3投平均:124.54mとクラブ記録の更新には至らなかった。


     磯野和子選手の投擲

 2.2 第5種目第二セッション

続く第二セッションでも追い風コンディションにより競技は200mオーバーの争いとなった。

優勝候補の一角・村田選手は、第1投目,第2投目では200mを切ったものの、第3投目,第4投目に
200mオーバーを連発。
第一セッションよりも追い風が収まったこともあってか、暫定1位の日置選手,暫定2位の馬野選手
の記録には少し及ばず、3投平均:200.99mで総合3位となった。

そして神戸中央サーフ唯一の200mキャスター・磯野渉選手は、持ち前のパワーで2Fのプレッシャー
も何のその、192.87m〜201.58mを3本揃え、3投平均:196.70mで堂々総合4位に入った。
残念ながらクラブ記録の更新はならなかったが、5月の協会対抗戦(ST種目)出場に向けての自信
に繋がったのでは?と勝手に想像する。


      磯野渉選手の投擲

一方神戸中央サーフ・山谷選手は、競技前半でリリースタイミングが合わずに苦戦したが、第3投目
以降はスカイキャスター35-405がキレイに曲がり、文句無しのタイミングでリリース。
飛距離は目標の170mを軽くクリアし3投平均:171.19m,最長:176.12mで自己記録を更新した。


      山谷選手の投擲

3. 普通種目

普通種目の競技が始まった頃には風は左横風となっており、各種目選手ともに飛距離は伸び悩んだ
様子である。

 3.1 第3種目

第3種目では大阪アングラーズ・沢田選手,東住吉サーフ・西山選手,レインボーキャスターズ・
松尾選手の3名がデッドヒート。

第1投目に松尾選手が151.18mの暫定最長を飛ばせば、西山選手が第2投目で146.81m,沢田選手
が第3投目で148.43mを投げ応戦。
松尾選手の第3投目,第4投目連続ファールを尻目に、沢田選手,西山選手は着々とフェアゾーンを
捉え吹き付ける風への攻略法を模索している模様。

そして、最終投擲第5投目で決着は付いた。
松尾選手が138.72mで3投平均:143.85mが確定すると、西山選手はゆったりしたバックスウィング
から一気に初代キススペシャル405AXをしならせ、159.17mのビッグアーチ最長更新!
計測結果が告げられた瞬間には大きくガッツポーズ!
3投平均:146.71mが確定し、松尾選手,沢田選手を一気に逆転。

続く沢田選手も5号ラインの限界に挑む力強い投擲で152.56mの自己ベストをマーク。
3投平均を148.22mに伸ばし、見事逆転優勝を果たした。


      沢田選手の投擲

大阪アングラーズ 第5種目・馬野選手 第3種目・沢田選手 Movie

 3.2 第4種目

この他、第4種目ではレインボーキャスターズ・立嶋選手と東住吉サーフ・田頭選手が激突。
立嶋選手がコンスタントに180mオーバーを連発する一方、田頭選手は第2投目で種目最長となる
188.29mを投げたものの、競技後半であと一本が出ず惜敗。

両者の3投平均飛距離は立嶋選手:182.45m対田頭選手:182.15mとたったの0.3mであった。

 3.3 第6種目

第6種目ではいつものようにレインボーキャスターズ・茶谷選手と西宮天狗クラブ・坪田選手が対戦。
198m前後の飛距離を2本揃えた茶谷選手に対し、坪田選手は190m台〜192m台とやや伸び悩む。

結果、3投平均:196.49mで茶谷選手が圧勝した。

4. ポイント種目

残念ながら、いつものようにポイント種目はST種目と並行開催。
私自身は競技展開を見ることはできず、神戸中央サーフから参加の茶谷選手,吉川選手から競技
終了後の談話をうかがった。

ポイント種目には、兵庫協会:4名,大阪協会:13名の合計17名が参加。
各選手とも、強い横風に押されて100m先の目標旗を的確に捉えることが困難だったようで、茶谷選手
は第2投目からストレートの3F。

吉川選手も同じく第2投目からストレートの4Fで失格となってしまった。

茶谷選手は第5投目に気迫の1.99mで兵庫協会参加者中の最短スコアをマークしたが、3F選手の
出したスコアはいくら最短でも最短記録には認定されない。
少し悔しさの残る3Fだったのではないだろうか?

そのような状況下においても、大阪協会参加選手の方々は旗からロッド一本範囲内(4m)への着弾
を連発。

優勝された千亀利サーフ・平松選手は4m以下のスコアが3本揃っており、しかも最短はたったの
0.48mと圧倒的な正確さで、3投合計7.21mは参加選手中唯一のシングルスコアだった。

5. むすび

今大会では、前日よりコート設営の準備などプロジェクトにご尽力下さいました、西宮天狗クラブの皆様
はじめ兵庫協会,大阪協会両役員の皆様に大変お世話になりましたこと、この場をお借りしてお礼申し
上げます。

広く安全に競技が開催できる会場が少ない昨今ですが、素晴らしい会場で大会開催下さいました
関係者の皆様にも、心よりお礼申し上げます。

なお、本レポート中に登場します選手の方々,飛距離データにつきましては記述の通り相違ありません
が、競技進行の状況描写記述,投擲動作の状況描写記述などにつきましては、私個人が見た,感じた
状況をもとに文章化したものであり、競技選手ご本人の本意に基づくものではない場合がありますこと、
ご了承下さい。