'09年03月07日
Report #067 第2回関西オープンキャスティング選手権・ST種目レポート


2009年キャスティングシーズンもいよいよ開幕。
31日、兵庫県淡路市生穂新島にて、関西以西では今年最初の公式キャスティング大会となる
第2回関西オープンキャスティング選手権大会が開催された。

昨年大会には広島からは9名の遠征隊参加があったが、今年は第1種目に作田選手,松本選手
が、第5種目-Bに近藤選手と、ST-A種目に私の計4名だけの参加となった。

全体的にも不況の影響か参加者数は昨年より少なめか?
特にST種目は昨年大会のような盛り上がりはなく、A,B合わせてたったの6名。
投擲が終わるとすぐに次の投擲順が回ってくるため、途中のスプール交換もままならない状態で、
ロッド変更などというアクロバット技は絶望的。

ならば、飛距離が優れるタックルチョイスよりもコントロール性とスウィング動作の安定感を重視し、
今大会にはシマノ・スピンパワーSC425XXにダイワ・トーナメントサーフZ45UCompetitionの
組み合わせで参戦することに決め、練習を重ねてきた。

大会1週間前の2月22日には、東広島市河内町にて全日本サーフ・広島協会主催のSC育成会が
開催され、本番モードでの最終チェックも十分に行った。
この時点では、飛距離,コントロール性,安定感ともに完璧な仕上がりで、冬季の投げ込みの成果
が実感できたのだった。

ところが、大会前日の2月28日。
特にコントロール性で十分合格レベルまで投げ慣れていたはずのタックルチョイスで、突如として
弾道が抜け気味の右方向に集まり、コートへ入らなくなってしまった。

大会本番ではST種目は朝一番の開催が想定されるが、前日練習の最初の5投であろうことか3F
状態に陥った。
軽く10本程度の調整で帰宅し大会に備える予定が、思わぬ不調に頭が真っ白になり気が付けば
15本も投げてしまった。
それでもフェアゾーンを捉えたのはようやく8本だけ。
大会ではギリギリの線であり、昨年大会の『ストレート3F』が頭をよぎる。

この15本の中で、何とか打開策はないものかとロッドやリールを再考してみたが結果は変わらず。
要するに投げ込み過剰で体,特に腰のキレが悪くなり、身体が右へ開いてしまっているようだ。

「明日は苦戦するか、それとも最悪ストレートの3Fか?」と自信喪失状態で、夕刻17:00に自宅を
出発、途中メンバーと合流して一路淡路島へ向かった。

1. 第1投目〜第2投目

予想通り、ST種目は開会式の直後に競技が始められた。
風は左斜め前から約2m/s。
後に左真横4m/sとの予報であるから、第1投目でフェアゾーンを捉えるかどうかが後の競技運び
に大きく影響するだろう。
焦らず慎重に投げることだけを頭に叩き込んで投擲エリアへと向かった。

第1投擲者は昨年までのクラブメート;磯野選手。
ド迫力のスウィングで吹き付ける風もものともせず、いきなりの170mオーバー弾。

最近の練習データでは、このコンディションなら上手くいけば175m近く出ることも有るが、大会本番
のしかも第1投目では167〜171mあたりが射程圏だろう。

いよいよ私の番だ。
リラックスして構えを作り、いつも通りにタイミングを見計らってスウィング動作に入った。
フィーリング的には前日の抜け弾連発を再現しそうな不安感は一切なく、キレイにロッドの芯に
シンカー荷重が乗って、コート右側1/3にベストな弾道で打ち上げることに成功。

真鍋の第1投目:シンカーの軌道がやや外回りか

シンカーは風に流されてコート右サイドラインに3mほどのマージンを持って着弾した模様。
これは170mは行っただろう、と計測結果のコールを待つと意外にも173.49m。
コンディションを考えると普段の練習実績以上に飛んでいるようだ。

第1投目がフェアゾーンに入れば、後の投擲は気持ちが随分楽になる。

続く第2投目も同じ感覚でロッドを振り切ったのだが、弾道が第1投目よりほんの少し右へ逸れて
しまった。
リリース直後の弾道では十分にフェアゾーンを捉えていたのだが、生憎風は左横に向きを変えて
おり、シンカーは流されて2mほどファールゾーンへ出てしまった。

ま、まだ3本あるしファールしたとは言っても弾道では十分にフェアゾーンに入っている。
悲観的に考えるよりは前向きに考えよう。

2. 第3投目〜第4投目

第2投目の反省から、第3投目ではタラシの長さをシンカー半個分だけ短くし、乗せ遅れによる
抜け弾を防止することしした。

投擲ケージ内でのセットポジションも、コートセンター狙いの位置より若干左狙いにオフセット。

さらに、垂らしが短くなり振り始めにガツンと乗ってしまって抜けることを避けるため、ラインキープ
した人差し指に少しだけ握り力を加えて投擲を行った。

ここまでじっくり考えてコート左半分を狙って投擲したのだが、考え過ぎが災いしてシンカーは
左サイドラインギリギリを低空飛行…
大失敗である。

それでもシンカーはフェアゾーンに着弾し、飛距離は計ってもらえるのだから良しとしよう。
160.97mとやや不本意ではあるが、あと一本入れれば「3F」という最大の不名誉は回避できる。

続く第4投目は念のためスプールを交換して糸ヨレに起因するライントラブル対策を行う。
そして、基本的なセットアップは第3投目のままに、投擲ケージ内でのセットポジションだけをコート
センター狙いに戻してスウィング動作に入った。

この投擲ではファールだけは絶対に避けなければ、との思いでとにかく慎重にスウィング動作を
開始した。
結果的にはそれがプラスに作用した模様で、振り始めと同時にロッドの芯にシンカー荷重の乗りを
感じることができ、そのままロッドの反発が先行しないよう加速を持続させて正面35度の上昇角度
でシンカーをリリースすることに成功!

真鍋の第4投目:シンカーの位置が良い感じ

風は勢いを増していたが、「どこまで飛ぶんだ?」と思うくらいに滞空時間が長く、それでもシンカー
が流されることなく見事にフェアゾーンに着弾。

飛距離の計測結果も172.51mと、練習でもなかなか飛ばせないかなり良い結果が出た。
しかも、3Fという不名誉な結果に終わった昨年大会の雪辱は果たせた。

しかし欲張って、あと一本170mオーバーが出れば、今大会は十分に目標を達成したといえるだろう。
たったの一本ではないか、こんなに気が楽なことはないと自分に言い聞かせて、最後の1投に全て
を賭けた。

3. 第5投目

そして最後の一投。
170mで良いから飛んでくれ!と念じながら投擲動作を開始したのだが、実は如何に調整しても
垂らし長さが理想よりもシンカー半個分長くて気に入らなかった。


乗せ遅れを気にしながらスウィングしたのだが、それでもやはりロッドの芯にシンカー荷重を感じる
までにタイムラグが生じてしまい、我慢できずりラインリリース…

リリース直後の弾道でコート右ラインギリギリのところであるから、左からの風ではフェアゾーンを
捕らえるのは絶望的。

結局シンカーは右ファールエリアに大きく逸れて着弾し、160m強のサードスコアを消去することが
できずに競技を終えることとなった。

それでも結果的には3本フェアゾーンに入れることができた訳で、3投平均:168.99mの記録を残す
ことができた。

欲を言えば昨年の全日本選手権のようにノーミスで5投をパーフェクトに投げ切りたかったし、
リリースポイントの安定性やコート左狙いの投擲制度などに課題は残ったのだが、大会成績では
2007年全日本協会対抗戦以来1年10ヶ月ぶりに優勝することができ、満足することができた。


ST-A種目表彰式

次は3月15日の広島協会春季SC通信大会と、5月にはいよいよメインイベント;全日本協会対抗戦
が開催される。
5月までには、5投をパーフェクトに投げ切れるようもっと練習を積まなければ。

4. その他広島遠征隊の結果

その他広島からの遠征隊の戦績はというと…

まず第1種目に参戦の作田選手は一昨年の中四九親善大会で優勝しているし、松本選手も昨年
の関西オープンキャスティング選手権で優勝している。

それぞれ、第1種目では上位入賞を狙える実力の持ち主で、左横風2〜3m/sのコンディションなら
140m台後半から150m前半の飛距離も狙えるはず。

しかし、作田選手はいつもの練習場のように山の風景=目標物がないせいでリリースポイントが
ズレるのか?弾道が低めに集まってしまい3投平均:137.88mと奮わず第4位に。

作田選手の投擲

一方松本選手は前日の練習で2発ライン切れしてしまったとのことで、スウィング動作にキレが
見られず3投平均:140.46mとトップからは15m近く離されて第3位に。
表彰台はゲットしたものの、飛距離には少し不満が残った様子。

松本選手の投擲

そして、第5種目-Bに参戦した近藤選手は、昨年の関西オープンキャスティング選手権でトップ
から約10m差の準優勝だったことから、今年はもう少し差を詰めることを目標に今大会に臨んだ
のだが、今回も11mの差を空けられての準優勝。

近藤選手の投擲

第1投目にまさかの170m超えが出てしまい、後の投擲でかなりプレッシャーを感じた模様。
それでも、競技終盤の第4投目と第5投目には165.52〜166.07mでスコアを伸ばし、3投平均:
168.03mは風コンディションを考えると悪くない数字で競技を終えた。

何はともあれ、2009年の初戦を3Fすることなく無事投げ切れたので、次の大会に向けての弾みは
付いたようだ。

また5月の全日本協会対抗戦に向けて、練習がんばりましょう!

 
第1種目表彰式                     第5種目-B表彰式


参加者全員で

※表彰式写真,参加者集合写真ご提供:レインボーキャスターズ・松尾幸浩会長様