'08年11月02日
Report #063 2008年全日本SC選手権・ST種目レポート
2008年10月19日、今年最後のキャスティングイベントである全日本SCキャスティング選手権大会が、
地元広島県東広島市河内町の広島空港流通工業団地にて開催された。投擲フォームの崩れから飛距離が定常的に10mマイナスする症状に見舞われた昨年夏以来、一年半
がかりでのスランプ脱出を目指したが、復活のときを今大会に目標設定してタックルチョイスの見直し
や投擲フォームの修正を繰り返した。また、今年3月の関西オープンキャスティング大会でまさかのストレート3Fをしてしまったので、飛距離
だけでなく投擲精度も修復が必要となったが、例年の約1.3倍の練習量で投げ込みを続けた結果9月
下旬には練習場のいつもの向かい風の中170m前後の飛距離がコンスタントに狙え、フェアゾーンを
捕らえる確率も85〜90%にまで回復。あとは自分に与えられたコンディションで精一杯の投擲を行い、5投をノーミスで投げ切るだけだ。
1. 第1投目〜第2投目
大会は16名のST-A種目参加者と、10名のST-B種目参加者で通して競技が行われた。
その第一投擲者が私ということで第1投目は緊張しながら投擲エリアへと進み、力まないことにだけ
意識を集中して投擲動作を開始した。
力まないよう意識したことが功を奏し、フィニッシュが少し早かったものの抜け弾にはならず、かなりの
初速でコート右サイドライン上空をシンカーは駆け上がって行った。
飛行滞空時間も予想以上に長く、飛距離計測の結果は嬉しいことに180.50mと満足な値が出せた。
続く第2投目も、投擲エリアに入ったところで脳裏に「まだ力まず慎重に」との号令が出た。
まだ競技は始まったばかり。ここで力んで失敗するよりは、慎重にコートセンターを狙うべし。
過去の経験からこの段階でも「パワーセーブ」を選んだ。
風は右真横から1.0〜1.5m/s吹いており、このコンディションなら172〜175mが希望ラインか。
目標をセンターラインに捕らえて、軽く息を吸い込み投擲動作を開始。
右腕にシンカー荷重が乗ってきたところでフィニッシュの一押し。
弾道は狙いより若干右へ逸れたが、センターラインと右サイドラインの間を縫ってベストな上昇角度で
シンカーはテイクオフ。
風の影響もあり飛距離計測結果は174.04mと、第1投目より6.5mダウン。
しかし、一応納得のレベルに達している。
残り3投で少しずつパワーレンジを引き上げて行く作戦で、次の投擲準備をして待ち時間をくつろぐ。
2. 第3投目〜第4投目
そして第3投目、風向きが変化し始めて右斜め前からの1.5m/sとなった。
このコンディションでは168〜171mが希望ラインになるだろう。
先の2投より少しパワーレンジを引き上げて、シンカー荷重を感じたところで一気にロッドを斜め上方
へ突き上げてフィニッシュ。
弾道はほぼセンターライン上からスタートし、徐々に風に押されてコート左側へ流れて着弾した。
飛距離計測結果は173.53m。今回も狙い通り、いやそれ以上の投擲ができ、これで3本フェアゾーン
を捉えることに成功した。
残り2投は思う存分に「攻め」のキャスティングができる。
ここまでの投擲でラインにヨリが入っている可能性もあるため、愛機:Z45Uのスプールを交換。
愛竿:ボロンプロスカイヤーのガイドリングも砂埃をキレイに清掃し、後半2投に全てを賭ける。
ところがこの後コートコンディションが時々刻々変化し始める。
風向きは5〜10分間隔でグルグルと変わり、1.5m/s程度の横風主体で時々2.0〜2.5m/s前後の
追い風がコートを吹き抜けるかと思うと、急に2.5〜3.0m/sの向かい風が吹くこともあった。
運良く追い風の時間帯に投擲順が回ってくれば良いのだが・・・
そんな希望も空しく、第4投目には3.0m/s級の強い向かい風が私の投擲順に吹いてしまった。
いつもの練習場と同じじゃないか。
このコンディションなら、少しくらい無謀なチャレンジをしても競技運びには何ら影響はないだろう。
思う存分のパワーを掛けてロッドを押し込み、加速したシンカーをギリギリのタイミングまで人差し指
でホールドして、私にとってベストの上昇角で弾き上げてみた。
今大会ここまでの投擲で最高のフィニッシュ;今日イチの投擲はどれくらい飛んだか、飛距離計測
結果が気になるところだが、結果は165.92m。
練習でこのコンディションなら大体161〜164mが平均レベルであろうから、166m弱なら御の字だろう。
大満足だ。
3. 第5投目
競技もいよいよフィナーレ。
残り1投の勝負となる訳だが、競合選手達は第2投目から第4投目のセッションで180m級の飛距離
を連発する選手も多く、西宮天狗クラブ・川端選手が180.43〜183.32mを3本,ダイナミックサーフ・
井上選手が171.31m〜186.71mを3本,神戸中央サーフ・磯野選手が174.47〜181.60mを3本,
投好会・小関選手が179.23m〜184.74mを2本,北海サーフ・橋野選手が174.12〜186.67mを2本と、
各選手ハイレベルのデッドヒートを繰り広げている。
私もその中に入りたいのだが・・・あと1本最後に180mいや185m級の飛距離が欲しいところであるが、
そんな飛距離は簡単に狙って飛ばせる距離ではない。
過去このコートで投げた全ての大会成績を思い出しても、自己記録は182.47m。
風を味方に付けなければとても届く気がしない。
そしていよいよ私から最終第5投目のセッションが開始。
風は第2投目とほぼ同じ、右真横から2.0m/s程度吹き込んでいる。
練習時のデータでは172〜175mが射程圏であるが、それでも175m級の飛距離はなかなか狙って
飛ばせるものでもない。
ここは今日一番の慎重さで、しっかりとタメを作り、ロッドがブレないよう特上の滑らかさでスウィング
動作を開始した。
ロッドにシンカー荷重が乗ってくる感触を右腕に感じながら、「ロッドの曲げ時」を待ち、そしてその時
がきた瞬間、一気にフィニッシュの押し込みと共にラインを弾くようにリリースした。
放たれたシンカーは第2投目とほぼ同じ弾道線で、第2投目よりも若干強い勢いで上昇した。
シンカーの滞空時間中はまるで時間の流れが止まったようにすら感じる。
この瞬間がたまらない。
「第1投目の時より落ちてくるのが遅いな。」とも思ったのだが、飛距離計測結果は176.03m。
やはり最長更新はならなかったが、それでも狙いより1m良く飛んだ。
これで今年もキャスティングも全て終わった。
そして、神戸中央サーフ・真鍋達也としての競技も、全て終えたということになる。
成績の方はどうであれ、目標としたスランプからの脱出、復活の投擲はパーフェクトに達成できた。
来年からは所属クラブが替わることになるが、新たな年に向けてタックルチョイスの見直しやフォーム
の微調整などなど、もっともっと練習して表彰台争いに加われるよう精進しなければ。
4. 大会結果
結果、団体戦チャンピオンチームの主将・川端泰三選手(兵庫協会・西宮天狗クラブ)が見事に180m
オーバーの飛距離を3本揃え、3投平均:181.70mの好記録で念願の個人戦初優勝。
前半2Fからの驚異的追い上げで184.74mを筆頭に178m以上を3本揃え、3投平均:180.80mで
小関典久選手(北九州協会・投好会)が準優勝。
前半3投目までに2Fしたものの、第4投目,第5投目で181.59〜186.67mの素晴らしい記録を連発し、
小関選手とはたった1cm差の3投平均:180.79mで橋野亮平選手(北海道協会・北海サーフ)が
第3位入賞。
以下、3投平均:178.34mで磯野渉選手(兵庫協会・神戸中央サーフ)が第4位、3投平均:177.03mで
井上利治選手(大分協会・ダイナミックサーフ)が第5位、3投平均:176.86mで私が第6位、3投平均:
176.27mで福岡尚能選手(広島協会・呉サーフ)が第7位となった。
また、同時開催されたST-B種目では、台湾から遠征出場の王敏龍選手(台湾新竹市隊)が第4投目
に吹き付ける横風の中力強い投擲で最長:179.65mをマークし、3投平均:169.12mの成績で堂々の
優勝を果たした。
一方、途中まで王選手を引き離し優勢を保った中島康彦選手(北九州協会・福岡サーフ)であったが、
最長飛距離が王選手に一歩及ばず、3投平均:167.63mで準優勝。
5月の協会対抗戦から好調が続く植田茂男選手(兵庫協会・西宮天狗クラブ)は3投平均:166.44mで
第3位となり、にこやかに表彰台に上った。
ST-A種目入賞者 ST-B種目入賞者
ST-A種目 優勝
川端泰三選手
(兵庫協会・西宮天狗クラブ)
ST-A種目 第3位 ST-A種目 準優勝
橋野亮平選手 小関典久選手
(北海道協会・北海サーフCC) (北九州協会・投好会)