'11年05月31日
Report #082 2011年全日本SC協会対抗戦ST種目参戦記 


1. 大会前7ヶ月…2010年全日本SC選手権以降の振り返り…

2010年キャスティングシーズン最終戦:全日本SC選手権でまさかの2年連続3Fとなってしまった。

大会までの2カ月がややオーバートレーニング気味だったこともあり、持病の腰痛が残るせいで
腰にキレがなく、体がコート右半分を向いてフィニッシュしていた。
当然弾道はコート右サイドラインから外へ集まり、結果的に痛恨のストレート3Fとなった。

ここまで状態が悪くなると、まずは腰のキレが回復するよう腰痛が完全に治まるまで練習を休み、
そこからもう一度タックルチョイスとフォームの調整が必要だと痛感した。

全日本SC選手権の後2ヶ月間は練習を休み、12月中旬に再び練習に復帰。
ただし練習量は一日20投前後に控えて、ロッドも超愛竿:BORONプロスカイやーより軟らかめの
カーボン製35〜40号クラスをチョイスすることで腰への負担が極力小さくなるように配慮した。

そして、2011年のキャスティングシーズン開幕が目前となった2月中旬にはカーボン製ロッドでは
満足な投擲ができず、先の大会で3FしているBORONプロスカイやー・プロトタイプに持ち替えて
2011年開幕戦でのリベンジを目標に練習を続けた。

こうして迎えた3月6日の関西オープンキャスティング選手権であったが、投擲動作の初動段階で
腰をかばうように体が前に突っ込んでしまい、緩んだラインを急激にシャクリ上げるために
#2ガイドや#3ガイドにラインが巻き付くトラブルが発生。

3Fこそは逃れたものの、無風コンディションにして平均164.52mと飛距離面では大いに反省点が
残るシーズン開幕となった。

それでも練習復帰から約3ヶ月が経過していたが、ここまでは持病の腰痛と仲良く?過ごせる
ペースもつかめていたので、投擲動作の初動段階で体が前に突っ込まずにロッドが振り切れて、
さらにロッドを曲げている時間を長く保つフォームへと修正を試みた。

その取り組みの中で一番意識したのは4〜5年前のフォームであるが、当時は深く考えなくても
投擲動作の初期に体が前に突っ込むこともなくシャクらずタメの効いた素直なスウィングが
できていたのだが…

一度フォームが崩れてしまうと元に戻すのはなかなか難しいものである。
練習での飛距離データは逐一分析しているのだが、フォーム修正に着手してからは投げる度
に平均飛距離が低下し、2月下旬以降は160mにも届かない日も度々…
随分低いところまでところまで落ち込んでしまったものだ。

 
 2010年12月から2011年4月中旬までの間に飛距離は下降傾向に…

おまけに4月24日に開催された広島協会春季SC通信大会では再び腰痛に見舞われ腰のキレ
が完全に失われて4Fという不名誉な結果に。

5月15日の全日本SC協会対抗戦までに練習に費やせる時間はそれほど多くはない中で、
腰痛が治まるまで2週間ほど休養を取るしかないとは…

この練習休止中には実投ができない分ビデオでフォーム研究をしたのだが、2008年以前には
現在よりも早い段階で左手を引き付けており、そのタイミングでロッドがじわりと曲がり始めて
フィニッシュまで持続的にロッドの曲がり量を増している点に気が付いた。

イメージトレーニングを十分行った後、腰痛が治まった5月5日にようやく練習復帰。
早速左手の引き付けを意識した投擲を試してみたが、久々に飛距離の改善が見られ、ロッドが
曲がっている時間もビデオで1〜2コマ(0.03〜0.07秒)長くなったように感じた。
フォーム修正の成果がようやく現れてきたので、あとはぶっつけ本番で大会を投げ抜くのみだ。

2. いよいよ大会当日…2011年全日本SC協会対抗戦…

こうして迎えた2011年全日本SC協会対抗戦当日。

今大会は東日本大震災の影響もあるのだろうか、参加協会,チームとも例年より大幅に減少
して、普通種目:7協会・25名,ST種目:7協会・40名,ポイント種目:2協会・8名の合計73名と、
昨年大会からは約30%少なくなってしまった。

例年であれば、普通種目とポイント種目がAコート,ST種目がBコートで競技を行うが、今大会
は参加者減少によりAコート一面で全ての競技を行うことになった。
競技は、第一グループ:普通種目,第二グループ:ST種目,第三グループ:ポイント種目の順
で行われた。

広島協会・ST種目チームは、中元選手(呉サーフ),私,堤選手(廿日市サーフ),浜松選手
(呉投友会)の投擲順で4選手・1チームだけの参戦であるから、全員必ず3投記録を残して
団体戦表彰台ゲットを目標に一致団結気合いを入れて競技開始を待った。

そしてお昼近くになりいよいよ迎えたST種目の競技セッション。
コートでは右横〜右斜め追い風:2m/s前後が吹いており、弾道が右サイドラインギリギリに
集まり易い私にとっては絶好のコンディションである。

このコンディションなら、私自身の飛距離としては第1投目:175m狙い⇒第2投目:177m狙い⇒
第3投目179m狙いと徐々にパワーレンジを引き上げていき、最後の2投は一発180mオーバー
狙いで競技が展開できれば完璧だろうか。

そんな計画通りに事が運ぶかどうかはさて置き、第1投目はコートに入れることだけに集中して
スウィング動作に入ったが、右腕がブレてロッドにバックスウィングを入れてしまった。
幸いにもシンカー荷重を右腕に感じてからはスムーズに加速してコート正面まで引張ることが
できたので、ライントラブルもなくシンカーはコートセンターラインの真上にテイクオフしてくれた。

  真鍋:第1投目

計測の結果は、狙い通りの175.40m。
3月〜4月の大会では不本意な結果に終わっているが、今大会は何とか自分の力を出し切り
確実にフェアゾーンを捉えることができるだろうと、自信が取り戻せる一投となった。

続く第2投目では、チームメイトの中元選手が力強い投擲で171.55mを投げて自己記録を更新。
この一投のおかげで、広島協会チームの全員が良い流れに乗れそうな雰囲気が出てくる。

  中元選手:第2投目

中元選手に続いて投擲の私も、第2投目で再びコートセンターにドンピシャの弾道を打ち上げる
ことができ、計測結果も狙い値+1mの178.06mと満足な結果が出せた。

  真鍋:第2投目

この流れに乗って、浜松選手の第2投目も162.89mに飛距離を伸ばした。
残り3投でさらにチーム得点アップは確実だろう。
ここで一旦競技の進行が変則となり、ゼッケン番号26番〜46番の選手が第3投目〜第5投目を
投げ終えるまで、我々広島協会チームを含めゼッケン番号47番〜66番の選手は一時間程の
休憩を取ることになる。

3. 競技後半戦

再び第3投目からの競技を開始する頃には休憩によるクールダウンで腰が固くなっていたので、
第1投目と同様にパワーセーブしての投擲が必要となった。

目標飛距離を175〜177mに設定してスウィング動作に入ったのだが、加速過程で二段振りを
してしまったようでリリースしたラインがガイドを叩きながら通過し、さらにスプールエッジ付近で
ライン放出が乱れて軽いバックラッシュを伴ってしまった。

シンカーはコート内に着地したので飛距離は計測してもらえたが、169.49mと不本意な値に。

どうやら広島協会チームは4人とも一時間の休憩でリズムが少し狂ってしまったのだろうか?
第3投目を中元選手と浜松選手がファールで落とし、堤選手と私はフェアゾーンに入れたが
飛距離はイマイチ納得できない値となってしまった。

それでもまだ残り2投で挽回可能であるから焦りはなく、もう一度腰と肩,脚のストレッチをして、
第4投目に備えた。

そして第4投目。
またしても中元選手が、先の自己記録をさらに更新する171.59mを投げて満面の笑み!

  中元選手:第4投目
 

この1投で、中元選手は自身初の3投平均170m超えを達成。
ここは私も今大会での自己ベスト投擲をしなければ。

いつもよりゆっくりと深呼吸してから、投擲エリアの中でV字を丁寧に作る。
スウィング動作に入る際には、「しっかりタメを作って…」と意識的に右肩を残してシンカー荷重
を感じ取ってからロッドを振り抜いた。

ロッドは最近の練習では感じたことのないレベルまで大きく曲がり、リリースしたラインもガイド
を叩くことなく真直ぐ抜け出てくれた。

シンカー弾道はコートセンターを捉えており、スピードも十分に乗っている。
これは今日一番の飛距離が出たに違いないだろう。

  真鍋:第4投目
 

計測の結果は180.05mとほぼ目標通りの数値だったので、心の中で小さくガッツポーズ。
しかし、この1投を振り切った瞬間に、腰にはチクリと痛みが…

練習では15投目くらいでこの症状が出て、フィニッシュでロッドの押し込みが理想的タイミング
より一瞬早く終わってしまい、弾道が抜け気味方向に偏りがちである。
最後の第5投目に若干の不安が生じたが…
今年2月以降もがき苦しみどん底まで落ちていたが、今大会は納得のできる投擲を既に3本
揃えているので、残り1投は無理にサードスコア更新を狙わずに気軽に投げることにした。

一方で良い雰囲気でチーム得点を引き上げてきている広島協会チームの第4投目。
堤選手が167.40m,浜松選手が165.40mを投げて、4選手全員が3投記録を残せた。

  浜松選手:第4投目

私以外の3選手は最後の第5投目にさらに飛距離アップの期待十分である。
団体戦表彰台ゲットの目標がより現実的となってきた。

こうして迎えた最終投擲。
中元選手は「もう一本170mを…」とのプレッシャーに力みが出たか?惜しくもファールとなり、
3投平均:170.12mに確定。

続く私も、飛距離計測はしてもらえたが、限界に達した腰はキレが失われて抜け気味にライン
リリースしてしまい、さらにガイドへのライン絡みも併発してサードスコア更新はできず
3投平均:177.84mに確定。

堤選手は自身のベストスコアとなる168.12mを投げて、3投平均を166.02mに引き上げた。

  堤選手:第5投目

最後に浜松選手も飛距離アップに期待したのだが、中元選手と私が引き寄せてしまった悪い
流れに呑まれてしまったのか?ファールしてしまい3投平均:160.01mに確定。

最後の第5投目が少し期待外れなところもあったが、広島協会ST種目チームの得点は
合計:673.99で準優勝となり、目標だった団体戦表彰台ゲットを果たした。

 
 広島協会ST種目チーム団体戦準優勝!
 (写真ご提供:えのみやサーフ・河村武士様)

おまけに、個人戦でも私自身久しぶりの4位入賞となり、ここ数年続いているスランプからの
脱却を感じさせる大会となった。

 
 個人戦でも久々に4位入賞!
 (写真ご提供:えのみやサーフ・河村武士様)

4 むすび

今大会をもって、2011年キャスティングシーズンは前半戦を終了し、しばしのオフシーズンに
入ります。

次は9月に開催される夏季通信大会で秋のキャスティングシーズが開幕し、10月に開催される
中四九親善キャスティング大会と全日本SC選手権が後半戦のメインイベントとなります。

この後半戦大会でも自分の持てる力が出し切れるよう、さらに精進を重ねたいと思います。

最後になりましたが、今大会でプロジェクトいただきました広島協会役員と関係者の皆様,
全日本サーフキャスティング連盟役員の皆様には大変お世話になりましたこと、心よりお礼を
申し上げます。